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《獣人のこども》おねしょ敬太くんの大ぼうけん  作者: ケンタシノリ
第6章 敬太くんとお寺の大家族

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その17

「この暴れ牛め、よくも邪魔しやがって……」

「構わん! 敬太もろともこの場で叩きのめせ! 叩きのめせ!」


 獣人たちは、突如として現れた牛助へのいらだちを隠せません。双子の獣人は、目の前にいる敬太たちに対してものすごい剣幕で怒りをにじませています。


「とりあえず、キツネくんとタヌキくんを安全なところへ逃がしてあげないと」

「敬太、こんなに赤く腫れている体で本当に大丈夫なのか?」

「牛助くん、そんなことぐらいへっちゃらだよ! だって、ぼくはこんなに元気いっぱいだもん!」


 敬太たちは二手に分かれて、周りにいる獣人たちへ立ち向かって行きました。


「え~いっ! えいえ~いっ! えいえ~いっ!」

「うわっ! いきなり蹴りやがって……」

「よくもおれたちの仲間を……」

「とりゃあっ! とりゃあっ! とりゃとりゃあっ!」

「いてててっ、いてええええええええっ!」


 敬太は自らの強い拳と蹴り、そして体当たりで獣人たちの一団を立て続けに倒していきます。ワンべえもすごい剣幕で、獣人の太ももに思い切り噛みつきました。


「いてえええええええっ! やめてくれ、やめてくれ!」

「敬太くんにひどい目に遭わせるやつは、絶対に許さないワン!」


 一方、牛助のほうも目の前の敵に攻撃するしぐさを見せています。この様子に、双子の獣人は左右にある木にそれざれ飛び移って何か話しかけています。


「あれだけの暴れ牛が相手でも、これなら身動きができなくなるぜ」

「これでも食らえ! どりゃあっ!」


 双子の獣人は、牛助に向かってそれぞれ鎖を投げ込みました。その鎖は、牛助の前足に巻きつきました。


 突然の出来事に、牛助はなかなか前へ進むことができません。それでも、牛助はその重量を生かして何度も突進しようとします。


「行くぞ! んぐぐぐぐぐっ、んぐぐぐぐぐぐぐっ……」

「うわっ! まさか、あの暴れ牛が……」

「うわっ、うわわわっ……。ま、まさか……」


 牛助は凄まじい力を出すと、前へ向かって突進することができました。あまりの牛助の馬力に、双子の獣人は大きな木からそのまま引きずり落されました。


「いたたたたっ、いたたたたたたっ……」

「あんな力がどこから……。いててっ、いてててててててっ……」

「そんなものでしばりつけようたって、わしには通用しないぞ!」


 牛助の突進で地面に叩きつけられた双子の獣人は、あまりの痛さに立ち上がることができません。双子の獣人は、改めて牛助の力をまざまざと思い知らされました。


 その間、敬太は木々に隠れていたキツネとタヌキを連れ出しました。ここにいては、獣人たちに再び襲われないという保証はありません。


「キツネくん、タヌキくん、獣人たちの身動きが取れない間に早く逃げて!」

「敬太くんは、ここに残っても大丈夫なの?」

「ここにいる獣人たちは、ぼくたちが必ずやっつけるから心配しなくてもいいよ!」


 キツネもタヌキも、獣人たちと戦っている敬太たちのことを心配でなかなか逃げようとはしません。それでも、敬太の声を聞いた2匹はその言葉を信じることにしました。


 こうして、キツネとタヌキはそのまま森の奥へ消えて行きました。キツネたちを見守った牛助は、口にくわえている茎を敬太に手渡しました。


「さあ、敬太に食べさせようとこれを持ってきたぞ。今のうちに食べておかないとな」

「わあっ! 大好きなイモだ! 大好きなイモだ! 牛助くん、持ってきてくれてありがとう!」

「そんなにかしこまらなくてもいいぞ。敬太には、畑仕事やお相撲などでいつも世話になっていることだし」


 大好きなイモを見て喜びを隠せない敬太は、周りにある子イモや孫イモから食べ始めました。続いて、メインとなる親イモを口にほおばっています。


 サトイモは、敬太の元気さを生み出す食べ物です。牛助とワンべえは、好き嫌いせずにイモを食べ続ける敬太をやさしい目つきで見ています。


 しかし、敬太たちが一息ついたのもつかの間のことです。


 地面に倒れていた獣人たちは、激しい痛みをこらえながら立ち上がろうとします。敬太たちに痛めつけられて、獣人たちがこのまま黙っているわけがありません。


「おめえら……。ここから生きて帰すわけにはいかないからな……」

「敬太がおれたちに目を向いていない今のうちに……。ぐはははは!」


 双子の獣人がひそかに話しているその間も、敬太は大きな親イモを食べ続けています。しかし、獣人たちが一瞬の隙を狙っていることを敬太はまだ知りません。


 敬太の様子を見た双子の獣人は、立ち上がるのと同時に鎖を投げつけました。


「わ~い! 今日の親イモもとってもおいしい……。うわっ、うわあああっ!」

「ぐはははは! 他のことに気を取られてもいいのかな?」

「いきなり不意打ちしやがって! え~いっ! え~いっ! とりゃとりゃあっ!」


 敬太は、わずかな油断を突いた双子の獣人による攻撃を辛うじてかわしました。そこから、敬太は振り向きざまに双子の獣人へ何度も続けて強烈な蹴りを食らわせました。


「獣人め、よくもひきょうな手を使いやがって! 絶対に許さないぞ!」

「ひきょうな手だと……。 おめえをこの場で地獄送りにするためには、どんな手段でも使うさ!」

「おめえのほうこそ、気をつけないといけないのでは? ぐはははは……」


 双子の獣人は、敬太に薄ら笑いを見せてながら警告を発しています。その警告を示すように、背後からは獣人たち3人が迫ってきました。


 その気配を感じ取った敬太は、すぐさま体を反転させて回し蹴りを放ちました。


「え~いっ! とりゃあっ! とりゃあっ!」

「うわっ! どうして俺たちの動きを……」「うぐっ、うぐぐぐぐっ……」

「獣人め、どうだ! ぼくの回し蹴りの威力は!」


 獣人たちは敬太による強い蹴りを入れられたので、そのまま地面にうずくまりました。その表情は、あまりの痛さに体が震えて声が出ないほどです。


 敬太は、続けざまに双子の獣人にも攻撃を加えて行きます。強烈な拳や蹴りが何度も命中するにつれて、双子の獣人は次第によろけてきました。


 そして、敬太は双獣雷を両手でつかんで真上まで持ち上げようとします。これに抵抗しようと、双獣雷は足をバタバタさせています。


「んぐぐぐぐぐぐぐっ、んぐぐぐぐぐぐぐぐっ!」

「わああああっ! や、やめてくれ……」

「獣人め、これでどうだ! え~いっ! とりゃああああああっ!」


 敬太は、双獣雷を目の前の双獣炎に向かって投げ飛ばしました。双獣炎は突然の出来事に、仲間の双獣雷をよけることができずそのまま折り重なるようになってしまいました。


「お、重い……。はやくここから立ってくれ……」

「あのチビめ……。いたたたっ、いたたたたたたたたっ……」


 双子の獣人は立ち上がろうとしても、なかなか立ち上がることができません。しかし、何度も叩きのめしても獣人たちは決して油断できない相手です。


「敬太、獣人たちがどこから狙ってくるか分からないぞ。十分に気をつけないと……」

「牛助くん……」


 獣人たちと戦い続ける敬太たちも、獣人たちのしぶとさを知っています。牛助が敬太に忠告したのもこのためです。


 そんな折、敬太の攻撃を受けて倒れていたはずの獣人たちの一団が起き上がろうとします。獣人たちは、振り向きざまに手慣れた様子で何かを投げつけました。


 これを見た瞬間、敬太は牛助を守るために前に出ました。


「牛助くん、ここにいたら危ない!」

「えっ? 敬太……」


 牛助が見ると、そこには鎖で体を巻きつかれて動けない敬太の姿がありました。その姿に、牛助は思わず泣き出しました。


「敬太……。わしを守ろうと身代わりになるとは……。うううっ、うううううっ……」

「これ以上痛めつけられるのを見たくないワン……。うええええええええ~ん!」


 敬太の体は、両手両足を容易に動かせないように鎖で何重にもしばられています。どうあがいても、この状態から脱出するのはほぼ絶望的です。


 牛助とワンべえが泣き続けるのを横目に、双子の獣人は痛々しい表情を見せながら敬太のほうへ近づいてきました。


 その間も、敬太は歯を食いしばって鎖をゆるめようと試みています。しかし、双子の獣人はそんな敬太に冷酷な言葉をかけました。


「敬太よ……。おれたちを痛めつけてくれたおめえも、いよいよ年貢の納めるときがやってきたな」

「おめえには、これから地獄へ行ってたっぷりと苦しんでもらうからな。ぐはははは!」

「んぐぐぐぐぐぐぐぐっ、んぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐっ……」


 双子の獣人は、まるで勝ち誇るかのような不気味な笑い声を上げています。そして、双獣雷は敬太をしばっている鎖を右手で握りました。


「どうあがいても、これだけ巻きつけられている鎖を外すことなんかできないぜ」

「んぐぐぐぐぐぐっ、んぐぐぐぐぐぐぐぐっ、うぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐっ……」

「ほうほう、おれたちが言ったことが耳に入らないようだな。口で言っても分からないなら、今から体で覚えさせてやるからな」


 敬太は、あきらめないという気持ちを捨てるつもりは毛頭ありません。これを見た双獣雷は、鎖を握りしめた右手から高圧電流を流し始めました。


「うりゃああっ! これでも食らって死んでしまえ!」

「うわあああああああっ、うわああああああああああああっ!」


 双獣雷は、身動きが取れない敬太へ追い打ちをかけるように強力な電流を放ちました。それは、敬太にとって死を宣告するものに他ありません。


 牛助は、ほんのわずかな油断が招いた事態に後悔の念を示しています。その間も、高圧電流を浴び続ける敬太の叫び声が響き渡ります。


「うわあああああああああっ、うわあああああああああっ……」

「わしが油断しなければ、こんなことにならなかったのに……」


 そんな中、ワンべえはわずかな望みをかけて敬太に叫ぶように呼びかけました。


「敬太くんがこんなところで死ぬなんてイヤだワン! ぼくは、これからもずっと敬太くんといっしょだワン!」


 その声を聞いた敬太は、何とかして巻き付けられた鎖を外そうと試みます。双獣雷による高圧電流を食らう続けても、歯を食いしばりながら必死に耐えています。


 そのとき、敬太の額がいきなり光り出しました。そのまぶしい光は、周りにいる獣人たちの目にも入ってきました。


「わわわわっ、ま、まぶしい……」

「何だ、あのまぶしい光は……。目が開けられない……」


 あまりのまぶしさに、獣人たちは思わず目をつぶってしまいました。これを見て、敬太はありったけの力で鎖を外そうとします。


「んぐぐぐぐぐぐぐっ、んぐぐぐぐぐぐぐぐぐっ!」

「げげっ! そんなバカな……」


 双獣雷は、大量の電流を浴びせている敬太がくたばらないことに驚きを隠せません。それを横目に、敬太は無理やり引きちぎろうと凄まじい力を入れています。


「あ、あれだけ敬太の体をきつくしばったのに……」

「ええいっ、えええ~いっ! ええええええええええええ~いっ!」


 そして、ついに敬太はしばられていた鎖を自らの力で砕くことができました。これを見た途端、獣人たちはその衝撃で思わず後ろから倒れました。


 敬太の周りには、砕かれた鎖が地面に散らばっています。突然の出来事に、獣人たちは何か言い出そうとしても声を出すことができません。


「獣人め……。どんなに痛めつけられても、ぼくは決してあきらめないぞ!」


 敬太は、獣人たちの前で両腕を曲げながら力こぶを見せています。それは、獣人たちを絶対にやっつけるという敬太の気持ちをそのまま表しています。

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