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まぁ、ちゃんと戦う戦国軍記 ~めざせ!御屋形様と経済勝利~  作者: 東木茶々丸
第三章 小笠原家攻略~林城の戦い~
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3-1-2 第六十二話 Encounter -遭遇-

天文十九年 六月二十日 朝 場所:信濃国 犬甘城北東 

視点:京四郎Position


犬甘「おぅい!き、聞こえまするか!村上様からの援軍とお見受けします!小笠原家の家老、この犬甘政徳がご案内つかまつる!」


 彼は城から目視した小勢を村上からの援軍と捉えて出迎えに来たのだ。


京四郎「ど、どうします?なぜだかわかりませんが、敵勢が近寄って来ちゃってますけど!?」


 突然の事態に、オレは判断を周りに仰ぐ。


馬場「落ち着け、初陣から慌てふてめいている様では、今後やっていけんぞ」

京四郎(いや……そもそもオレは商人だからって嫌がったのに、偵察に連れてきたのは馬場様じゃないですか!)


▼▼▼▼

 時は少し前に遡る。

馬場隊は埴原はいばら城を六月十六日に出陣。

内藤様の小荷駄隊が到着した僅か二日後のことである。


 オレは道案内役として同行し、六月十八日の深夜に井川館を急襲。

予測通り、抵抗もほぼ無く占領に成功した。


馬場「よし、こんなものか。富士屋!」

京四郎「は、はい!」

馬場「ついでに、深志城も落とすぞ」

甘利・京四郎「えっ!?」


 馬場様は井川館の投降した兵を使って深志城に偽の使者を送り、油断が生じた深志城を同じ夜のうちに占領してしまった。


馬場「旗は、そのまま小笠原家の物を掲げておけ!」


 なるほど理解した、敵には深志城の陥落を隠しておきたいのか。

そのまま馬場様率いる部隊は、一日休息を取った。


 その間に林城をけん制する飯富兄弟の部隊が、林城の麓に陣を貼る。

ここから見て林城の向かい側の埴原はいばら城には小山田虎満様率いる部隊がいるので、これで挟んだ状態となった。


 館に敵が残していった物の買取査定をしていると、馬場様に呼びだされた。

広間に入ると、浅利様と甘利と馬場様とで談笑をしていた。


馬場「しかし……京四郎。お主、今いくつだ?」

京四郎「えーっと、18になります」


 戦国時代に来て一年と少し。

投票権を持ち、エッチなゲームや漫画を買える歳になったというのに……。

博士、覚えていろよ!


浅利「ってことは……甘利さまと同じくらい?」

甘利「いえ、拙者より二つ上ですね」

馬場「ふっ……。どちらも戦場の経験が無いのならば、大して変わらぬ。」


 馬場様は、盃をグイっとあおる。


馬場「よし!明日の朝、物見に行くぞ!ついてこい!」

甘利「え、えっ!?」

馬場「なに、朝の散歩だと思えば良い。ちょっとだけ、ちょっとだけだ」


 大抵、それはちょっとで済まないヤツだよね。


京四郎「頑張れ、甘利。何事も経験だ」

馬場「何を言っている。お前も来るのだぞ?」

京四郎「ええええええええええええええ!」


浅利「大丈夫、戦わないって。敵の様子を見てくるだけだよ」


 浅利様は、肩に手をかけて寄りかかってくる。


京四郎「ちょっ!近いですって!」

浅利「ええ~、いいじゃんけ、いいじゃんけ!」


 智様とか虎姉とか他にインパクトの強い女武者がいるせいで忘れていたが、

浅利様も韮崎競馬の戦い以来の付き合いである。


浅利「それとも律さんに気を使っているのか?律儀なヤツだね~」


 浅利様、年上の余裕ってヤツですか!


馬場「京四郎よ、自分で言っておったではないか。何事も経験だと」


 返す言葉もない。


というわけで、朝から引っ張り出されたのである。

人数は、馬場・甘利の武将クラス二人を含む、二十騎くらい。


 馬に乗れなければ、断る口実にもなったのだが馬借という仕事柄、出来た方が良いと律に言われたのでトレーニング済である。残念なことに。

馬に乗れない護衛の一刀さんは、深志城でお留守番だ。


馬場「よし、出るぞ!」

「「「はっ!」」」


 深志城から騎馬武者が次々と出ていく。

その中にオレも含まれているというのが不思議な感じだ。

ツーリング集団とか、こんな感じなのだろうか?


 馬場様は犬甘城の攻め口を見つけるために、城の周りをグルっと周る。

西側には川があったため、東側に移動することになった。


 そろそろ日もあがり、敵に見つかりやすくなる時間だ。


京四郎「馬場様ー!そろそろ辰の刻(午前八時)をすぎた頃です。そろそろ城に戻る頃合いでは?」

馬場「いや、まだ行けるだろう。私の判断を疑うのか?」

京四郎「い、いえ……。」


 渋々、馬場様の指示に従う。


馬場「ところで誰か、弓矢を持ってきておらぬか?」

「ございます」


 騎馬武者の一人が答える。


馬場「よし、鏑矢を犬甘城に向かって射てやれ!」

京四郎「て、偵察ではなかったのですか!?」

馬場「この距離まで近づいておいて、何もせずに帰るのはつまらないではないか!」


 馬場様の命により、騎馬武者が矢を城へと放つ。


▲▲▲▲

 その結果が、犬甘勢の《《お出迎え》》となったわけだ。

敵との距離は150mくらい。

計ったわけでは無いけれど、100m走より距離があるくらいなのでそれくらいだろう。


 率いている数が少数なのは敵も味方も同じだ。

偵察部隊には緊張が走る。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


お読みいただきありがとうございます。

浅利は恋愛フラグ立たない系のキャラなので、このまま進展は無いです。

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