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序章

星ですら輝かない夜に、爆音が響く。それはこの土地ではよくあること。

抉られた大地の傷は、また朝になれば他所から飛んでくる土に埋もれるだろ。それもよくあることだ。

その窪みはこの十数年間、こんなことを数百万、数千万回も繰り返し経験してきた。

しかしただの窪みに何の文句はあるのだろう。それが経験したのに比べると、これはまだ些細な変動だ。


もっともっと昔の前から、それはここに刻まれてあった。

刻まれてから氷が解き、水が来る。水が退()き、土を残す。人は土に種を撒き、牛が(すき)()く。実が成り、馬が踏む。死が蔓延り、火が包む。そして火が鎮まり、灰は残る。また耕す。

これまでに数えきれないほどの夜があった。土に埋もれる日も、暴かれて月と見つめ合う時もあった。

その頭上に数えきれないほどの星が瞬き、消えて逝った。

だがいつの時も、人がその窪みに気付くことはなかった。

それもそうだろう。ここに窪みは死ぬほどあるから。


でももし気付く人が居たら、よく見て欲しい。

それでやっとわかる。それは、いや、それらの窪みは、揃わない二つの足跡だった。

大きい跡は前部に、並ぶ綺麗な五つの突起。

小さい跡は山の形に浮く点が四つ。

それが語っているのは、ここから1万5千年も前に遡る話。

初めてじゃないけど、一番長く続く繋がり。

もう知る術のない旅。

4年前、サイエンス雑誌の「Dogs were domesticated once from a lost population of wolves」という研究発表を見た時からずっと考えていた物語。

小学生の時に親が買ってくれて、高校生時代に読み終わった「野生の呼び声」にちょっと影響を受けています。ずっとこういうのを書いてみたいと思っていた。

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