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まぁ、ちゃんと戦う戦国軍記 ~めざせ!御屋形様と経済勝利~  作者: 東木茶々丸
第十三章 のぼり龍と風林火山 1553年9月~
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外伝 抜くに抜けぬ物

天文二十二年 1553年 十月中旬 昼頃 場所:山城国 京都 洛中

視点:松本累(斎藤朝信)Position


 将軍への接見を終えた数日後、長尾家上洛部隊は京都に入っていた。

京都には長尾家配下、神余かなまり親綱ちかつな[1]の屋敷がある。


彼の手筈てはずで、帝に官位の叙任じょにんに対する返礼の場を設けてもらったのだ。

もちろん、ボク達は天皇へのお目通りなんて許されていないので、はるか遠くから景虎様の姿を確認するだけなんだけどね……。


 やがて、後奈良天皇との対面が終わったようで景虎様が出てくる。

普段着なれない服を着ているからだろうか?

ヤケにぐったりしている。


景虎「うむ……。さすがに気疲れしてしまったな」

累「お疲れ様です。帝のご反応はいかがでしたか?」

景虎「……御簾みすで見えるわけが無いだろう」


 ご、ごもっとも……。


累「で、でも声色とかで……」

直江「君は知らないのかもしれませんが、帝と直接の直答なんて普通は許されないのですよ」

累「それじゃあ、わかる訳ないですよね~」


景虎「あ、でも、盃を賜ったぞ」

累「景虎様の酒好きは京でも有名なんですかねぇ?」


 景虎様が賜った盃を直江さんが包み直す。


景虎「さ、流石にコレを普段使いするつもりは無いぞ!!!」

累「まだ、何も言ってないじゃないですか」

景虎「……」


 景虎様、自滅である。


タカ「ところで武田や北条に対するアレ。……なんでしたっけ、あの……チバ……チバ」

直江「治罰ちばつ綸旨りんじですね。敵対勢力を朝廷に対する反逆者として討伐する権利のことです」

タカ「頼まれてもいないのに、解説をどーも」


景虎「その治罰綸旨だが……」

累「もらえなかったんですね?」

景虎「そうだ。どうも武田の手が公家衆にも回っているようだ……」


 景虎様のローテーションボイスに聞いたコッチも気まずい。


景虎「だが……、帝からは御剣を賜った」


 景虎様は鞘袋さやぶくろを取り出す。


直江「拝領刀ということですね」

タカ「ハイリョウトウ?期待に応えられなくてゴメンネ!みたいな?」

累「それは配慮してもらっただけね」


 拝領刀というのは、お上が黙認した征伐のライセンスの様な物だ。

……まぁ、時代劇を見てた兄さんからの受け売りだけど。


累「でも刀にしろ、盃にしろ使うことあるんですか?」

景虎「城の蔵で丁重に保管だろうな……」

直江「使う訳にはいかないですからねぇ~」


 これぞまさに抜かずの剣。伝家の宝刀ってやつである。



▼▼▼▼


 その後の長尾家軍団は、堺見物へと向かった。

長尾家の面々には色々と物珍しかったようで、延泊しての満喫っぷりだ。


景虎「よし、ここで斎藤とはお別れだな」

累「へっ!?何でですか!?」

タカ「そりゃあ、これから行くとこは男だけの場所だからな」


 神藤は憎たらしい顔でニヤける。


累「も、もしかして色町に行くんですか!?まったく……男って、すーぐヤラし~こと考えるんだから……」


景虎「あ~コホン。残念ながら……私たちがこれから行くのは、高野山だ」

直江「あそこは女人禁制ですからねぇ~。心苦しいのですが……」


 思いっきり煩悩とは無縁のところでしたね。すいません。


 結局それから二週間ほど、鬼小島さんと堺周辺で時間つぶしをする羽目になったのである。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

[1]神余親綱:長尾家家臣。1526年生まれ。祖父の代から長尾家に仕え、京都に滞在して幕府や朝廷と交渉を行った。


お読みいただきありがとうございます。

そろそろ長尾家の紹介出します。

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