友達何人できるかな
俺の反応が予想外だったのか笑原さんは少し目を小さくした後ニヤリと笑い返してきた。命の覚悟を決めた上でもこの人の顔は怖いな…笑っている筈なのに背後に鬼が見えるというか、「キレると笑うタイプ」にしか見えない。
「やっぱり意気がいいなお前。お前みたいなタイプ俺は結構好きだぜ?」
「あ、ありがとうございます…!」
「…くふっ…新入りに挨拶されてる若頭にしか見えない……あだだだだだ!!!!翔君痛い!沈めないで!脛が!!!」
「うるさいなぁ仕事終わりの昼寝もできないじゃないか全く…んあ?あれあれあれれ朝に見た顔がいるじゃんか~?えーとなんだっけ…トコロバ君?」
「琴ノ葉です!」
漫才を始めた二人の横の扉からまたかなり特徴の強い人が出てきた。何せ白色の長髪に紅い目、身長は中学生と並んでも遜色ない、むしろそれより小さいのでは?と思うくらいの小柄な体型。ただ俺はこの声と飄々とした気の抜けるような喋り方に覚えがあった。つい数時間前のことだから忘れてはいない。
「えっと…ミルカさん?」
「いかにも、さっきから活動だのなんだの聞こえてたのは君が加入する話だったのか。僕は紅ミルカ、まー無理矢理肩書きを名乗るなら技術顧問かな?よろしくぅ~」
「あ、はい。改めまして琴ノ葉扇です……」
ミルカさんは挨拶を済ませたらさっさとキッチンの冷蔵庫の方へと行ってしまい飲み物を取ってまた自分の部屋らしき所に籠ってしまった。入る瞬間に一瞬部屋の中が見えたが、精密機器の山みたいな中に人型の何かが覗いていた気がする。…見なかったことにしておこう。
「…思ったよりヤバい所に入ってしまったのかもしれない……」
「テロリストが言いますかそれ。あと二人メンバーがいて、片方は今治療中なので会えないのですがもう片方は呼んだのでもう少ししたら来ると思います」
そう桜木さんが言った直後の事。
ドォン!!!(何かが飛来した音)
ズザ~!!!(何かが地面を滑る音)
バァン!!!(何かが壁に激突する音)
「…はぁ~…来ました」
嘘だろ今のは流石に人間がやってくる音じゃなくないか…?どちらかと言えばロケットとかミサイルが飛来したときみたいな爆音だったけど、ミサイル人間みたいな能力なの…?桜木さんが今日何度目かわからないため息吐きながら外に出る。俺も合わせて境内に出ると走り幅跳びレベル100みたいな跡が出来ていた。その先には赤みがかった髪をサイドテールでまとめた女子が体に付いた土埃を叩き落としている。
「ん?あ、ナゴ~!オッス!ヒカリちゃんただいま参上!」
「…アンタは何回敷地壊すんだアホー!!!」
「おぐぉ!!」
今日一日のストレス限界を突破した桜木さんからの渾身の飛び蹴りを喰らったミサイル女子が吹き飛んでまた地面が少し抉れた。あぁ桜木さんさらに飛びついて追い打ちに行かなくったって…
「いやぁ呼ばれたんで飛んできたけど…遂に私に後輩ができるのかぁ!いいね楽しみだ!私、蝗梠ヒカリ!高2だからタメじゃんね!よろしく!」
「うん、よろしく…その………大丈夫なの?」
「うん!いつものことだから!」
頭にたんこぶ、その上にさらにたんこぶが出来るくらいバイオレンスなお仕置きを桜木さんから受けてもけろっとしている蝗梠さんに対して若干引きながらも握手を求められたので握り返す。いつものこと…?
「さて、これで今会えないアムリア以外は全員揃ったわね!一人は部屋に戻ったけど…」
希さんと笑原さんが屋敷から出てくる。笑原さんはまだ仕置きしたりないような顔で希さんを睨んでいるが当の本人は笑顔で脛をさすっている。反省してるのだろうか?
「改めまして、ここが神社本拠地で私がリーダーの神巫希。そしてここにいるのが私の誇る仲間達!琴ノ葉扇君、君はここの人達と一緒に能力者も一般人も平和に暮らす世を創っていくことになる…そんな君の決意発表!はいどうぞ!」
「え!?いきなり!?え、えーと…」
雑なパスでマイクを振られてしどろもどろになってしまった。皆の視線が俺へと集まる。あれ、コレまたあの日と同じだな…今日起きた全ての出来事の原因となった一学期最初の日。俺は二度と同じことを繰り返さないように改めて言葉を考えてから喋り出した。
「俺は…推測するに友人を欲してこの能力を得ました。でも暴走した結果友人と呼べる人は今日だけでとても少なくなってしまいました…」
願いを叶える能力は行き過ぎれば願いを壊してしまう、それも周りを巻き込むような最悪の形で終わりかねない。だから俺には、この能力を得たからこそやれることがあるはずなんだ。全ての人の願いを正しい形で叶えられるように…
「だから…似たように能力に振り回されて関係や人生を壊してしまう人の手を取りたい……俺は、この口で!困っている人みんなを救える友達になって見せます!」
今度こそ、友達になろう と
かくして俺の物語の序章が幕を下ろし、この何倍も波瀾万丈な物語の第一章が幕を開けることになる。そしてその先も続いていくのだろう。
───俺の言葉が世を変えるなんて事を知りもせずに
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