第一章 19話
納得のいく出来ではなかったですが投稿させていただきます。
誤字があるかもしれません・・・
見つけましたら報告ください。
もうそろそろ第一章が終わると思います。
デリルを出発して2日目、奴隷商人の前にその男は現れた。
「すみません、貴方は奴隷商人でよろしいですか?」
「何者だ?私は急いでおるのだ、そこに居ては馬車が通れないではないか退かぬか」
「いや、馬車を動かされては困ります、貴方は一人でスレイブタウンに帰って頂かなければいけないのです」
その男は馬車の前で堂々と奴隷商人にそう告げた。
「なんだ、お主、これ以上ふざけた事を言っておると叩き切るぞ」
そう言って雇った剣士達に攻撃態勢の指示をとる。
男は奴隷商人の護衛に剣を突き付けられた。
「さぁわかっただろう、早くどくのだ」
「わかりました、出来れば気持ちのいい交渉にしたかったのですが」
そういうと男は手を上げた。
すると地面に魔法陣が浮かび護衛が吹き飛んだ。
「くそ、魔法使いか、だがこちらには30人も護衛が居るのだ、たった一人で何が出来る」
「何を言っているのですか、私は、1人じゃありません」
男がそう言うと、もう1人大剣を持った剣士が現れた。
「な!お前は・・・」
奴隷商人の前に現れたのは先日大会で優勝者だった。
「では、話を続けます、貴方が手に入れた、約400人引き取らせていただきます」
「な、どうしてそれを知っているのだ、こいつ等の仲間なのか?」
「はい、そうです・・・この交渉が決裂した時何が起こるかもうお分かりでしょう」
死を免れるため、奴隷商人は、手を上げ降参を表明し、男の持っていた、契約書にサインを書いた。
私は、日本に居た頃は中学教師だった。
特に熱心に生徒と接していたわけでもなかった。
だから、私は、生徒には、好かれても嫌われてもいないどうでも良い教師としての位置付けだったろう。
だがそんな私でも、この世界に召喚された時は、職業病だろうか、同じ教会に召喚された中学生と高校生は気になってしまった。
やはり、高校生はアルバイト経験があったのだろうか、他人と接する能力と、ある程度の社会知識があったため、他の社会人、大学生位の人達と同様、上手くこの世界に馴染もうとしていた。
そして、やはり問題は中学生だった。
まだ、大人びているとはいえ自分でお金を稼ぐという事や、他者との関わり合い場数の少ない子供達はやはり上手くこの世界に適応できていなかった。
私自身は、ギルドでの依頼受付が出来なかったが、富裕層の大人達を通して、上手く家庭教師の様な職を手に入れる事が出来た。
家庭教師と言う職を通して、この世界の情勢や、どの時間軸に当てはまるかという情報を手に入れ、早くこの国を出ないといけないと思う中、やはりまだ、教会で寝泊まりをする子供達が気になっていた。
私は数日間、この世界の生徒の家に泊まってまた一度教会に戻って来た。
状況はやはり酷くなっていた、人数は約300人弱程度、いまだにこの教会を出ていない子供達もいる様だった。
だが、その中で気になる人物がいた。
大学生くらいの男性と高校生くらいの女性。
多分、兄妹だろうか、2人は、お互いにいがみ合いながら教会の子供達にどこから持ってきたのか沢山の食料を子供達に分け与えていた。
その兄弟は、子供達に何度も話しかけていた、男は独特な喋り方で男の子の相手を、女は明るく元気に女の子を、それはこの教会の唯一の光だった。
その光景を見て、私は毎晩、この教会で寝泊まりする事にした。
次の日もその兄弟は食料を持ってきていた。
子供達はその姿を見ると笑顔をとみ戻しつつあったが、やはり300人分の食料には届かず、体力のありそうな子供達を上手く使って、弱っている人達優先的に与えていた。
さらに2人は子供達に話し続けた、この世界の事や、どうすれば仕事が出来るか。
その話を聞いて、少しずつ、この教会を出ようと言う子供たちが現れてきた。
だが、それは無残にも最悪な結果に終わった。
その夜は、異様な雰囲気だった、子供達もその夜は少しザワザワと落ち着きが無かった。
まず、初めに気がついたのはやはり兄妹だった。
外に数人の怪しげな影を見つけた2人はすぐに子供達を出入り口近くに呼び集めた。
2人は、素早く扉を開き外に出て動ける子供たちから外に逃がした。
いきなり走り出した、子供達に気がついた複数の男たちはすぐに集まり捕えようと襲いかかった。
兄妹は男達に抵抗したが、武器を持っていなかったため、子供達を庇って簡単に捕えられてしまった。
私は、身体が動かなかった、それに今までただの傍観者が子供を助けるなんて。
と言う思いが心の中に渦巻いていた。
子供達が逃げ惑う中、私は潔く捕まってしまった・・・。
2人のおかげで助かった子供達は約50人程度、
残りの250人近い人数が檻の様な馬車に揺られ続け、体力と精神が徐々に削られていった。
数日の馬車の中、十分な食料もないまま、何処かの大きな体育館の様な場所に運ばれた。
そこには教会の時以上の人数が捕えられていた。
そこは地獄でしかなかった。
憔悴しきって倒れているものや、目が虚ろなものなどが居た。
兄妹も流石に表情に疲れが見えてきていた。
そして、数日後、100人程度連れて行かれ、皆が恐怖や諦めの表情が覆い尽くすようになった。
皆が絶望の中、扉が開いた。
それは光だった。
「落ち着いて聞いてくれ、私たちは皆を助けにきた」
そう、男が口を開いた。
途端に周りがざわつき始めた。
そして一人が声を上げた。
「先輩!」
それは今まで子供達を励まし続けた妹の声だ。
その声は震え、顔は涙を浮かべていた。
妹の涙は、励まされてきた子供達に助かったと言う確信が生まれた。
「今まで良く頑張ったわね」
妹は泣き出した。
兄も顔を下に向けている。
その時、私は思った。
なぜ私はこの2人の様に子供達の助けになれなかったのか。
なぜ私はこの2人の様に子供達を励ます事が出来なかったのか。
なぜ私はこの2人の様に子供達の希望になれなかったのか。
そう、あの2人は特別では無いのだ。
何処にでもいるただの兄妹なのだ。
私はこの時やっとその事に気がついたのだ。
妹は扉の前の女性に抱きついた。
兄もそれにつられて駆け寄る。
「皆、聞いてくれ、もうすぐ、先に連れられた者たちが戻ってくるその間に聞いて欲しい事がある」
そう最初に言葉を発した男がまた口を開いた。
「今から、食料を皆に配る、だがそれは今日だけだ、明日からは自分の手で金を稼ぎ生なければならない」
皆は静かに聞いていた。
「ここは日本では無いのだ、何もしないで食べ物や、寝る場所は手に入らない、ならばどうすれば良いか?答えは簡単だ、自分でこの世界に適応し、自分で生きていかなければならない、出来なければ、またこの状況が待っているだけだ、今度は助けが来ると思うな、奴隷としてこの世界で一生を過ごす事になる」
男の言葉は厳しい内容だった。
だが、それ以上に私達を思っていてくれた。
「今、この街では大手ギルドが3つもある、もう、言い訳は出来ない、自分の力を信じろ、諦める事は死に直結するのだ」
そこで言葉は終わる。
子供達はその言葉を深く受け止めていた。
もう二度とこの様な状況に陥りたく無いだろう。
皆、目に生きる希望を取り戻していった。
そして次々に食事が配られた。
子供達は涙を流しながら食べていた。
開放された喜びと生きる喜びを噛み締めていたのだ。
「皆、食べながら聞いてくれ、これは一つの提案だ」
また、男は口を開いた。
「私は、君たちを拉致した国を許さない、そこでこれから半年かけて準備をする」
そして皆を見渡しながら声放つ。
「奴隷育成国、レイドのスレイブタウンを手に入れる」
その男の言葉は、核心だった、絶対に出来ると言う自身に満ち溢れた言葉だった。
そして私は思ったのだ、私は、こんなことをしている場合ではなかったのだと、自分より若い者がここまでこの世界で生きる事に真剣になっているのに、自分は何なのだと。
そして私は決心した。
私は、この世界で生きる意味を探そうと、自分を見つけようと。
「では、半年後、自分に勝ち、強さを手に入れた者はここに集まってくれ、その時、私達は、この世界を変える者になる!」
この時、この世界の歴史が大きく移り変わる瞬間だった。
何とか第一章を綺麗に終われないかを試行錯誤しています。
第二章も大まかな構成が出来ましたのでこれからも頑張っていきます。
感想、評価お待ちしております。




