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《獣人のこども》おねしょ敬太くんの大ぼうけん  作者: ケンタシノリ
第6章 敬太くんとお寺の大家族

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その8

 季節は、まだ夏真っ盛りです。太陽の光が照らされて厳しい暑さが続く中、敬太は汗をいっぱいかきながら、大きな畑でサトイモや野菜の収穫に励んでいます。


 大ケガがすっかり治ったこともあり、畑仕事はもちろんのこと、お相撲の稽古や男の子たちとの水遊びをしたりと自由自在に動き回っています。


 敬太は畑仕事を終えると、本堂の前にいるおせいのところへ駆け寄りました。おせいは、こんなに暑い中にあっても元気いっぱいに動き回る敬太の姿に目を細めています。


 「おっかあ、ぼくにお手伝いしてほしいことがあったら何でも言ってね!」

 「ふふふ、敬太くんは何でもお手伝いをするのが大好きだね。これだけ動けるようになったし、これから山の中へ入って木を切ってもらえるかな」

 「おっかあ、木を切り倒すのはぼくにまかせて! 木こりのじいちゃから教えてくれたおかげで、自分で木を切り倒すことができるぞ!」


 おせいは、元気いっぱいで力持ちの敬太にぴったりのお手伝いをしてもらうことにしました。それは、山の中へ入って薪にするための木を切り倒すというものです。


 おせいは男の子たちを1人で育てていることから、あらゆる仕事を何でも切り盛りして行っています。そのため、おせいが山の中へ立ち入ることができる時間はかなり限られています。


 木を切り倒すことは、大人であっても非常に大変な仕事です。そんな中にあって、敬太は自分の力で木を切り倒すことができるので、おせいにとっても頼もしい限りです。


 「敬太くんのおかげで、私も本当に助かるわ。土間からまさかりを出すから、ちょっと待ってね」


 おせいは、庫裏の土間へ一旦戻りました。そして、土間にあったまさかりを持ったおせいは、再び本堂の前にいる敬太のそばへきました。


 「これは、木を切り倒すときに使うまさかりだよ。少し重いけど、敬太くんは持つことができるかな?」

 「おっかあ、ありがとう! このぐらいなら、片手で持つことができるよ!」


 おせいが持ってきたまさかりは、両手で持たないといけないぐらい重いものです。しかし、力持ちの敬太は右手だけで楽々と持ち上げることができました。


 すると、その様子をそばで見ていたワンべえが、敬太の足にへばりつきました。


 「敬太くん、ぼくを置いて行かないでほしいワン! いっしょに行こうワン!」

 「ワンべえくん、しょうがないなあ。それじゃあ、いっしょに行こうかな」

 「わ~い! 敬太くんといっしょに行けるワン!」


 ワンべえは、自分も連れて行ってほしいと駄々をこねました。そんなワンべえの気持ちに応えようと、敬太はワンべえをいっしょに連れて行くことに決めました。これには、ワンべえも足をピョンピョン跳ねながら喜んでいます。


 しかし、敬太といっしょに行きたいのはワンべえだけではありません。敬太たちがいるところを、たまたま貫吉と扇助が通りかかりました。2人はまだ3~4歳と幼いので、いろんなことがしたいと好奇心が旺盛です。


 「いいなあ、ぼくも行きたいなあ…」「いっしょに行きたい! 行きたい!」

 「仕方ないわね。貫吉くんも扇助くんも、敬太くんたちといっしょに行っていいわよ。その代わり、敬太くんの言うことをちゃんと聞くのよ」

 「わ~い! 敬太くんといっしょ! いっしょ!」「早く行こうよ! 行こうよ!」


 おせいは、敬太が大きな木を切り倒しに行く以上、貫吉や扇助を連れて行かないわけにもいきません。それは、敬太の男の子たちに対するやさしい気持ちがあることをおせいが知っているからです。


 貫吉と扇助は、おせいから敬太といっしょについて行くことを許されたので喜びを隠せない様子です。2人にとって、大好きな敬太やワンべえと山の中へ行くのが今から楽しみです。


 「敬太くん、貫吉くんと扇助くんをよろしく頼むね」

 「おっかあ、ぼくは小さい子供が大好きだから大丈夫だよ! それじゃあ、行ってくるからね!」

 「山の中には、恐ろしいマムシやスズメバチがいるかもしれないから、くれぐれも気をつけて行くのよ」


 敬太は、ワンべえや小さい男の子たちといっしょに、左右に石柱があるだけの出入り口から歩き出しました。おせいは、いつも元気いっぱいの敬太たちを見守りつつも、万が一のことを考えると心配しないわけにはいかないようです。



 敬太たちは、お寺から出て少し歩くと山道へ出るところがあります。そこを右の方向へ曲がると、敬太たちは上り坂になった山道を一歩ずつ歩き出しました。


 「ねえねえ、これからどの山へ行くの?」「どこなの? どこなの?」

 「おっかあが教えてくれた山の中に入って、大きな木をこのまさかりで切り倒してから丸太にするの。その丸太をまさかりで切り分ければ、火おこしに使う薪になるよ!」


 貫吉と扇助は、敬太の体にへばりつきながら離れようとしません。でも、それは敬太が2人の友達である何よりの証拠といえるものです。敬太は、切り倒した木がどうやったら薪になるのかを2人に分かりやすく教えています。


 敬太たちは、おせいたちが矢林村から離れて小さいお寺へ向かって行った道を逆方向に進んでいます。そして、上り坂から下り坂へ差し掛かるところまで歩くと、敬太は木々が生い茂っている山の中へ貫吉や扇助といっしょに入りました。ワンべえも、敬太たちの後を追うようについて行きました。


 「ねえねえ、薄暗くて恐いよ…」「恐いよ、恐いよ…」

 「大丈夫だって! ぼくがちゃんと守ってあげるからね!」


 山の中は、数多くの木々に囲まれています。そのため、昼間でも日が差し込むことが少ないので薄暗く感じます。これに敏感に反応した貫吉と扇助は、不安そうな様子で敬太の体にへばり続けています。


 敬太はそんな2人を励ましながら、山の奥へ入って行きました。すると、薪になる丸太にぴったりの大きな木を見つけました。


 「これなら、お寺へ持って帰る丸太にぴったりだぞ!」


 敬太は、右手で担いだまさかりを両手で持つと、どのようにして大きな木を倒すか考えているところです。貫吉と扇助がいっしょにいる以上、敬太は小さい男の子を危険な目に遭わせるわけにはいきません。


 「貫吉くん、扇助くん、危ないからワンべえといっしょにここから離れてね!」


 小さい子供2人をワンべえとともに安全なところへ避難させると、敬太は力こぶを入れながらまさかりを木の根っこに思い切り振り下ろしました。


 「えいっ! えいっ! えいっ! えいっ! えいえいっ! えいえ~いっ!」


 敬太が思い切り振り下ろしたまさかりは、大きな木の根っこに何度も命中しました。それは、木こりであるおじいちゃんが教えてくれたやり方を体で覚えているからです。


 そして、最後の一振りが力強く命中したそのときのことです。


 「メキメキメキッ、メキメキメキメキメキイイイ~ッ! ドドドドシッイイ~ンッ!」


 敬太がまさかりで切った大きな木は、土けむりを上げながら見事に切り倒すことができました。これを見た敬太は、自分の力で木を切り倒したことに喜びを隠せません。


 「うわ~い! でっかい木をこのまさかりで切り倒すことができたぞ!」

 「敬太くん、本当にすごいなあ!」「すごい!すごい!」


 大きな木を切り倒す音が響き渡るのを聞いて、敬太の周りには男の子たちやワンべえが次々とやってきました。そこに横たわっている切り倒したばかりの大きな木を見た男の子たちは、改めて敬太の凄まじい力強さに感心しています。


 すると、貫吉と扇助の男の子2人が急に腹掛けの下を押さえるようになりました。それと同時に、2人は次第に苦しい表情に変わってきました。


 「おしっこがもれそう…」「ちっこ、ちっこ(おしっこ、おしっこ)!」


 2人は、おしっこがしたいと敬太に訴えかけました。この様子を見た敬太は、すぐにおしっこをする場所をみんなで探すことにしました。


 そのころ、敬太たちがいる近くの草むらから何やらガサガサと音が聞こえてきました。しかし、敬太たちはまだそれには気づいていません。


 「あれっ? どうしてこんなところに敬太らしきチビが…。敬太はおれたちが放ったマムシに何ヶ所も噛みつかれてそのまま死んだはずでは…」


 草むらの中には、敬太と戦った獣人の1人が潜んでいます。獣人は、近くを通りかかった敬太の姿を見て驚いています。


 獣人にとっては、自分たちが放ったマムシの毒で敬太はもうこの世にいないと思い込んでいます。しかし、獣人の目に映ったのは、赤い腹掛け1枚だけで自由自在に動き回る敬太の姿です。その姿を見た獣人は、命を落としたはずの敬太がまだ生きていることがまだ信じられません。


 「うぐぐぐぐ…。あのチビめ、まだ生きていやがって…」


 獣人は、誰も気づかない草むらの茂みの中で身震いしながらも、必死に怒りを押し殺しています。逆に考えると、ここが敬太を始末する千載一遇のチャンスともいえます。


 そのとき、敬太は貫吉と扇助とともに、獣人が潜んでいる草むらの茂みに向かっています。貫吉と扇助は、おしっこがしたくて敬太の太ももにしがみついています。


 「敬太は、他のチビもいっしょにここへ連れてきているな。こりゃあ、ますます好都合になってきたぞ」


 獣人は、敬太たちを襲うタイミングを見計らおうと思案しています。すると、敬太たちが草むらの茂みへ近づいてきました。


 「敬太くん、早く! 早く!」「ちっこ! ちっこ! ちっこ!」

 「うわっ、わわわっ! 貫吉くんも扇助くんもしがみついたら、ぼくはここから動けない…。うわわわっ!」


 高く茂っている草むらの前で、男の子2人は早くおしっこがしたいとせがんでいます。2人が足にしがみついたままで放そうとしない状態に、敬太は思わず前のめりにこけそうになりました。


 その瞬間、敬太が右手で担いでいるまさかりの峰の部分でそのまま振り下ろしてしまいました。すると、ガツンと響く音が聞こえたので、敬太はもしかして誰かいるのではと感じました。


 「あれっ、ここには誰もいないぞ。あんなに大きな音が響いたのに、どうしてかな?」


 敬太は、大きな音が響いた草むらの高い茂みをこの目で確かめました。しかし、そこには誰もいません。ガツンと響く音はどうして聞こえたのか、敬太も不思議そうに戸惑っています。



 「いててっ、いててててっ…。あのチビめ、おれの頭を思い切り殴りやがって…」


 そのころ、草むらの茂みの中では、獣人が座り込んで大きなたんこぶができた頭を両手で押さえています。その表情は、まるでハンマーで思い切り殴られたみたいにかなり痛がっている様子であり、なかなか立ち上がることができません。


 ガツンと響いた音は、まさかりの峰の部分が獣人の頭に思い切り命中したときのものです。獣人は、まさかりを持っている敬太への怒りが頂点に達しました。


 「あのチビめ…。絶対に、絶対に許さないからな…」



 一方、貫吉と扇助は相変わらず苦しそうな表情を続けています。ガマンの限界が近づくにつれて、2人の足も次第に震えるようになりました。


 「ちっこ! ちっこ!」「おしっこがガマンできない…」


 敬太は、小さい男の子2人を順番におしっこさせることにしました。敬太は最初に扇助を両手で持ち上げて前抱きにすると、扇助は草むらに向かっておしっこをし始めました。


 「ジョジョジョジョ~ッ、ジョパジョジョジョジョジョ~ッ」


 扇助は腹掛け1枚だけの格好で両足を広げながら、草むらのほうへ向かって勢いよくおしっこをしています。おしっこがいっぱい出たことで、扇助はいつもの明るい表情に戻りました。


 敬太は、おしっこをするのを終えた扇助を地面に下ろすと、今度は貫吉を前抱きしながら両手で持ち上げました。そのとき、貫吉は敬太に何かを訴えかけるように言い出しました。


 「ガマンできない…。おしっこもうんちもガマンできないよ…」


 貫吉はおしっこだけでなく、うんちのほうもガマンの限界に達しています。これを見た敬太は、すぐに貫吉を持ち上げました。しかし、貫吉はずっとガマンしていたおしっこがその場で出てしまいました。


 「貫吉くん、ガマンできなかったの? もうちょっと前のほうでおしっこしようね」

 「ジョジョ~ッ、ジョパジョパッ…。ジョパジョジョ~ッ、ジョパジョパジョ~ッ」


 敬太は前抱きしている貫吉とともに、草木の茂みの手前まで出ました。貫吉は両足を広げながら、元気いっぱいのおしっこを出し続けました。


 おしっこを出し終えた貫吉は、続いてムズムズしているお尻に力を入れ始めました。敬太も、貫吉が草むらの中へ落ちないように両手で持ち続けています。


 「プウッ、ププウウウ~ッ…。うんっ! うんっ! うう~んっ! ううう~んっ!」


 貫吉はおならを2連発すると、何とかしてうんちを出そうといきみ声を上げています。そして、最後にもうひと踏ん張りすると、貫吉はいつもの明るい笑顔に戻りました。


 「敬太くん、こんなにいっぱい出たよ! いっぱい出たよ!」

 「元気なおしっこやうんちがいっぱい出てよかったね」


 貫吉は、今までガマンしていたおしっこやうんちがいっぱい出たので、とてもうれしそうな表情を見せています。敬太も、おしっこやうんちがいっぱい出た貫吉や扇助に明るい笑顔で声をかけました。


 「それじゃあ、さっき大きな木を切り倒したところへ戻るよ! みんなも、ぼくの後をついてきてね!」

 「敬太くん、先に行かないで!」「いっしょに行こ! いっしょに行こ!」

 「でへへ、それならみんなでいっしょに行こうかな」


 敬太は、自分が切り倒した大きな木のところへ再び戻ることにしました。しかし、貫吉と扇助は敬太の太ももにしがみつくと、再びそこから離れようとはしません。それでも、敬太はかわいい男の子2人のあどけない笑顔を見て、ますます元気が湧いてきました。


 「おっかあも、ぼくたちが帰ってくるのを待っていよ! 切り倒した木を丸太に切り分けたら、急いでみんなで帰ろうね!」


 敬太たちは、すぐに切り倒した大きな木のところへ行きました。すると、敬太はまさかりを使って大きな木を何本かに切り分けようとしています。


 「えいっ! えいっ! ええいっ! ええいっ! えええ~いっ!」


 敬太は地面にしゃがみ込むと、10本に切り分けた全部の丸太を縄でしっかりとくくりつけました。そして、敬太はそのまま背中に背負うと、足腰に力を入れながら立ち上がりました。敬太が背負っている丸太は、合計で約46貫(約172.5kg、1貫=3.75kg)とかなりの重さです。


 しかし、敬太はあれだけ重たい丸太を背負って堂々と歩き出しています。


 「これだけあれば、おっかあも大喜びするぞ!」

 「やっぱり、敬太くんはこんなに力持ちで頼もしいワン!」


 こうして、敬太たちはおせいが待っているお寺のほうへ戻ることにしました。丸太を背負っている敬太は、おせいの喜ぶ顔を見るのが今から楽しみです。



 「よくも、よくも…。おれの顔におしっこをこんなにぶっかけやがって…」


 山の中にある草むらの茂みからは、怒りが充満した獣人が姿を現しました。貫吉と扇助にかけられたおしっこで、獣人の顔はびしょびしょになっています。しかし、獣人の怒りはそれだけではありません。


 「おしっこだけじゃないぞ! おれの頭にこんな大グソをしたガキめ、見つけたらこの手で絶対に殺してやるからな…」


 獣人の頭の上には、こんもりと乗った貫吉のうんちがありました。それは、とぐろ巻きで黄土色をした子供らしい元気なうんちです。


 獣人は、おしっこやうんちを命中されたという屈辱に対する腹の虫が治まりません。怒りに震えている獣人の表情は、敬太たちに対する殺意に満ちたものとなっています。



 お寺へ戻った敬太は、持ち帰った丸太をまさかりで何本かに切り分けています。丸太を切り分けることで、火おこしに使う薪が出来上がります。


 薪のもとになる木の切り倒しから丸太の運び出し、そして丸太の切り分けと薪を作るためには大人であってもかなりの重労働を伴います。しかし、力持ちの敬太にとってはこんなことぐらいどうってことありません。


 すると、おせいが敬太のところへやってきました。おせいは、敬太が丸太を薪に切り分けているのを見ながら目を細めています。


 「敬太くんがここまでしてくれるので、本当に助かるわ」

 「ぼくは、生まれ育った村でもこのくらいのことは当たり前にやっていたからへっちゃらだよ!」


 敬太はまさかりを何度も力強く振り下ろしながら、幹の太い丸太を一気に切り分けていきます。これを何十回も繰り返すことによって、敬太は晩ご飯の火おこしに使うための薪を完成させることができました。


 夏の蒸し暑い中での作業であるだけに、赤い腹掛け1枚だけつけている敬太の体は汗がびっしょりです。それでも、敬太は相変わらず元気いっぱいで疲れ一つ見せません。


 「えいっ! えいっ! えいっ! えいっ!」


 敬太はまさかりを使って薪割りを始めると、慣れた手つきで薪割りを次々とこなしていきました。敬太は普段から薪割りを当たり前のように行っているので、まさかりを1回振り下ろすだけで簡単に薪を割ることができます。


 「晩ご飯の火おこしに使うのにこれだけあれば大丈夫だよ。敬太くんは何から何まで1人でやってくれるし、本当にありがとうね」

 「このくらいのことそれじゃあ、残った薪は雨にぬれないように土間の中へ持っていくからね!」


 おせいは、敬太が木の切り倒しから薪割りまで1人でこなしていることに感謝の言葉をかけました。おせいのやさしい言葉に、敬太はいつもの明るい笑顔を見せています。


 敬太は、残った薪を庫裏の土間のところへ持っていきました。これだけの薪があれば、あと3~4日は木を切り倒しに行かなくてもよさそうです。


 しかし、敬太は薪割りを終わった後にもう1つやり残していることがあります。


 「おっかあ、これから畑の水路でお魚を取ってくるからね!」

 「それだったら、ついでに水汲みもしてくれるかな?」

 「うん! 水汲みと魚取りが終わったらすぐ戻るよ!」


 敬太は、右手に桶を持つとすぐに隣の大きな畑へ向かって駆け出していきました。そして、大きな畑へ入った敬太は水路に面したところへ行くと、そのまま水路の中へ飛び込みました。


 「うわ~い! 水路の中に飛び込むのはとっても気持ちがいいよ!」


 敬太が水中へ飛び込むと、思わずうれしい歓声を上げました。あまりの気持ちよさに、敬太は水路の中を無邪気に泳ぎ回っています。


 「ここには、いろんなお魚がたくさん泳いでいるなあ。みんなのためにも、今日はお魚をたくさん取るぞ!」


 敬太が泳いでいる水路には、イワナやフナやアユといった川魚が数多く泳いでいます。敬太は、早速これらの川魚を両手で取り始めました。


 「えいっ、えいっ!」


 川魚をつかまえるのはそのまま手づかみで行うので、敬太の手からするりと離れてしまうこともあります。それでも、敬太は水路の中にいるイワナやアユを次々とつかまえていきました。


 「やったぞ! こんなにイワナやアユをつかまえることができたよ! これなら、今日の晩ご飯のおかずとしておっかあも喜んでくれるぞ!」


 敬太は水路のそばにあった笹で串を2つ作ると、その串にイワナやアユといった川魚を次々と刺していきました。自分でつかまえた8匹の川魚を両手で持つと、敬太は水をパシャパシャさせながら大喜びしています。敬太は、この川魚を早くおせいに見せたいとうれしさを隠せません。


 「お寺に戻る前に、桶の中に水を汲まないといけないね」


 敬太は持ってきた桶の中に水を汲み上げると、すぐに水路から上がりました。そして、大きな畑へ戻った敬太は、おせいがいる庫裏の土間のところまで歩いて行きました。


 「おっかあ、これを見て見て! 水路でこんなにたくさんお魚が取れたよ!」

 「今日は、敬太くんのおかげでおいしい晩ご飯を作ることができるわ」


 敬太は水を汲んだ桶を土間に置くと、串に刺した川魚をおせいに見せています。おせいは敬太から川魚を受け取ると、すぐに晩ご飯作りの準備に入りました。


 「おっかあ、今日も大きなイモを晩ご飯でたくさん食べるからね!」

 「ふふふ、大きなサトイモはたくさんあるからどんどん食べてね。いっぱい食べたら、それだけ元気なおならやうんちがいっぱい出るからね」

 「でへへ、イモをいっぱい食べて元気いっぱいのうんちが出るようにがんばるぞ!」


 こうして、庫裏の土間からは敬太とおせいのにぎやかな笑い声が聞こえています。敬太は自分で取ってきた川魚を見ながら、晩ご飯を今から楽しみにしています。

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