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まぁ、ちゃんと戦う戦国軍記 ~めざせ!御屋形様と経済勝利~  作者: 東木茶々丸
第一章 甲斐と合戦と御用商人 
41/349

閑話 武田について知りたい たけだ!

例によって、解説回です。

令和XX年 西暦20XX年 場所:埼玉県さいたま市坂本宅


 ある日の坂本と真田である。

いつものようにモニターを見ながら、おやつの時間である。


 今日のお菓子は草加せんべい[1]。

醤油味の香ばしい、これまた埼玉の銘菓である。


侑「それでは、今日の講義は武田氏についてです。」


 聞いてもいないのに、侑は黒板に書き始める。

しかも、講義と言っていたのを坂本は聞き逃さなかった。


坂本「武田……?薬の話?」

侑「製薬会社の武田は元々竹田と名乗っていたらしいですね」


 話題の逃げ道を塞がれてしまった坂本は仕方なく、お茶をすする。


侑「そもそも武田というのは、源氏の嫡流の源義家みなもとよしいえ[2]の弟の義光よしみつ[3]を先祖とする源氏の名門なのです」

坂本「そう聞くと、今川よりも名門な感じがするなぁ」

侑「ええ、義光のひ孫の武田信義たけだのぶよし[4]は頼朝の平家打倒の挙兵に味方して、富士川の合戦では奇襲を仕掛けようとした兵に驚いた水鳥で、平家を潰走させたのです」

坂本「それは……武田がスゴいのではなく、水鳥のおかげなんじゃないのか?」

侑「ま、まあ……運を味方につけたってことにしましよう」


 侑は追求を無理やり断ち切った。


侑「ところが平家を滅ぼした武田家は、同じ源氏の頼朝の猜疑心により冷遇されることとなります。」

坂本「きっと、笑いながら指示を出したんだろうな。よいとも!《《よりとも》》……って」


侑「やっぱり、今日はホットティーにすれば良かった」


 ダメみたいです、京四郎シショー……


侑「時は下って戦国時代。信玄の祖父の代には跡目争いが起きて北条早雲の介入を招くなど、武田の権力地盤は弱まっていたのです。そこへ登場したのが、武田信虎。信玄の父です」

坂本「あ~信虎、信虎ね!なんだか評判が悪いみたいだし、なにかやらかしたの?(バリボリ……)」


侑「正直なところを言えば、信虎なくして武田家の勢力拡大はなかったと言えるでしょう」

坂本「言い切るねぇ~(バリボリバリ)」

侑「信虎は対立当主が亡くなったタイミングに乗じて小山田を従属下に納めたが、今度は今川とその支配下として穴山が攻めて来たのです」

坂本「穴山や小山田が道理で信頼されないはずだわ~」

侑「信虎にとっても完全に敵に回す訳にもいかずに、娘を嫁がせています」

坂本「両家も武田との結びつきが深まるから、悪いことではないのね……(バリボリ)」


 さっきから誰か話を邪魔してくれる人が来ないかと扉を見ているが、

今日は来客がいない。

残念……。


侑「今川や北条が強大なため、必然的に信虎は諏訪や佐久にターゲットを定めます。信玄の信濃進出は父の政策の踏襲とも言えます。」

坂本「戦闘面では確かにある程度強いと言えそうだなぁ」

侑「内政でも評価できる点があります。武田の居館である躑躅ヶ崎館を建設して城下町を整備したり、京の三条家から娘を晴信に嫁がせるなど公家が甲斐に下向するきっかけを作ったのも信虎です」

坂本「甲府の発展も信虎が基礎を築いていたからだと言えるな。でもどうして信虎は反感を買ったのだ~?」


侑「信虎の戦いが、完勝というより痛み分けで何とか和平に持ち込めたような戦い方だったからというのはありそうですね。城や館の普請に合戦、ともに配下や民衆には負担が重かったのかもしれません」

坂本「そうした負の遺産の清算が、自分自身の追放という結果になったのか」

侑「どうします?自分が二度と故郷に戻ることが出来ない立場になったら?」


坂本「う~ん、電波が届かなくてアニメが見られないのは困るな……」

侑「もっと、他の理由はないんですか!?」


 侑のツッコミの手の煽りで煎餅のカスが散らかってしまった。

坂本「あー、あーあーあー」


 これは後片付けが大変だ。


侑「ところで……」

坂本「どうかしたの?」

侑「黒板消しあります……?」


 黒板消しが自宅にある人は、いないんじゃないかな……。



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[1]草加せんべい:埼玉県草加市の名物。醤油の名産地野田市が近いことも誕生のルーツとされる。

[2]源義家:通称八幡太郎。頼朝の高祖父。足利家の祖でもある。前九年・後三年の役で東国に源氏の基盤を築いた。

[3]源義光:通称新羅三郎。後三年の役では兄が苦戦していると聞いて無断で東北に向かった。

[4]武田信義:武田氏初代当主。武田信玄は16代の孫に当たる。


お読みいただきありがとうございます。

いよいよ、次の話から第二章です。

信虎さんの出番……。あ、あるかなぁ……。

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