表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローキラー  作者: カサタ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/9

5話 相方

コンクリートの床に、魔獣の黒い残骸が溶けるように消えていく。

血の匂いだけが、まだ空気に残っていた。


「……終了」


佐原秀さはらしゅうが片手を上げると、結界が解かれたのが分かった。

俺は肩で息をしながら、その場に立ち尽くす。

黒狼化はすでに解けていたが、脚がまだ微かに震えている。

さすがに連戦はきつい。


「新人にしては……いや」


佐原は俺をじっと見てから、口元を歪めた。


「正直に言う。想定より、だいぶ上だ」


朝霧が楽しそうに口笛を吹く。


「だろ? 言ったじゃん。面白いって」


九条は腕を組んだまま、少し離れた位置で俺を見ていた。

視線が、さっきからやけに鋭い。


「評価、出すわ」


そう前置きしてから、淡々と言う。


「異能治安局基準で――Aランク相当」


「……A?」


思わず聞き返した。


「単純な身体能力、戦闘判断、対応力。どれもA水準以上。ただし」


九条は言葉を切る。


「制御と経験が足りない。だから現時点では“相当”止まり」


「妥当だな」


佐原が頷く。


「このまま伸びれば、Sも見える。」


Sランクってまじか。


「――で」


九条の声が、少しだけ低くなった。


「ここからが本題よ、藤沢湊」


俺は無意識に背筋を伸ばした。


「あなた、能力を隠してるでしょ」


断定だった。


「脚力、視力、獣化。普通なら別能力扱いされる要素を、無理なく同時に使ってる」


九条は一歩近づく。


「複合能力? 派生? それとも――別の何か?」


沈黙が落ちる。

朝霧も、佐原も、黙って成り行きを見ている。


「……言わなかったら?」


俺がそう聞くと、九条はあっさり答えた。


「その場合は、給料減額ね。」


「俺の能力は、殺した相手の能力を奪う力です」


お金は大事だ。


俺が答えた瞬間空気が、ぴたりと止まった。

朝霧が、目を丸くする。


「……は?」


佐原も無言で眉をひそめた。

九条だけが、表情を崩さない。


「続けて」


促されて、俺は話す。


「おそらく草むらで踏み潰してしまったバッタから脚力。うちの玄関で殺した蝿から動体視力。シャドウウルフから身体能力と黒狼化」


「だから噛み合ってたわけね……」


九条が小さく呟く。


「複数能力に見えたのは、元が別物だから」


「制限は?」


即座に飛んできた質問。


「今のところ、奪える能力の数に制限はなさそう。ただ、これから増えていくと上限とかあるかもしれないけど……」


俺は正直に言った。


「あと、能力の影響も受ける。シャドウウルフのせいで、殺しに対する抵抗が薄くなってる」


それを聞いた瞬間、朝霧が楽しそうに笑った。


「最高じゃん」


「最悪でもあるわ」


九条が即座に切り捨てる。

彼女は、しばらく黙って俺を見つめていた。

値踏みじゃない。

計算している目だ。


「……現状はAだけど、今の話を聞けばSSにも及ぶわね」


そう前置きしてから、はっきり言う。


「管理下に置けるなら、これ以上ない戦力」


俺は肩をすくめた。


「否定はしない」


九条は小さく息を吐き、結論を出す。


「戦闘力テスト、正式合格。ランク評価はSS見込み。そして――」


一歩近づいて、低い声で言った。


「その能力のこと、うち以外には一切話さないこと」


「破ったら?」


「後悔することになる」


どうなるかは教えてくれないんだな。


「了解」


俺が頷くと、九条は小さく頷き返した。


「それと、もう1つだけ」


そう前置きしてから、淡々と続ける。


「うちの仕事は、原則バディ制よ」


「バディ制?」


「2人1組で行動する。単独行動は禁止」


説明はそれだけだった。


「あなたも例外じゃない」


九条は視線を横に動かす。


「藤沢湊。あなたのバディは――」


一拍置いて、はっきり言う。


「朝霧優斗」


一瞬、空気が止まった。

朝霧は目を細めて、俺を見た。


「……マジか」


「決定事項よ」


九条の声に、揺らぎはない。


「戦闘力、適性、役割。総合的に判断した結果」


俺は息を吐いた。


「拒否権は?」


「ないわ」


即答だった。

朝霧が軽く舌打ちする。


「ま、そうだよなー。」


それだけ言って、視線を逸らす。

九条はそれ以上何も付け加えなかった。


「それと、うちの組織には他にもメンバーがいるけど、受けた仕事内容は仮に組織メンバーが相手だろうと絶対に明かさないこと。」


俺は軽く頷く。

どうせ「明かしたら?」って聞いても「後悔することになる」としか返ってこないんだろうし。


「以上。今日は解散」


短い宣告だった。


朝霧賢一(21)

能力名=リグレッション

詳細=不明

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ