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《獣人のこども》おねしょ敬太くんの大ぼうけん  作者: ケンタシノリ
第1章 敬太くん、生まれ育った村からの旅立ち
7/115

その7

 敬太の出生のことや、お父さんとお母さんのこと、そしておじいちゃんと初めて顔を合わせたときのことなど……。


 敬太は自分を育ててくれたお父さんやお母さん、そしておじいちゃんやおばあちゃんに感謝の気持ちでいっぱいです。


 でも、あれだけ高い崖から真っ逆さまに落ちてしまったのに、かすり傷を負っただけで助かったのには何かあるのではと敬太は疑問に感じました。


「じいちゃ、教えてくれないか? ぼくがあれだけ高い山の崖から真っ逆さまに落ちても、かすり傷だけで済んだのはどうして?」


 敬太の言葉に、おじいちゃんは今まで黙っていたことを話し始めました。


「敬太、ただでさえ父ちゃんと母ちゃんのことでつらいことを言わなければならないのに……」


 おじいちゃんは敬太に言うにはつらいと思い、一度は言葉に詰まりました。しかし、敬太にはきちんと伝えなければならないと再び口を開けました。


「実は、岩壁から落ちて倒れていた敬太の額に、謎の紋章があったのだが……」

「謎の紋章?」


 初めて聞いた謎の紋章という言葉に、敬太には何のことか全く分かりません。しかし、おじいちゃんが続けて言った言葉は敬太にとってびっくりするものです。


「その紋章は、獣人の伝承に描かれていた獣人の紋章とそっくりなんじゃ」

「もしかして、ぼくは獣人の子供ということ?」


 おじいちゃんは、引き出しからある物を出しました。それは、古い巻物でで紙が少しボロボロになっていますが、巻物に書かれている文字や絵はほとんどそのままで残っています。


「これって、獣人のことが書いているものかな?」

「これには獣人のことがいろいろと書かれているやつじゃ。ここに書かれているのは漢字だらけで、敬太にはまだ読めないと思うけど」


 敬太はひらがなやカタカナの読み書きはできても、漢字の読み書きはまだできません。でも、敬太は巻物に描かれているのを見ただけで、その絵が獣人であるということがすぐ理解できました。


 その巻物を続けて見るうちに、驚くべき内容の絵が描かれているのがありました。それは、いくつもの獣人の絵に並んで、なぜか普通の人間の子供の絵が描かれているからです。


 そして、その絵をよく見るとその子供の額に紋章が描かれています。


「じいちゃ、この絵はなあに?」


 敬太は、額に紋章が描かれている子供の絵に指で示しました。すると、おじいちゃんは少し黙り込んでしまいました。


「じいちゃん、敬太に獣人の紋章のことをきちんと話したほうがいいと思うよ」


 おじいちゃんは、おばあちゃんから促されて再び口を開きました。


「ここに描かれている子供の額にある紋章こそが、獣人の紋章というものじゃ。その額に現れる紋章を持つ子供は、人間の姿に変えた獣人同士からしか生まれてこない、極めて稀な存在なのじゃよ」

「じゃあ、ぼくのおっとうとおっかあは、もともと獣人だったの?」

「そういうことになるかな」


 おじいちゃんは、敬太が獣人同士から生まれた子供であるとこの場で初めて伝えました。


「ただ、人間の姿に変えた獣人同士で子供を産むことは、獣人の世界では絶対にしてはならないことなんじゃ」


 おじいちゃんは、その巻物を改めて目を通しました。そこには、人間の姿に変えた獣人同士での子供の出産があったら二度と獣人の姿に戻ることはできないと書かれています。巻物には、さらにこのようなことも記載されています。


「人間の姿に変えた獣人同士との間に生まれた子供は、獣人に変身する能力は最初から有していない。しかし、その子供の額に獣人である紋章が現れたとき、その子供はかなり手ごわい獣人であっても一撃で倒すことができる能力を持つ」


 敬太は、力強さを持つ獣人の血を引き継ぎながらも、人間としてのやさしい心を持った元気いっぱいの子供として生まれて育ちました。しかし、生みの親であるお父さんとお母さんは、あの日からずっと行方が分かりません。


「敬太のお父さんとお母さんが、どこかで暮らしているかもしれないとわしは言ったけど、獣人の禁を破って人間の姿になって子供を出産したとなると獣人たちも黙っていないだろうなあ」

「じいちゃ、獣人たちも黙っていないって、どういうことなの?」

「獣人たちは、子供を出産した元獣人の人間を見つけたら、子供も含めて皆殺しにするということじゃ。たとえ逃げたとしても、獣人たちはどんな場所でもしらみつぶしに調べてくるからのう」


 獣人が人間の姿になって子供を産んだ場合、獣人たちによって子供も含めて皆殺しにされるし、逃げても獣人たちはしぶとく調べて見つけ出します。


「ということは、獣人たちはぼくも狙っているというの?」

「敬太は、獣人をやっつけたとさっき言っていたよね。だけど、獣人を完全に倒すというのは非常に難しいといわれているぞ。それに獣人は、山の中で敬太と戦ったことで、敬太の存在というのが他の獣人たちにも知れ渡っているだろうしな」


 おじいちゃんは、獣人を完全に倒すのは非常に難しいこと、そして敬太の存在が獣人たちに知れ渡るようになったということを話しました。


「今のところ、敬太の額の紋章を獣人たちは直接見ていないだろうけど……。額に獣人の紋章が現れるのを獣人たちが見たとしたら」

「見たとしたら?」

「獣人たちは敬太はもちろんのこと、お父さんとお母さんも含めて完全に皆殺しにするために行動を起こす可能性は大きいだろうなあ」


 獣人の紋章が現れる子供がいる場合、その両親はいずれも人間の姿になった元獣人に限られます。獣人たちはあらゆる手段を使って、見つけ次第片っ端から皆殺しにするそうです。


「それじゃあ、ぼくのおっとうもおっかあも、獣人たちから追われているの?」

「岩窟から落ちて倒れていた敬太を見つける前に、わしは敬太のお父さんとお母さんに会ったのじゃ」

「えっ、じいちゃ、おっとうとおっかあに会ったの?」


 おじいちゃんがお父さんとお母さんに会っていたことに、敬太は少しびっくりしました。


「わしが、敬太のお父さんとお母さんに会ったときだが、2人とも獣人にいつ見つかるか分からないので相当警戒していたなあ。それでも、わしが獣人では無いと分かったときには、2人ともいつもの穏やかな顔つきになっていたよ」


 敬太は、おじいちゃんが最後に会ったときのお父さんとお母さんの様子を初めて知ることになりました。敬太にとっては、たとえお父さんとお母さんが元々獣人であったとしても、いつもやさしくしてくれたお父さんとお母さんのことが今でも大好きです。


「じいちゃ、おっとうとおっかあに一度でいいから会ってみたい!」


 敬太は、おじいちゃんに思い切ってお父さんとお母さんに会いたいと言いました。すると、おじいちゃんから意外な答えが返ってきました。


「敬太がそんなに父ちゃんや母ちゃんに会いたいなら、わしもばあちゃんも敬太を快く送り出すことにするよ。でも、父ちゃんや母ちゃんは獣人たちに追われる身だし、敬太も再び獣人たちと戦わなければならないときがあるけど大丈夫か?」

「じいちゃ、ぼくはとても強い獣人たちが目の前にいてもいっぱいやっつけるからね! そして、おっとうとおっかあにぼくの元気な姿を見せるんだ」


 敬太は、お父さんとお母さんに会うためなら、強い獣人たちであっても戦い続けてやっつけることを元気な声でおじいちゃんに言いました。


「敬太が獣人とさっき戦ったような戦い方であれば、勝つ可能性はあるかもしれないぞ。でも、獣人を完全にやっつけるのならば、もう一押しが欲しいところだな。その答えは、敬太自身が戦いながら覚えていくものだぞ」


 おじいちゃんは、戦いながら覚えていくことこそが、獣人を完全にやっつけるために必要不可欠であることを敬太に言いました。


「じいちゃ、ぼくはもっともっと強くなって、獣人たちをやっつけることができるようにがんばるよ!」

「おおっ、やっぱり敬太は元気いっぱいの男の子でなくっちゃなあ!」


 敬太の元気な声が家の中に響き渡るのを聞いて、おじいちゃんも笑顔を見せながら言いました。


「敬太が、父ちゃんや母ちゃんに会えるのをばあちゃんも応援しているよ。さあ、夜も遅くなったからそろそろ寝ようね」

「ばあちゃ、ありがとう! おっとうとおっかあに一日でも早く会えるようにぼくもがんばるよ!」


 敬太は、おばあちゃんから励まされるのを聞いて、自分もお父さんとお母さんに会えるようにがんばると言いました。そして、敬太は眠くなったのか、すぐにお布団の中に入って夢の中へ入っていきました。




 次の日の朝、お庭に出た敬太は、いつものように顔を赤らめながらも元気な笑顔を見せながら立っています。そして、敬太が立っているところの物干しには、いつものように元気いっぱいのでっかいおねしょ布団が干されています。


「でへへ、じいちゃ、ばあちゃ、きょうも元気いっぱいのおねしょをやっちゃった」


 敬太はちょっと照れながらも、元気で明るい声でおねしょをしちゃったことをおじいちゃんとおばあちゃんに言いました。


 おじいちゃんもおばあちゃんも、いつもお布団や赤い腹掛けに元気なおねしょをする敬太を見て、今日も敬太が元気な姿でいることがいつも楽しみです。しかし、今日限りで敬太とはしばらく会うことができないと考えると、おじいちゃんもおばあちゃんも少し寂しいものがあります。


 それでも、敬太がお父さんとお母さんに会いたいという強い気持ちは、おじいちゃんにもおばあちゃんにも強く感じていました。だからこそ、二人は敬太を温かく送り出すことにしました。


 敬太はいつものように近くの川の中に飛び込むと、川で泳ぎながらおねしょしちゃった赤い腹掛けも洗っています。そして、いつものように桶の中に川の水を汲んで家のほうへ持って帰ります。


 すると、おばあちゃんがいつもの朝ご飯に加えて、竹の皮の包みの上におにぎりをのせています。


「ばあちゃ、おにぎり作ってくれてありがとう!」

「敬太が自分でお父さんとお母さんに会いに行くのであれば、ばあちゃんは何だってやるさ。敬太だって、これからいろんなところで獣人と戦わなければならないし、そのためにはしっかりと食べていつも元気でいないとね」


 敬太は、自分のためにおにぎりを作ってくれたおばあちゃんに感謝すると、おばあちゃんも敬太を励ますように言いました。


「じゃあ、川へもう一度行って魚を取ってくるよ」

「敬太、いつも水汲みや魚取りや薪割りなどをしてくれてありがとう。おじいちゃんもおばあちゃんも、敬太がおうちのためにいつも働いてくれるので助かっているよ」


 敬太が魚を取るために再び川へ行こうとすると、おばあちゃんはこれまで家のために働いてくれた敬太に感謝の言葉を述べました。


 敬太は、イワナやフナといった川の魚が泳いでいるのを見ています。今まで育ててくれたおじいちゃんとおばあちゃんのために、敬太は魚を必死になってつかまえようとします。


「じいちゃ、ばあちゃ、お魚いっぱい取ってきたよ!」


 家へ戻ってきた敬太の顔は、明るくて元気に喜んでいる様子です。両手いっぱいに取ってきたイワナやフナをおばあちゃんやおじいちゃんに見せました。おばあちゃんもおじいちゃんも、敬太の明るい笑顔を見てうれしそうです。


 そして、いつものように朝ご飯を食べ終わると、おばあちゃんが敬太のために用意した物をいくつか出しました。それは、木綿で作られた紺色の布のようなもので、両側には短い紐が縫い付けられています。


「これは、手首と足首につけるものだよ。敬太がこれからお父さんやお母さんを探す旅に行く途中でも、敬太の手や足を守ってくれるものだよ」

「じいちゃ、ばあちゃ、手首と足首に紺色の布を巻いたよ! かっこいいでしょ!」


 おばあちゃんは、風呂敷に敬太が使うお布団と掛け布団に、いつも付ける赤い腹掛けを何枚か入れています。その風呂敷は、お布団もそのまま包むことができる大きさです。これなら、敬太がいつも元気いっぱいのでっかいおねしょをしても大丈夫です。


「他のおうちでお泊りすることになっても、このお布団と赤い腹掛けがあれば敬太が元気なおねしょをいつもしても大丈夫だよ。でっかいおねしょをしちゃったお布団と腹掛けは、敬太が元気な男の子である証拠だよ」

「でへへ、ばあちゃ、ありがとう」


 やっぱり、敬太にとって欠かせないのが朝一番の元気なおねしょです。お布団を最初から自分で用意すれば、他の家で泊まる場合であっても迷惑をかけることはありません。


 おばあちゃんは、それとは別に木の皮で包んだお弁当と手ぬぐいを小さい風呂敷に入れました。お弁当の中身は、おにぎり5個とたくあんです。とはいえ、このお弁当は今日の昼ご飯と晩ご飯の2食分だけに過ぎません。


 お弁当が全部なくなったら、敬太が自分でご飯を食べるための食材を探さなければなりません。


「ばあちゃ、ありがとう! お弁当を全部食べたら、後はぼくが木登りをして木の実や果物を取ったりして食べるよ!」

「敬太は木登りができて、いろんな木の実やおいしい果物を取ってきたりするのをわしが見たことがあるから、食べ物がなくなっても敬太なら大丈夫だよ。ただし、毒きのことかには十分注意しないとね」


 敬太は、木登りをしたりして食べ物を自分で探ことができます。そんな敬太に対して、おじいちゃんは毒きのこには手を出さないように注意しました。


「そうだ、敬太に渡さないといけないのがあるぞ」


 おじいちゃんは、引き出しの中から何やら大事そうにしながら持ってきました。


「これは、敬太のお父さんとお母さんがわしに手渡した、現在の居場所を暗号で記したものじゃ」


 おじいちゃんが持ってきた暗号文には、次のように書かれていた。




「三七一三二四六六三六二二二一四六

 七五七五五六五七六三六二六三二六

 七三二二一一三五一五二二五一一三

 五三五五五五六三二一七四三四七三

 五一四一一五二七五一七二一六四四

 三四三六六一四五七三七五三三三一

 三三七二二五二七四七六四五五七六

 三二五三五五三五七四七三二六二一

 一五」




 この暗号は、ひらがなに対応する漢数字で暗号化したもので、1行16文字で書かれています。この暗号文を解読すれば、敬太のお父さんとお母さんの現在の居場所が分かります。ただし、暗号文の漢数字は一部動かしているので、そのまま解読したら間違った解読文になってしまいます。


 もっとも、敬太のお父さんとお母さんは獣人たちに追われる身です。そのため、現在の居場所が変わっている場合があるので、暗号文に書かれている場所に必ずいるとは限りません。


「じいちゃ、これには数字しか書いてないよ」

「敬太、それが暗号というものじゃ。父ちゃんも母ちゃんも獣人たちに追われているのを考えると、堂々とその場所を記すわけにもいかないでしょ。でも、敬太から見れば、これは数字だらけにしか見えないよなあ」


 敬太はその暗号文を見ましたが、全部漢数字で書かれているので、数字だけしか書いていないというのも無理ありません。おじいちゃんは、なぜお父さんやお母さんが現在の居場所を漢数字の暗号を使って書いたのかを敬太に話しました。


 おじいちゃんは、その暗号文を小さい木箱に入れると、竹の皮で包んだお弁当や手ぬぐいとともに小さい風呂敷に入れて包みました。


 おばあちゃんはお布団と赤い腹掛けを包んだ風呂敷を、敬太の体が入るすき間を開けて真結びをすると、敬太はその風呂敷を背中に背負いました。そして、お弁当と手ぬぐいと暗号文が入っている小さい木箱を包んだ小さい風呂敷を右手に持ちました。


 風呂敷の中には、お布団と掛け布団が入っているので重くなっていますが、敬太はその大きな風呂敷を軽々と背負うことができます。


「じいちゃ、ばあちゃ、ぼくは獣人たちに力いっぱい立ち向かって戦っていくよ! そして、獣人たちを倒しておっとうとおっかあを見つかるようにがんばるよ!」

「敬太、道中に獣人たちがいつ現れるかもしれないから、十分に気をつけるのよ。敬太なら獣人を倒せる力があるし、わしも父ちゃんや母ちゃんが見つかるのを楽しみにしているよ」

「敬太、父ちゃんや母ちゃんを見つけて会えるよう、ばあちゃんも応援しているよ」


 敬太は、おじいちゃんとおばあちゃんに元気いっぱいの明るい笑顔で言いました。おじいちゃんもおばあちゃんも敬太を励ましながら、手を振って敬太を見送りました。


 敬太が今までいた家を出ると、今までのおじいちゃんとおばあちゃんとの思い出が頭に浮かびました。


 春の田植え、川での水遊びや魚取り、山での木こり、木に登っての木の実取り、そして家での薪割りやご飯を炊くときの手伝い……。そして、毎朝の元気いっぱいのおねしょも大きな思い出です。いつもそこにはおじいちゃんとおばあちゃんの笑顔がそばにいました。


 これからは、敬太が1人でお父さんとお母さんを探さなければなりません。しかし、敬太にとって心強いのは、これまで自分を育ててくれたおじいちゃんやおばあちゃん、そして康之助先生や五吉をはじめとする村の子供たちのやさしさです。


 いずれにせよ、敬太の前には困難な道のりが待ち構えていることに変わりありません。それでも、敬太はお父さんとお母さんに早く会えるように険しい山道へ入っていきます。

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