0-1-2 第二話 時空旅の道連れ
????年??月??日 場所:どこかの林
視点:律 Position
「あー、もしもし起きた~?」
なんとも吞気な声だ。まったく、こっちはどんなに心細いかわかっているのだろうか?
声の主は坂本。クラスきっての……というか、全国有数の秀才にしてマッドサイエンティスト。いや、発明もするからマッドエンジニアといったところか?
律「それで、今回はどんな発明をやらかしたわけ??」
坂本「タイムマシンだよ」
律『タイムマシン!?いやいや、スゴいじゃない!世紀の大発明だよ!』
坂本「友達にちょっと手伝ってもらってね」
どんな友達だよ……。そのツッコミは内心に留めておいた。
坂本「このタイムマシンはワームホールを一時的に広げて……(以下略)」
長い。いくら説明されたところで、文系のアタシには馬の耳に念仏だ。
律「ところで、どうやって帰るんだ?」
坂本「えっ?」
律「あるんでしょう?帰り方が」
坂本「………………ないよ」
律「何考えているのよ!安全性もわからないのに実験体にしたってわけ!?」
坂本「本当にすまない。でも昨日の王様ゲームで命令をお預けしたよね?」
うっ……。まさかその命令執行の権利をここで使ったわけ?
なんて奴だ。
坂本「安心してくれ、貴重品とリュックも一緒に送ってある。」
そうじゃない。大事なのはそこじゃないよ……。
坂本「せっかくのタイムスリップだ。二人でエンジョイしたまえ!」
律「二人?」
思わず声が出てしまった。そうか、王様ゲームで当たりを引いたのはアタシと……
「ふあぁ……。あ、律~おはよ~」
突然背後に現れた、その男。クラスメイト兼幼馴染の松本京四郎は危機感ゼロだ。
律「ねぇ。ちょっと聞いてよ!坂本の奴がさぁ……」
取りあえず、今までのことについて京四郎に説明した。
京四郎「まあ、仕方ないんじゃない。俺たちがタイムスリップ一号じゃないか」
ポジティブ思考な奴。そういうところ、うらやましい。
京四郎「ところで、ここは一体いつのどこなんだ?」
坂本「すまないんだが、それもわからないんだ。」
殴る。取りあえず戻ったら殴る。
もちろん戻れたらの話だが……。
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