第六話 ダンジョン攻略へ
体調不良続きで毎日投稿できずすみません(汗
一応完結まではストーリーができているので許して( TДT)ゴメンヨー
ギルド《ASTERISM》として、初めての大きなクエストはダンジョン攻略。
その事実だけで、胸の奥が微かにざわついていた。ソロでも確かに攻略できるが、みんなと協力して攻略することにゲームならではの価値がある。
「緊張してる?」
ミオがそう言って笑う。
「まあ、少しな。俺はあまり来たことないし」
「守ることが専門だもんな。仕方ない」
カナメが盾を背負い直し、レイは無言で装備を確認する。
ルナリアは大鎌の柄を握った。その手は僅かに震えていて――。
確かに緊張している。
しかしそれ以上に興奮が冷め止まない。この震えは武者震いだ。
ルナリアにとっては初めてのダンジョン。
どんな世界が広がっているのか今すぐ知りたい。この目で見たい!
目の前にそびえるのは、地表に穿たれた巨大な縦穴。
周囲は草原だが、穴の縁だけは黒く焼けたような岩に覆われている。まるでここだけ地面が大きくえぐり取られたかのようだ。
ここは《裂け目の回廊》。
地上層から中層地下空間へと続く、比較的浅いダンジョンだ。
この世界は大きく三つの層に分かれている。
上層の地上。
街、草原、山脈、海。地球に近い自然に加え、空に浮かぶ島や、空の端から落ち続ける巨大瀑布など、現実ではありえない景色が当たり前のように存在する層。
中層の地下空間。
洞窟や鍾乳洞が基本だが、天井に空が描写されていたり、地下湖や苔むした森が広がっていたりする。
ゲーム設定上、過去の文明や軍隊が利用した前線基地、鉱山街が存在するのもこの層だ。中には現役で使われている都市も存在している。
そして下層。
混沌領域。
形状は不確定。
モンスターは歪み、名前すら安定しない。プレイヤーが足を踏み入れるにはまだ早すぎる場所。
いくつものパーティが挑み、壊滅してきた歴史がある。攻略サイトでも明確に攻略できたという話を聞かない。
加えて優秀な素材や武器が手に入る訳でもなく、モンスターを倒した時の経験値が極端に高いくらいしか目ぼしいものがない。しかしそのモンスターが強すぎて逆に経験値効率が低くなってしまうという情報もあった。
「今回は中層までだ」
レイが簡潔に言う。
「下層に繋がる分岐は無視する。まだ無理だ」
全員が頷き、ダンジョンへ足を踏み入れた。
内部は、思ったよりも広い。
岩壁は淡く光り、足元には細かな鉱石が散らばっている。
壁際の鉱脈ポイントではカナメが一瞬立ち止まり素材を回収したりしていた。
「後で装備更新に使えるな」
進行は順調だった。
最初に現れたのは《トンネル・ラーカー》。
地面を泳ぐように移動する獣型モンスター。
ルナリアが前に出る。
〈REAP〉。
大鎌が弧を描き、まとめてHPを削る。
硬直の一瞬をカナメが盾で塞ぐ。
「今だ」
レイの矢が弱点を射抜き、ミオの補助魔法がルナリアの速度を底上げする。
硬直が切れた瞬間にもう一度ルナリアの一撃。
完璧な流れ。
宝箱も見つかった。
錆びた鍵を開けると、中から現れたのは古いマントと日記帳。
「これは……?」
ミオがページをめくる。
「設定アイテムだね。ここで倒れた冒険者の記録みたい」
「こういうのもゲームの楽しみ方の一つだよな」
「うんうん」
そこには中層を目指したが帰れなかった一行の断片的な言葉が記されていた。この場所でモンスターに囲まれ、最後を悟って綴られた苦痛と悲しみ、現実逃避の文章。
ここは失敗の痕跡ですらコンテンツとして残る世界なのだ。
それが、少しだけ胸を打つ。
作り込みがほんとにリアルだな。
さらに奥へ。
洞窟は次第に人工物の割合を増していく。
崩れた鉄骨、壁に刻まれた番号。かつて鉱山街として使われていた痕跡だ。
そこで、空気が変わった。
何かいる。ルナリアは直感的に鎌を握り直した。
「……来る」
カナメも盾を構えて周囲を見渡す。
地響きのような断続的な振動。そして現れたのは、中ボスクラスのモンスターだった。
巨大な岩人形。
鉱石と鉄屑で構成された身体の中央に、赤く光る核が埋め込まれている。ファンタジーに出てくるゴーレムのような見た目。
名前が表示された。
《坑道守護者 グラヴェル=ヴォルグ》
「でかいな」
「でも動きは重い」
「私たちなら勝てる!」
「あの赤い核が弱点かもしれない。可能な限り狙うぞ!」
戦闘開始。
グラヴェル=ヴォルグの腕が振り下ろされ、地面が揺れる。衝撃波がフロア全体に走った。それだけでバランスを崩しそうになるが、ルナリアは咄嗟に空中へと飛び上がる。空中なら地面の振動など意味がない。
ルナリアはその剛腕に取り付くとそのまま踏み込む。全身をばねのようにして飛び上がった勢いで脚部を刈るように薙ぐ。
〈REAP〉ッ。
僅かに岩の肌が削れ、一瞬グラヴェル=ヴォルグの動きが鈍くなる。
硬直。
すぐに動けないルナリアをミオの防御補助が覆う。
一方でカナメがもう一度振り下ろされた剛腕を受け止めそのまま斜めに弾いた。
「〈PARRY〉ッ! 今だ、削れ!」
「もちろん」
レイの連続射撃が敵の核に降り注ぐ。予想通りの弱点だったようでグラヴェル=ヴォルグはそれを庇うような動きをして見せた。
数々の連撃でHPが確実に削れていく。
だが、ボスは崩れない。中ボスなだけあってHPが高く設定されているようだ。
突如地面から岩槍が突き出した。
ルナリアは一撃目を間一髪で回避し、被ダメージ増加のデバフを抱えたまま柔らかい四肢を巧みに動かして二撃三撃目を次々に回避していく。一発でも当たれば瀕死は免れない。それでも避けられている。
危うい。
だが、噛み合っている。
「ルナ、いける?」
「いける!」
ミオがルナリアにバフを掛ける。カナメとレイがそれぞれグラヴェル=ヴォルグの注意を引きつけ隙を作った。
今ならいける!
最後の〈REAP〉。
——一閃。
核が砕け、グラヴェル=ヴォルグは崩れ落ちた。
「……な……で……」
勝利。
誰もが息をつく。
「初ダンジョン、成功だな!」
「やったー!!」
「ふっ」
カナメたちはそれぞれ喜びを表現する。ルナリアも思わずガッツボーズして皆の顔を見た。皆やり切ったという満足感で溢れている。ルナリア自身も。
その瞬間。
不吉な音がした。
――ぱき。
足元に、細い亀裂。
気付いたのも束の間、それは一気に広がった。
「え?」
「待っ――」
地面が、割れる。
重力が消える。
視界が反転し、地の底から暗闇が迫る。
ルナリアたちは大鎌を握りしめたまま、真っ逆さまに落下した。
「わぁぁああああっ?!」
中層の、さらに奥へ。
そこは混沌の世界——下層。
その先に何が待っているのか。
まだ誰も知らない。
戦闘描写ってみんな悩みますよね汗
私も悩むムムム




