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1day

声をかけてきたのは同じくクラスの由美。


性格はかなりおとなしめでメガネを掛けていていかにも優等生という感じがする娘だ。


『どしたの由美ちゃん?』


由美の表情が何かに怯えている感じに見え結花は心配そうに声をかけた。


『さっき…し、死の予告メールがどうとか…話してたでしょ?…他に何か知ってることある?』


ハハッ…


まさかね…


しかし由美の表情は普通ではなかった。


それを見た裕は


『まさか…そのメールがきたとか?』


由美は静かに頷いた。

嘘だろ…


そんな馬鹿げた話あるわけないと思っていたが…

だが由美が嘘を言っている様には見えない。

(ここで詳しく聞くのもマズイな…)


どこか別の所で話を聞いたほうが良いな…


『ちょ…屋上行かない?ここじゃ…ほら?ねっ?』


きっと結花も同じことを思っていたのだろう。


周りを気にしながら

『そだね…由美、行こっか?』


三人は屋上へ向かった。




―屋上―


外は若干の雪が積もっているがとても晴れている。

屋上からは太陽の光でグラウンドなど周り一面がキラキラと輝いて見えた。

先程まで誰か居たのだろうか…

地面にはいくつもの足跡があった。


『由美?一体どうしたの?』


由美は涙を流しながら話し出した。


『ごめんね…実は……』


由美の話によると3日前の12/1の夜に部屋で一人でテレビを見ていた時だった…

ベッドの上に置いてあった携帯のバイブ音に気付き携帯を開けたら新着メールが届いていた。

時間は24時ちょうど…

普段はこんな夜にメールは来ないはずだから変には思ったらしい。差出人不明…

不気味に思ったが新着メールを見てみると

  

[君の『生』もあとわずかだね…人には変えられない運命というものがあるんだ…それが『死』であろうとも…大丈夫…『死』を恐れることはない。誰もがいつか必ず『死』を迎える……] 


彼女はそれを見た瞬間ただ呆然とするしかなかった…

何これ…

嫌がらせ?

どうせ誰かのイタズラに決まってる。

でもイタズラにしてはタチが悪すぎる…考えれば考える程由美は段々とイライラしてきた。

(寝る前に最悪だなぁ…友達でこんなイタズラする人いないと思ってたのに…)

ベッドで横になった由美は怒りから憂鬱な気分になりながら友達関係のことを考えながら目を瞑った。


翌日、学校の友人達に昨日きたメールについて聞いてみたが誰一人知らないと言うだけ。その日以来同じ様なメールや学校での嫌がらせっぽいのもなかったので由美の中でもう忘れようと思っていた時に、裕と結花の話を聞いてしまって思わず声をかけてしまったらしい。


裕と結花はしばらく声をかける言葉が浮かばなかった。

しばらくの沈黙を破ったのは裕だった。


『あのさ、そのメールって今も残ってる?』

やはり自分の目で確かめるまで信じることができなかった。


『…うん…』


由美はポケットに入れていた携帯を取り出し受信メールの画面にして裕に見せた。


裕はそのメールを見てしばらく黙っていた。(マジだ…イタズラにしちゃヒドイな…)


受け取った携帯を裕がじっくりと見ていると覗き見をしていた結花が口を開いた。


『なんか…これ変じゃなぃ?』


結花に言われて裕は改めてメールをよく見たがおかしい所は見当たらなかった。


『本文じゃなくて日付…今日は4日だょ?受信した日は1日…それなのに何で6日になってるの?』


結花に言われて裕もようやく気付いた。


『ほんとだ…由美気付いてた?』


由美は横に首を振った。

未来から来たメール?

ははっ…

んな馬鹿な…

そんなことあるわけない…

だがほんとに[死の予告メール]であるなら未来の日付ってのも納得ができるが…


『死ぬ…日?』


意外にも由美があっさりと答えてしまった。裕も結花もなんとなく気付いていたがとても口に出すことはできなかった。


『で、でもまだそうと決まったわけじゃないよ。K高校のことだって単なる噂だし…』


裕は慰めるように由美に声をかけた。


『嫌ぁぁぁ!!!まだ死にたくない!!!嫌よ!!!』


由美は急に人が変わったかのように泣き叫び屋上から走り去ってしまった。


『由美!!』


結花は慌てて由美の後を追った。


裕も追いかけたかったがここは同じ女性の結花一人のほうが良いと思い後を追わなかった。

 

『あっ…由美の携帯…後で返さなきゃ。』


裕は由美の携帯をポケットにしまいしばらく屋上からの景色を見つめていた。 

(噂を聞いてしかも自分のとこにもそんなメールがきたら普通に気が狂っちゃうよな…)


そういえばテレビや映画などで昔やっていたな…

それが現実で起こるのだろうか…

もし自分のところにもそんなメールがきたら…

結花のところにもきたら…

考えたくもない。


(手がかり…K高校と由美のこのメール…)


裕は何かを決心したかのような表情で教室へと戻って行った。 


屋上から階段を降りて戻っている途中、誰かが階段を上がってくるのに気付いた。


『裕?何してんのこんな所で?』


階段を上がってきたのは雅樹だった。

雅樹とは高校に入った時に仲良くなった友達だ。

1、2年生の時は同じクラスだったが3年生になった時にクラスが別になってしまったのだ。

雅樹には悪いが…正直ただの馬鹿だ。

好奇心旺盛で昔コイツにどれだけ迷惑をかけられたことか…

亮介とは全くの正反対のタイプだがいつも明るくてムードメーカーみたいな奴だ。


『あぁ、ちょっとね。』


雅樹は、ふぅ〜んと言う感じでこっちを見ていた。


『あっ、裕さ今日暇!?俺新しい服欲しくてさ!!お願い!K市まで付いてきてくんない?』


雅樹は手を合わせてこっちを見ている。


『一人で行けよ…どーせデートに来てく服買いに行くんだろ?』


裕はちょっと呆れた感じで答えた。


『正解☆一人じゃ寂しいじゃん!!飯おごるからさ♪なっ?』


待てよ?

K市?

ちょうどいいな…


『わかったよ…でもちょっと俺にも付き合ってくんない?』


一人で行くよりマシだもんな…


『サンキュー!!んぢゃ放課後裕んとこのクラス行くわ!!』


そう言い残すと雅樹は屋上へ向かって行った。


(アイツ…また煙草か) 

やれやれという感じで裕は教室へ戻った。  

  

―教室―


昼休みももうすぐ終わる時間。

裕は教室に戻り辺りを見回す。

由美の姿が見当たらない…

鞄もないようだ…

裕の席には結花が座っていた。


『結花、由美は?』


結花は今にも泣き出しそうな感じで喋った。

『帰るって…必死で止めたんだけど…駄目だった』


しょうがない…由美からしたら学校に居れる気分じゃないよな…


裕は自分の机の上に座りそっとポケットから携帯電話を取り出した。


『あっ…由美ちゃんの』


『結花って由美ん家知ってるよな?今日返してきてほしいんだけど…』


結花はコクリと頷き裕から携帯電話を受け取った。

しかし結花は何故か裕をジッと見ている。


『な、なんだよ?』


結花の視線をまともに受け止められない裕はとっさに視線を逸らした。


『私…一人で?』


キーンコーンカーンコーン…


昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。


『ごめん…今日用事があってさ…』


裕は結花にははっきりとした理由は伝えなかった。


『そか…』


結花は寂しそうに自分の席へと戻って行った。






―放課後―



授業が嫌いな俺はいつもこの時間になると開放的な気分になる。

真面目に授業を受けていい大学に入っていい会社に入ったっていい人生を送れるとは限らない。

友達と…結花と一緒に居られればそれでいい…


裕はそんなことを考えていた。


『なーにボォ〜っとしてんだよ!!ほら、行くぞ!!』


雅樹の一言で裕は我にかえった。


『んだよ…びびらせんな!!』


裕は教科書を鞄にしまい席を立とうとした瞬間


『裕、じゃあ私行くね!!』


裕の目の前にいきなり結花の姿が写った。


『あぁ、悪いな…まかせたぞ!!』


そう言うと結花は右手の親指をグッと立てて教室を出ていった。


雅樹はその光景を見てクスッと笑っていた。

『んぢゃ雅樹、行きますか…』


二人も教室を出て駅へ向かって歩いていった。

  

  

30分程電車に揺られK市に着いたのは5時半過ぎだった。


裕の住んでるN市と比べて比較的都会な感じがするところである。駅を降りて10分程歩けばモール街に行ける。

雅樹はモール街で3件程の服屋に立ち寄りサクサクと買い物を済ませる。裕はその後ろをただ付いて行くだけ。

いつも雅樹は一緒に来ても自分勝手な行動を起こすのだが裕はもうそれに慣れてしまったらしい。


『へへッ、こんなもんかな!!サンキュー裕!!飯屋行くか?』


雅樹は満足そうな顔をして歩きだした。


『あぁ…悪いんだけど飯はいいからK高まで付いてきてくんない?』


裕の言葉に雅樹はいまいち理解していない表情で答えた。


『K高?なんで?』


雅樹は首をかしげたままだったが裕は半ば強引にK高まで連れて行った。



 


―K高校前―



さすがに6時を過ぎると生徒の姿はそんなになかった。

しかし裕と雅樹は正門の前で立っていた。


『なぁ?いい加減に教えろよ?』


雅樹は両手をポケットに入れたままその場に座りこんだ。


『後で教えてやるよ。』


さすがに夕方になると冷えてくる。

裕は手をさすりながらジッと待っていた。


雅樹はチェッとつまらなそうな顔をして言う通りに待っていた。


すると一人の教員らしき人の姿が見えた。


裕はその人物をジッと見てとっさにその人物のところへ走り出した。


『お、おい!!』


雅樹は急に走り出した裕を見てとっさに声を出したが裕にはその声は届かなかったようだ。 


近くで見ると黒髪のロングで結構細身の感じの女性であった。


『あっ、すいません…教師の方ですか?』


女性はパッと振り向き少し驚いた感じで喋った。


『そうだけど…君は?ここの生徒じゃないでしょ?』


意外と他校の生徒なのにすんなりと受け入れてくれた感じがした。

『はい…あの先日バイク事故で亡くなった者の友人なんですけど…』


もちろん嘘だ。

顔も知らないしもちろん名前だって知らない。


『あら?高崎君のお友達?』


女性は疑う気配もなくすんなりと話してくれた。


『はい…でも彼がこっちに来てから連絡取れなくて…それで亡くなったって聞いてびっくりして…できれば彼の家の住所を教えてほしいんです。彼の親にも挨拶しておきたいですし…』


名前も住所も知らない…

K高校の生徒に聞いてもわかるのは名前くらい…

教師に聞けば上手くいけば住所まで聞き出せる…

裕は危ない賭けだとは思ったがこれが一番早いと感じ実行した。

おかげで名前と住所を上手く聞き出せた。


正門を出るとそこには雅樹の姿がなかった。

(雅樹?)


もしかして理由を話さなかったから怒って帰ってしまったのだろうか?


裕はすぐに雅樹の携帯へ電話をした。


プルルル…

プルルル…

プルルル…


『はい?』


3コール程で雅樹は電話に出てくれた。


『雅樹!!今どこだよ?』


突然いなくなったせいなのか、裕は少し怒り口調で言ってしまった。


『ニコチン切れ(笑)、悪ぃな…今戻りるわ!!』


またか…裕はそう思ったが口には出さなかった。


『まぁ俺も理由話さなかったのが悪いんだけどな…実は…』


裕は電話で一通りの出来事を雅樹に話した。

『マジ!?…てかさぁ、それ俺のとこにもきたぜ?』



!?



裕は耳を疑った…



『雅樹…今何て言った?』



裕は一瞬すごい悪寒を感じた…


『だーかーらー、俺んとこにも来たっての!!そっち着いたら見せてやるよ。』



『何で何も言わなかった!?』


と裕が叫び出した瞬間…




キィィィ――ッ!!


ガシャ―――ン!!! 


電話の向こうからブレーキ音と激しい衝突音が聞こえた…


それと同時に何かがすり減るような音も聞こえた。



激しい音で裕の左耳は耳鳴りがした状態だった。


『雅樹!?…おい!?…雅樹―ッ!?』



返事はなかった…



電話の奥からはかすかに人の叫び声と救急車を呼べと言う声だけが聞こえた…

(=ノ∀;)誤字脱字などありましたら教えてください(泣)

急いでUPした為確認してましぇん…

すいません…

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