4-2 第七十二話 入社式
新規メンバー加入回です。
天文十九年 七月五日 昼頃 場所:甲斐国 甲府 富士屋
視点:京四郎 Position
京四郎「それじゃあ、新人を紹介します!入ってきてください」
店の外から四人……って三人しか入ってこないぞ?
オレは店先から顔を出す。
その場には一人……赤髪に近いくらいの茶髪の娘がふて腐れたかのように立っていた。
見た目年齢はオレの妹とそれ程変わらず、十五か十六くらいの年頃だろう。
京四郎「色々と思うことはあるかもしれないが……取りあえず入りな?」
娘「………………」
渋々、その娘は店の中に入ってきて末席にドカッと座る。
京乃介さんは何も言わないが、眉間にしわが寄っていて不満げである。
京四郎(せっかく、無事に戻ってきたのにこれでは……気が重いな)
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諏訪でのそば打ちから三日後、オレと律は甲府に戻ってきていた。
合戦という非日常から日常に戻ってきたという感じがする。
先に甲府に戻ってきていた辰五郎さんとまささんが、店に運ばれていた物の整理をしてくれていたようで、律もオレも楽ができた。
人買いとして買った人たち……
こうやって言葉にすると、すごく罪悪感なのだが……。
この人たちは普通の人達と同じように扱って欲しいと頼んであり、近くの平屋に住んでもらっている。
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律「それじゃあ、端の人からどうぞ」
男「はい。又八と言います。二十七才です。小笠原の奉行の中島様の下で、勘定の仕事をしていました。力仕事には自信が無いので……良かったです。」
又八さんはペコリと頭を下げる。
細身の彼を見込んだのは、そろばんを使いこなせるからである。
その技術を富士屋の従業員に伝えられれば、大きな助けになるだろう。
京四郎「次の方、どうぞ」
妙齢の女性「はい~。妙と申します。よろしくお願いします。こっちにいるのは娘の紅路です。ほら~、御主人に挨拶を」
となりの娘が進み出る。
子どもっぽい見た目とは逆にしっかりしている。
紅路「長山 もみじです。十二才です。子ども扱いせずに長山って呼んでください」
妙「ふふっ、もみじちゃんでいいですよ~」
紅路「よくありません!」
この母娘を買ったのは律の独断だが、妙さんの方は女中として城中の厨房にいたらしい。
夫を病で亡くしたが、その腕前を買われてのお勤めだったとのこと。
料理や裁縫の面で、その実力を発揮して欲しい。
律「もみ……」
紅路「長山です!」
律「それじゃあ長山ちゃん。何か自慢できることあるかな?」
紅路「そうですね。そうですね……」
紅路ちゃんは、そのまま考え込んでしまった。
妙「あ、そうそう。字が上手いじゃない」
京四郎「それは助かる」
正直なところ筆は使い慣れていないので、まささん頼みになってしまう。
その解消に活かせるならば良いかもしれない。
律「それで……」
残されたのは、例の娘である。
武家の生まれのまささんや妙親子と比べると粗暴さが垣間見える。
娘「お龍。十六!仕事はきっちり果たす。仕事の時だけ呼びな!」
それだけ吐き捨てると、外に行こうとする。
一刀「待ちな、嬢ちゃん」
お龍「うるせぇ!甲斐の山犬!」
平次「なんだと!この信濃の山猿ゥ!」
お龍「なんだと、てめぇら!」
こうなれば売り言葉に買い言葉である。
京四郎「まぁまぁ、落ち着きなって!」
平次・お龍「うるさい!」
京四郎(そういうところだけ息ぴったりなのかよ)
結局、タイミングを見計らった所で律が双方をなだめて終わった。
お龍を買ったのは気まぐれではなく、猟師として評価されていたからなのだが……
実に後が心配である。
そんな彼女はいわゆる巨乳であり、胸があまり性的アピールにならないこの時代でも特筆レベルだったので、その代価は少なくなかった。
京四郎「それじゃあ、解散!何かあれば個々にお願いします!」
一同「「「「はいっ」」」」
律「ねぇ、ちょっといい?」
ミーティングの後で律に手招きされた。
部屋の隅の方で、小声でボソボソと律に話しかけられる。
京四郎「なんだよ、どうかしたのか?」
律「あのさ……アタシ……。もうちょっと礼儀とか……言葉遣いとか気をつけるわ……」
どうやら、お龍の振る舞いを見て思うところがあったようだ。
ははは、色々とルーズなこの時代でズボラになっている自覚があったんだな……。
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お読みいただきありがとうございます。
お龍の胸の大きさは妙さんには負けます。




