表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沢渡クロエと7人のクズ  作者: 天野弱
序章【彼女はまだ何も知らない】
1/10

第0話『悪魔のはじまり』

 これはオレの持論だが。

 クズはどこまでいってもクズである。


 どんなに取り繕っても、どんなに善人ぶろうとも。

 その根底にある醜悪さは決して誤魔化せない。消そうと思って消えるものじゃない。

 

 ヤツらは己の欲望を満たすためなら、他者を傷つけても構わないと思っている。

 自分さえよければそれ以外のことなど、心底どうでもいいのだ。

 そういう人間はもはや人間ではない。

 ただの悪魔だ。

 人間の皮を被った醜い悪魔である。

 悪人が笑い、善人が泣く。

 そんなものは許されてはいけない。そんな人間はこの世にいたらいけないんだ。


 ――だから殺す。

 悪魔は。

 クズは。

 すべからくオレが殺してやる。


 沢渡クロエ。


 お前は決して許されない。


 ◆



 それは静謐なる夜。神聖なキリシタンの教会。

 30メートルはあろう高い天井。それを囲うように彩られたステンドグラス。月の光が差し込むと、きらきらと乱反射する。灯りはそれだけで十分だった。

 祭壇に向かって祈る神父がいた。絵画から飛び出したような美しい男だった。

 月の光に輝く金髪。長い四肢。横顔はぞっとするほど整っている。


「――主よ」


 祈る神父の目の前には、魔法陣のような赤黒い文字が描かれている。彼の血で描かれたものだった。

 月の光が当たらない陣の中央。人影が佇んでいた。小さな影だ。


「我が願いに応えよ――」


 神父の呟きの後――魔法陣が輝きだす。彼の両手には血より紅いペンダントが握られていた。

 陣の中央に佇んでいた人影が光に包まれる。光はどんどん大きくなり、神父は目が開けられなくなる。

 真っ白な光が教会を包む。ひりひりと全身を刺すような光だ。


「あ、ああ……」神父の声が震える。歓喜の声だ。


 光が徐々に小さくなっていく。それと同時に人影の姿があらわになる。神父は息を吞んだ。

 黒々した山羊のような角が頭に二本。佇む影の両目は真紅に染まっていた。神父に微笑んだ瞬間、ぎらりと長い牙が顔を出す。


 そう、それはまるで――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ