表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
血を与えたら進化しすぎた件~世に出回るアーティファクトも東京に出来たダンジョンも多分俺のせいだけど面白いからいいよね~  作者: 唯之助


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/52

第27話「境界の門」

 深夜1時。新宿区、歌舞伎町。


 かつてはネオンが夜空を焼き尽くしていたこの街も、今は半分以上の店舗がシャッターを下ろしている。120万人が東京を離れた影響は、歓楽街を直撃していた。人通りは激減し、残っているのは行き場を失った人間と、混乱に乗じて暗躍する者たちだけだ。


 その裏通りに、一軒のバーがある。


 看板はない。入口は狭く、地下に降りる急な階段があるだけだ。知る者だけが訪れる、隠れ家のような店。


 階段を降りると、薄暗い空間が広がった。カウンター席が8つ。テーブル席が4つ。壁には古い世界地図が貼られ、その上に無数のピンが刺されている。


 カウンターの奥に、一人の男が座っていた。


 名前は、御堂蓮司。32歳。


 一見すると、どこにでもいそうな青年だ。中肉中背。黒い短髪。目立つ特徴はない。だが——その目だけは異質だった。深く、静かで、どこか遠い場所を見ているような目。この世界のどこにも焦点が合っていないような、奇妙な虚ろさを宿している。


 彼の前にはグラスが一つ。中身はウイスキーだが、ほとんど手をつけていない。


 彼が見つめているのは、壁の世界地図だ。東京を中心に、赤いピンが55箇所に刺されている。ダンジョンの出入口の位置だ。先週2箇所増えたから、明日には更新しなければならない。そして青いピンが六本木に一つ。吸血鬼(自称)の占拠地点。


 だが御堂の視線は赤いピンにも青いピンにも向けられていない。


 彼が見ているのは、地図の端——世界の果て。その先に何かがあると信じている男の目だった。


 バーのドアが開き、階段を降りてくる足音が聞こえた。


 複数だ。


 最初に姿を現したのは、女だった。20代後半。長い黒髪を無造作に束ね、革のジャケットを羽織っている。左頬に、古い切り傷の痕がある。名前は九条凛。元フランス外人部隊の衛生兵だ。


 続いて、大柄な男。40代前半。坊主頭に、太い首。顔の右半分に火傷の痕が広がっている。名前は轟木鉄平。元傭兵。アフリカと中東の紛争地帯を10年以上渡り歩いた。


 三人目は、細身の青年。20代前半。銀縁の眼鏡をかけ、いかにも知性的な顔立ちだ。だが指には銃だこがあり、歩き方には軍事訓練を受けた者特有の重心の低さがある。名前は氷室透。元公安調査庁の調査官だが、本当の経歴は闇の中だ。


 最後に入ってきたのは、小柄な老人だった。60代後半。白髪を後ろで一つに縛り、枯れ木のように痩せた身体をしている。だが足運びには一切の隙がない。名前は鶴見源蔵。元陸上自衛隊特殊作戦群の教官であり、退役後は民間軍事会社の顧問を務めていた。


 4人が、カウンターに座る。


 御堂が全員の顔を見回した。


「揃ったな」


 バーテンダーが全員にグラスを配った。この店の主人であり、御堂の古い知人だ。


 御堂が口を開いた。


「まず、報告から聞こう。鶴見さん」


 鶴見が低い声で答えた。


「防衛省が動いている。対超常脅威の特殊部隊を新設するらしい。市ヶ谷の地下で、フェロモン指数の高い冒険者を集めて評価テストを行っている」


「指揮官は」


「巖道征四郎。巖道無双流の宗家だ。鑑定の鏡で計測した指数が30以上と言われている。化け物だよ、あの爺さんは」


 御堂が、わずかに目を細めた。


「巖道征四郎か。名前は知っている」


「会ったことは」


「ない。だが鶴見さんの古巣の特殊作戦群にも武芸指南をしていた方だろう。サンライズの犠牲者にも門下生がいたと聞く」


 鶴見が苦笑した。


「ああ。儂も現役時代に何度か稽古をつけてもらった。30年前の話だ。フェロモンなど存在しない時代に、すでにあの男は化け物だった。儂が一撃も返せぬまま床に転がされた。今のあの男はその頃の10倍は強い」


 九条がグラスを傾けながら尋ねた。


「で、政府の特殊部隊が私たちに何の関係が」


「直接は関係ない。だが知っておく必要がある。ダンジョンの深層に本気で潜る人間が、我々以外にも出てくるということだ」


 轟木が太い腕を組んだ。


「邪魔になるか」


「ならないようにする。我々と彼らでは、目的が違う」


 御堂が壁の地図を指した。


「彼らの目的は吸血鬼の排除とダンジョンの脅威の制御だ。我々の目的は——」


 全員を見回した。


「異世界への到達だ」


 その言葉に、全員が頷いた。


 この5人は、「境界の門」と呼ばれる組織の中核メンバーだった。


 現在、表向きは、ダンジョン攻略を専門とする民間企業「ボーダーライン・エクスプロレーション」。ダンジョンの調査、アーティファクトの回収、冒険者への支援サービスを提供している。従業員は32名。全員が何らかの戦闘経験を持つ。


 だがその裏には——異世界への到達を最終目標とする、思想集団としての顔がある。


 御堂蓮司がこの組織を立ち上げたのは3年前だ。


 彼は子供の頃から「この世界の外」に執着していた。ファンタジー小説、ゲーム、映画——異世界を描いた作品を貪るように消費し、やがてそれが単なる趣味を超えた渇望に変わった。


 だが御堂は夢想家ではなかった。


 異世界に行きたいという願望を、彼は徹底的に「実行可能な計画」に落とし込んだ。まず自分の身体を鍛えた。異世界に行けたとしても、そこで生き延びられなければ意味がない。総合格闘技を学び、射撃を習得し、サバイバル技術を身につけた。そして実戦経験を積むために、紛争地帯に身を投じた。


 シリアでは反政府勢力の傭兵として。ミャンマーでは少数民族武装組織の軍事顧問として。ウクライナでは義勇兵として。


 正気の沙汰ではない。異世界に行くために戦場に行く人間など、世界の歴史を探しても御堂くらいだろう。だが彼にとっては一貫した論理だった。異世界に門があるなら、その門は安全な場所にはない。危険な場所に踏み込む覚悟と能力がなければ、門の前にすら立てない。


 その過程で、同じ志を持つ者たちと出会った。異世界への到達を夢見る、しかし単なる夢想家ではない者たち。実戦で命をやり取りし、それでもなお「この世界の外」を求める者たち。


 九条凛は、フランス外人部隊を除隊後に御堂と出会った。彼女が外人部隊に入った理由は「人間として生きられる限界を知りたかった」からだ。そして限界を知った後、「限界の向こう側」を求めるようになった。


 轟木鉄平は、傭兵稼業に嫌気がさしていた頃に御堂に声をかけられた。「戦うことしか能がない」と自嘲する彼に御堂は言った。「戦う力を、もっと面白いことに使わないか」と。


 氷室透は、公安調査庁時代に「超常現象」を担当するセクションに配属されていた。公式には存在しないそのセクションで、世界各地の異常事象を調査していた。やがて組織の限界を感じ、御堂の元に合流した。


 鶴見源蔵は最も遅く加わった。退役後の彼に、御堂が直接会いに行った。「あなたの経験と知識が必要です」と。鶴見は最初、御堂を狂人だと思った。だが彼の目の奥にある覚悟を見て、考えを改めた。


 この5人を中核に同志が集まり、やがて32名の組織になった。全員が身体を鍛え、実戦経験を積み、そして「異世界」を本気で信じている。


 ダンジョンの出現は、彼らにとって天啓だった。



 御堂がグラスのウイスキーを一口含んだ。


「本題に入る。ダンジョンの最新状況だ。氷室」


 氷室がタブレットを取り出した。


「現在、我々のチームが到達している最深部は地下78メートルです。民間の到達記録としてはトップクラスですが、深層の壁はまだ厚い」


「78メートルか」


 御堂が地図上のダンジョン断面図を見つめた。


「ダンジョンの最深部は地下120メートル以上と推定されています。拡大は継続中です。掲示板の情報では、先週だけで新たに2つの入口が出現し、現在見付かっている箇所だけでも60近いです。深さも日々増している」


 氷室が頷いた。


「はい。ダンジョンの構造自体が変化し続けています。通路が伸び、新たな空洞が生まれ、蟻の密度も増している。正直、現時点で最深部突入を強行するのは無謀です」


「理由は」


「三つあります。第一に、地下80メートル以降の情報が圧倒的に足りない。エリート兵隊蟻の数、巡回パターン、モンスター化した元冒険者の配置——断片的な証言しかなく、作戦を立てられる水準に達していません」


「第二に装備が不十分です。特に瞑想のアメジストが2個しかない。市場に出回り始めたのはここ最近ですが、価格が高騰しています。深層のフェロモン濃度に長時間晒されれば、高品質な護符やアメジストなしのメンバーは中毒で戦闘もままならなくなる」


「第三は」


「我々自身の実力です」


 氷室が率直に言った。


「メンバー32名のフェロモン指数は、鑑定の鏡での計測で平均16。最高は御堂さんの19。限界値は——御堂さんが28、鶴見さんが26、九条が25、轟木が27。突入チームの中核メンバーはまだ限界値に遠い。実戦経験は豊富ですが、ダンジョン深層の戦闘は人間同士の戦いとは根本的に違います。3メートルのエリート兵隊蟻や元人間のモンスター相手に、現在の実力で最深部まで到達できる確率は——控えめに言って10パーセント以下です」


 沈黙がバーに落ちた。


 轟木がグラスを置いた。


「つまり、今はまだ早い、と」


「はい。急いで死ぬより、確実に行ける態勢を整えるべきです」


 御堂は黙って聞いていた。


 焦りがないわけではない。ダンジョンは今この瞬間も変化し続けている。政府の特殊部隊が先に最深部に到達するかもしれない。あるいはダンジョン自体が何らかの変化を起こし、門が閉ざされるかもしれない。


 だが——御堂は3年間待ち続けた男だ。異世界への到達を夢見て、紛争地帯を渡り歩き、仲間を集め、組織を作った。その3年間に比べれば、数ヶ月の準備期間など誤差に過ぎない。


「……氷室の言う通りだ」


 御堂が口を開いた。


「今は力を蓄える時期だ。焦って突入して全滅したら、二度目はない」


 九条が腕を組んだ。


「具体的には何をする」


「三つだ」


 御堂が指を立てた。


「一つ。情報収集の強化。深層に到達した冒険者との接触を増やし、80メートル以降の地図を完成させる。金に糸目はつけない。冒険者ギルドにも情報協力の人間を送り込め。あそこは今、地下60メートルまでの地図をほぼ完成させている。その先の断片情報も集まっているはずだ」


「二つ。装備の拡充。瞑想のアメジストを最低10個は確保する。突入チーム全員に行き渡らせる。ギルドを通さず、直接ダンジョンで回収する。出現率が低いから時間がかかるが——焦らない」


「三つ。全員のフェロモン指数を底上げする。計画的にダンジョンに潜り、安全な範囲でフェロモンを吸収する。目標は突入チーム全員の指数を最低でも20以上にすること。20あれば最低限80m以深での活動が可能だ。そこから先は装備と戦術で補うしかない」


 轟木が低い声で唸った。


「20か。そこまで上げるのにどれくらいかかる」


「個人差がある。だが週3回のペースで中層に潜れば、月に2ポイント程度の上昇が見込める。俺で言えば19から20はあと1ポイント。だが鶴見さんや氷室がまだ16前後だ。そこから20まで4ポイント。——2ヶ月から3ヶ月というところだ。中毒管理を並行しながらなら、もう少しかかる」


 鶴見が静かに口を開いた。


「その間にダンジョンがどう変化するか分からんな。拡大が続けば最深部はさらに深くなる。敵も増える」


「ああ。だがそれは我々にとって悪い話ばかりではない」


 御堂が壁の地図を見つめた。


「ダンジョンが拡大すれば新しいアーティファクトが出現する可能性がある。より強力な装備が手に入るかもしれない。そして——ダンジョンが深くなればなるほど、その最深部に何があるのかという謎も深まる」


 御堂の目が微かに光った。


「異世界への門があるとすれば、それはダンジョンの最も深い場所にあるはずだ。ダンジョンが拡大するなら、門もまたより明確な形で現れるかもしれない」


 九条がグラスを傾けた。


「希望的観測ね」


「ああ、そうだ。だが希望がなければ俺たちはとっくに死んでいる」


 御堂がわずかに笑った。紛争地帯で何度も死にかけた男の、乾いた笑みだった。


「それともう一つ、やっておくことがある」


 御堂が氷室に視線を送った。


「ダンジョンの根源を調べろ」


「根源」


「ダンジョンはただの自然現象じゃない。誰かが——あるいは何かが作ったものだ。女王蟻が核になっているのは間違いないが、女王蟻自体が何者かに作られた可能性がある」


 氷室が眼鏡の位置を直した。


「掲示板やSNSでそうした考察は散見されます。蟻が通常の蟻とはまったく異なる生態を持っていること。アーティファクトという人工物に近い構造の物体を生成すること。フェロモンが人間の身体能力を恒久的に強化すること——すべてが自然進化では説明がつきません」


「だろう。ダンジョンには作り手がいる。その作り手が何者なのかを突き止めることが、最深部に到達するのと同じくらい重要だ」


 鶴見が腕を組んだ。


「作り手か。仮にそれが人間だとしたら——」


「恐ろしい話だな」


 轟木がグラスの中身を一気に飲み干した。


「一人の人間が東京の地下に巨大な蟻の巣を作り、超常的なアイテムを量産させている。そんなことが可能な人間がいるとしたら、そいつは何者だ」


 御堂が黙ってグラスを見つめた。


「……分からない。だが、いずれ分かる」


 御堂が立ち上がった。


「今日のところは以上だ。各自、通常業務を続けながら俺が言った三つの準備を進めてくれ。決行の時期は——ダンジョンの状況と我々の準備が整った時に改めて決める」


 全員が頷いた。


 九条が最後に一つ尋ねた。


「最深部突入の作戦名は、もう決めてあるの」


 御堂がバーの階段に足をかけた。振り返らずに答える。


「オーバーロード」


「大層な名前ね」


「大層なことをやるんだ。名前くらい大きくないと釣り合わない」


 御堂が階段を上がっていく。


 残された4人が顔を見合わせた。


 九条が小さく笑った。


「相変わらず、あの人は本気なのよね」


「本気じゃない奴が、紛争地帯を3つ渡り歩くか」


 轟木が空のグラスを置きながら言った。


「あの目を見れば分かる。御堂は——この世界じゃ満足できない人間だ。どこまで行っても、まだ先がある。まだ向こう側がある。そう思い続ける男だ」


 鶴見が静かに立ち上がった。


「だからこそ儂らがついている。あの男を異世界とやらに送り届けるためにな」


 4人がバーを出ていった。


 バーテンダーが空になったグラスを集めた。壁の世界地図を一瞥し、小さく息を吐いた。


 地図の端に刺されたピンが一つ。他のどのピンとも違う、金色のピンだ。


 それが何を意味するのか、バーテンダーだけが知っていた。



     



 翌朝。


 御堂は都内の古いトレーニングジムにいた。


 境界の門のメンバーが日常的に使用している施設だ。表向きは一般のジムだが、地下には射撃場と格闘技の道場がある。


 御堂がサンドバッグに向かって拳を放った。


 サンドバッグが大きく揺れた。チェーンが軋み、天井の金具が振動する。フェロモン指数19の拳だ。一般人の5倍以上の打撃力がある。だが——指数25以上の冒険者がエリート兵隊蟻の外骨格に拳で罅を入れるのを知っている。19では足りない。


 御堂のフェロモン指数は19。限界値は28。境界の門のメンバーの中では最高値だが、巖道征四郎には遠く及ばない。


 だが彼の強さはフェロモンの数値だけでは測れない。紛争地帯での実戦経験。数百回に及ぶ生死の境目。そこで培われた殺気の察知と即断即決の能力は、どんなトレーニングでも身につかない。


 御堂がサンドバッグから離れ、壁にかけられた木刀を手に取った。


 型の稽古を始めた。古い剣術の型だ。流れるような動きで木刀が空を切る。フェロモンで強化された反射速度が、型の一つ一つに鋭さを加えている。だが御堂の目的は速さではない。正確さだ。深層で遭遇するエリート兵隊蟻の外骨格には関節部に隙間がある。掲示板の情報と自身の観察で、その隙間の位置を把握している。幅は約3センチ。その3センチに、正確に刃を通す技術。それが深層で生き延びるための鍵だ。


 地下の道場には他にも数名のメンバーがいた。それぞれが黙々と鍛練に励んでいる。ウェイトを挙げる者、組手をする者、ナイフ術の型を繰り返す者。


 全員がいつか来る「その日」のために、身体を磨き続けている。


 5分ほど稽古を続けた後、御堂は木刀を置き、壁にもたれかかった。


 目を閉じた。


 異世界。


 子供の頃からずっと追いかけてきた夢だ。この世界の外にある別の世界。魔法があり、ドラゴンがいて、冒険者が旅をする世界。


 馬鹿げている。32歳の大人が、まだそんなことを信じている。


 だが——ダンジョンが出現した。東京の地下に、巨大な蟻の巣が広がった。蟻が超常的なアイテムを生み出し、その空気を吸った人間が超人的な身体能力を獲得する。吸血鬼が現れ、六本木ヒルズを占拠した。


 この世界は、もう「現実」の定義を書き換えている。


 異世界があっても、何もおかしくない。


 ダンジョンが出現した時、御堂は確信した。「やはり異世界は存在する」と。ダンジョンは異世界との接点だ。その最深部に門がある。


 だが——もし門がなかったら。


 最深部に到達して、そこにあるのがただの蟻の巣だったら。異世界への門など最初から存在しなかったら。


 御堂が目を開けた。


「……それでも、行く」


 誰に言うともなく呟いた。


「門がなければ作る。異世界がなければ、この世界を変える。何があっても立ち止まらない」


 御堂がトレーニングジムを出た。


 東京の朝。空は曇っていた。


 ビルの合間から、ダンジョンの入口の一つが見えた。地面に開いた、暗い穴。政府が設置したバリケードと、それを気にせず出入りする冒険者たちの姿。


 その穴の奥——地下120メートル以上の深さに、何があるのか。


 御堂はその穴を見つめた。


 まだ、その時ではない。


 だが必ずその日は来る。ダンジョンが十分に深くなり、自分たちの力が十分に研ぎ澄まされた時。


 その時、境界の門は動く。


 御堂が視線を空に向けた。曇天の向こうに何があるのかは分からない。


 だが——向こう側は、ある。


 必ず。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ナチュラルに西川くんを無料の肉壁扱いするのはさすがに草です。
残念ながらこの世界のダンジョンは一人の男から始まったモノでしかないのですよ 最も主人公(アイツ)の力の根源(ルーツ)が異世界に関係してる可能性も無きにしも非ずだがね
主人公に新しい魔道具をまた作って欲しいなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ