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チートな御一行

 うちのパーティーは強いです。




 女剣士ことお姐様ねえさまの強烈な一撃が容赦なくモンスターを襲う様子を遠巻きに眺めている私に、背後から声を掛ける人がいた。


「ありゃー痛いだろうなあ」

「でしょうねえ」

あねさん容赦ねーからなあ」


 けらけらと楽しそうに笑うのはラルドさん。魔法使いのお兄さんで、女性に優しいフェミニスト。本来なら鮮やかなグリーンの髪は目立つからという理由で緑がかった黒に染まっている。なかなか高度な魔法である。

 口が達者で人の懐に入るのが上手く、買い物の際の交渉は必ず彼にお願いする。何かと器用で便利な人だ。


「そうですね。ところでラルドさんは行かなくていいんですか」


 身長差分を見上げながら尋ねると、彼は笑って首を振った。


「だめだめ、これで俺まで出ていったら完璧いじめじゃん」

「でも早く終わりますよ」

「大丈夫、もう終わったみたいだし」


 ほら、と示された先で燃えるような赤が宙に舞う。同じ色をしたアーモンド型の瞳がこちらを見て、それからにっこりと笑った。







 ルビアお姐様は名の通りルビー色の素敵なお姉さんだ。自分の色をなびかせて豪快に剣を振るうその姿はさながら戦いの女神といったところか。

 パーティー最年長ということもあり、皆を気にかけてくれる頼もしい人。たまにラルドさんを顎で使っているが私には優しい。お酒をこよなく愛する、色々な意味で強い女性である。


「で? この後は何すればいいのさ」

「姐さん気合い入りすぎ。ちょっとはこいつに分けてやればいいのに」


 ラルドさんがこいつと言いながら隣の男性の肩に手を置いた。男性は眉間に皺を寄せたまま何も言わずに彼を見る。


「ラルドさん、勇者様が嫌がってますよ」


 私の声でラルドさんが離れると、勇者様は頭上にワールドマップを取り出した。いわゆる地図のような物だが、彼が出すそれは羊皮紙ではない。手には取れない、向こう側が透けて見えるような変なもの。

 つまりこれもチート。


「このまま北へ進めば四、五日で次の村に着く」

「四日もかかるのかい」


 あれこれ言い合いながらマップを眺める様子を少し離れたところから微笑ましく見守る。

 改めて見るとうちのパーティーは凄い。勇者様の金色、ルビアお姐様の朱色、カイさんの翠色。それから、私の薄水色。

 何とも目に痛い集団だ。

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