改題記念SS:アンタレス14歳とパワーストーン
書籍化に伴い、スケベの文字にストップが掛かったため、『妄想好き転生令嬢と、他人の心が読める攻略対象者 ~ただの幼馴染のはずが、溺愛ルートに突入しちゃいました!?~』というタイトルになりました!笑
略して『妄想転生令嬢』です!
Web版は『転生スケベ令嬢』呼びのままで構いません。
まともになった新タイトルを、どうぞよろしくお願いいたします(* .ˬ.))
僕が十四歳の頃、貴族の間でとあるパワーストーンの噂がまことしやかに流れた。
その噂を最初に僕に持ってきたのは、もちろんノンノである。
「なんと、そのパワーストーンを付けていると、すぐに運命の人に出会えるんだって! うちのマーガレットお姉様の友達の友達の知り合いの親戚の妹さんが、そのパワーストーンのおかげで、出会って0日で婚約したらしいよ!」
「マーガレットお姉様には申し訳ないけれど、すごく胡散臭いよ」
ノンノより六つ年上のマーガレットお姉様は、髪と瞳の色の違いはあれど、ノンノと見た目がよく似ている。
けれど性格はノンノとはまったく違い、おっとりとした微笑みを浮かべながら、心の内ではひじょうに引っ込み思案な心の声がする人だ。
マーガレットお姉様は僕に対しても、出会って数年は『伯爵家のご令息相手に粗相をしないように気を付けないといけないわ。ノンノったら、すごい子とお友達になっちゃったのねぇ……』と冷汗をかいていた。それくらい小心者の女性だった。
マーガレットお姉様はご令嬢たちの水面下の争いに巻き込まれて苦労していることが多いので、パワーストーンの話も詐欺ではないか? と僕はすでに警戒していた。
「マーガレットお姉様、そのパワーストーンを高額で売りつけられていたりしない? 大丈夫なの?」
「お姉様はまだ買ってないよ。というかね、そのパワーストーンを売っている露店が神出鬼没過ぎて、欲しがっているご令嬢はたくさんいるのに、ちっとも買えないの!」
「なにそれ……」
ノンノ曰く、そのパワーストーンは、魔女のような風貌のおばあさんが露店で売っているらしい。だが、いつどこで露店が開かれるか分からず、購入出来ること自体が幸運なのだとか。
「というわけで、私、がんばって露店のおばあさんを見つけて、パワーストーンを買おうと思うんだ。さっさと運命の人に出会って、イチャイチャキュンキュンなえっちなことがしてみたいもん!」
ノンノを突き動かす原動力は、いつだってそこである。
「というわけで、私、当分パワーストーン探しで忙しくて、バギンズ伯爵家に来られないから!」
「分かった。じゃあノンノがジルベスト子爵家に居そうな時間帯に、僕から会いに行くよ」
「そうしてください!」
そういうわけで、ノンノは意気揚々とパワーストーン探しに出掛けて行ったし、僕は二日に一回くらいノンノに会いに行った。
▽
「ついに運命の人に出会えるパワーストーンを手に入れたよ、アンタレスー!!」
「意外と早かったね」
「私、がんばって王都中を探し回ったのに、我が家の中庭で露店を見つけた時はびっくりしちゃった。灯台もと暗しってやつだねぇ」
「それ、不法侵入じゃない?」
「これがそのパワーストーンだよ!」
ノンノが見せてくれたパワーストーンは、ピンクと黄色のバイカラーの石だ。それが丸いビーズ状に加工されていて、一連のブレスレットになっていた。
ノンノはいつもの困り笑顔を浮かべながら、パワーストーンを手首に装着する。
「これで私、運命の人に出会えるんだよね!? クールなイケメンのくせに夜になると『もう我慢できない』とか熱烈な態度で私をベッドに押し倒してきたり、俺様イケメンのくせに『ノンノがいないと俺は生きていけないぜ』とか私に迫って来たり、可愛い美少年のくせに『あなたは僕だけのものです』とか独占欲を剥き出しにしてくれたりするんだよね!? きゃー♡」
「ノンノ、落ち着いて」
「明日かな!? 明後日かな!? それで来月辺りには、私はもうファーストキスを経験しているかもしれないんだね!? 私もう、どうしよ~♡」
「気が早すぎると思う」
「だってだって、とっても楽しみなんだもん!! あーもう、居ても立っても居られない!! ねぇ、アンタレス、明日からどこかにいっしょにお出掛けようよ! パワーストーンを付けてただ待っているだけより、人がいっぱい居るところに出掛けた方が早く運命の人に出会えるでしょ!?」
「……そういえば、ガーデンパーティーの誘いが来ていたけれど」
「それだ! そこへ遊びに行こう!」
僕の提案に、ノンノは両手を挙げて賛成した。
普段は社交はそこそこのスタンスのくせに、こんな時ばかりは前のめりなんだから。
僕はノンノの態度になんだかモヤッとしたが、執事に頼んで、近日開催されるガーデンパーティーの招待状を持ってきてもらうことにした。
▽
「じゃあアンタレス、私は運命のイケメンをゲットしてくるね!」
「うん。ノンノの自由時間は、僕の挨拶回りが終わるまでだからね。その後は合流して、僕の虫除け役になって」
「最近のアンタレスは背が伸びたからか、ご令嬢たちからさらにモテるようになったもんね! 了解です! すぐに彼氏をゲットして合流するよ!」
ノンノはいつものように満面の困り笑みを浮かべ、パワーストーンのブレスレットが輝く右腕をぶんぶん振りながら、ガーデンパーティーの会場の奥へと去っていった。
……いつもなら、僕が他人の悪意を読み過ぎて疲れないよう、心配してくれるのに。今日のノンノはあんまり心配してくれなかったな。
『私が彼氏を連れて合流するまで耐えてね!』と、エールを送ってきただけだった。
ノンノの楽しげな様子を思い返すと、彼女の気持ちと反比例して僕の眉間のしわが深くなる。
よくあんな訳の分からないブレスレットを信じられるものだ。ただの石じゃないか。
……ああ、ノンノが誰とも――……。
僕はうっかり、いけないことを考えてしまい、頭を横に振る。
……そんなことを、ノンノに対して考えてはいけない。
だって彼女は、僕の大事な人なのだから。
とにかく今は、バギンズ伯爵家嫡男として挨拶をしなければいけない方々に、きちんと会っておかなければ。
挨拶回りも、もうすぐ終盤だ。これが終わればようやくノンノに合流出来ると思いながら、僕が会場を歩いていると。
「まぁ、バギンズ伯爵様っ! お久しぶりですわっ!」
思わぬ角度から、苦手なご令嬢が現れた。
いつもなら、相手に僕の存在を気付かれてしまう前に、その場から離れるのだけれど。ノンノに合流することばかり考えていたら、周囲の心の声をちゃんと警戒しきれなかったようだ。
「……お久しぶりです、クレイブン伯爵令嬢」
「あら、嫌ですわ! わたくしのことは親しみを込めてグロリアとお呼びになって!」
「クレイブン嬢とお呼びするのに、もうすっかり慣れておりますから。今まで通りお呼びさせて頂ければと思います」
「あぁん、もう! バギンズ様は慎み深いのですわね!」
僕はクレイブン伯爵令嬢から後退してみるが、彼女から強い執念に満ちた心の声が聞こえてくる。
(おーほほほほっ! 私は古くからシトラス王国に仕える、クレイブン伯爵家の娘グロリアよ!
けれど、お父様が投資に失敗してしまい、我が家の家計は火の車。
領地や領民に影響が出ないように我が家の生活だけを切り詰めているけれど、それだけでは借金が返せない状況だ。娘である私もどうにかしてお金を手に入れて、家計の足しにしたいと考えているところ。
けれど働くにしたって、シトラス王国王立貴族学園を卒業しなければ良い就職口は見つからない。私はまだ貴族学園に入学する年齢にさえなっていないから、なかなか難しいところだ。
ここはやっぱり、玉の輿を狙うしかないわよね。
さいわい、私はそれなりに美しい。黄色味がかった茶色い巻き毛に、少々吊り目がちな瞳は家族から『子猫のように可愛らしい』と褒められる。
そして何より、私は年齢の割にふくよかな胸部を持っていた。
ふくらみ始めの頃は男性からチラチラと見られて嫌だったし、今も肩こりに悩まされていて、自分の体が好きじゃないけれど。この胸部こそが、今の私の武器だと知っている。恥ずかしいけれど、この胸でがんばってお金持ちの男子を落とすのよ、グロリア!
私が狙う玉の輿候補は、伯爵家の中でも最も格上であるバギンズ伯爵家のご令息だ。領地にはシトラス王国一番の貿易港を持ち、観光地としても栄えている。真珠産業でも有名だ。プロフィールだけでお金の匂いがぷんぷんする相手である。
まぁ、バギンズ伯爵家のご令息にはすでに恋人と目されている相手がいる、という噂は聞くのだけれど。でも、噂はあくまでも噂だし。
その噂の相手も、ただの子爵令嬢だって話だもの。私の家より爵位が低いのだから、バギンズ様のお隣からお退きなさいな、という気持ちよ。子爵令嬢なんだから、ほかの子爵家とかに嫁げばいいじゃない。おーほほほほっ!
というわけでバギンズ様! 私を玉の輿に乗らせて!)
……相変わらず圧が強い。
クレイブン伯爵令嬢の境遇には同情するが、僕を巻き込もうとしないでほしい。
ノンノは、成長するにつれて僕がご令嬢からモテるようになったと考えているが、僕に近付いてくるご令嬢から純粋な好意を感じたことは、まったくない。
家柄や財産、もしくは見た目から勝手に僕の性格をイメージして、幻想を抱いているだけだ。
ノンノからの友情の方が、よほど純粋な愛情に満ちていると思う。
……こういうことが嫌だから、早くノンノの傍に行きたかったのに。
思わずノンノに助けを求めて、視線が彷徨う。彼女の心の声を会場内から探し出す。
ノンノはちょうど会場の中ほどで、一人の青年と会話をしているところだった。
青年は健康的とは少々言い難いほどむっちりとした体格をしており、ノンノに懸命に話しかけている。
彼の心からは、
(ここでジルベスト子爵家のご令嬢と繋がりを持つことが出来れば、ジルベスト産の蜂蜜が優先的に手に入る……! そうしたら毎日蜂蜜たっぷりのホットケーキを十枚食べれるぞ! 彼女を口説き落とせ!)
という、食への飽くなき欲求が聞こえてきた。
ノンノの方はというと、
(私の運命の人がこの人だとしたら、どうしたらいいの……? 全然スケベそうじゃないんだけど。も、もしかして、脱いだら腹筋が割れてるとか、ワンチャンあるかな……?)
と、目の前が真っ暗になっているようだった。
不意に、ノンノの視線が青年のふくよかな腹部から移動し、僕の方に向いた。
ノンノは僕の存在に気が付くと、そのまま視線を動かして、クレイブン伯爵令嬢を見て目を見開いた。
(うわわわわ!! アンタレスがお喋りしているご令嬢って、憧れのセクシー系美少女グロリア・クレイブン様!? お近付きになりたい!! せめて近くでグロリア様の香水だけでも嗅ぎたい!!)
クレイブン伯爵令嬢に目が眩んだノンノは、青年に断りを入れると即行でこちらに近寄ってきた。
「アンタレス様!! 挨拶回りは終わりましたか!? あら、ごめんなさい!! まだお話し中でしたのね……っ(アンタレス、この流れで私にグロリア様を紹介してよ☆)」
ノンノは満面に困り笑みを浮かべながら、うっかりを装って僕とクレイブン嬢の間に突入した。
たしかにノンノに助けを求めていたが、僕がほしかった反応はこれじゃないという気分だ。
クレイブン嬢からは、
(これが噂の子爵令嬢ね! いいわ、戦ってやろうじゃない!)
という闘志が聞こえてくる。
クレイブン嬢はノンノの頭からつま先までジロジロと見回すと、にっこりと微笑んだ。
「まぁ、バギンズ様の妹様……は、確かおりませんでしたから、歳の離れた親戚かしら? 可愛らしい子ね。おいくつかしら?」
そう言ってクレイブン嬢は、ノンノに見せつけるように両腕を組み、自分の胸部を強調してみせた。
(さぁ、退散なさい、子爵令嬢! あなたの貧相な体では勝負にならなくてよ! おーほほほほっ!)
ノンノは恥ずかし気に頬を桃色に染め、モジモジと自己紹介を始めた。
その様子は、クレイブン嬢の大人顔負けな容姿を前に、子供っぽい自分を恥じ入る少女に見えなくもなかったが、実際のノンノの心の声はこれだ。
(しゅ、しゅごい!!!! ドレス越しでも分かる、おっぱいの柔らかそうな重量感!!!! 何ここ、グロリア様のパフォーマンスを余すことなく観察出来る特等席じゃん!!!! 私、一生グロリア様の前に居る!!!! グロリア様を一生推す!!!!)
ノンノは目にハートを浮かべ、クレイブン嬢の胸元をうっとりと見つめていた。
そこまで露骨だとさすがに気付かれるかと心配になり、ノンノの肩に手を置いて、馬の手綱を引く気持ちでグイっとノンノの肩を引き寄せる。
ノンノはクレイブン嬢の胸元にポ~ッ♡ となったまま、僕の胸元に凭れ掛かった。
そんな僕らを見たクレイブン嬢は、表情を蒼くした。
(もしかしてこれって、『僕の彼女をいじめるな』っていう、バギンズ様からの牽制!? 何よ、やっぱりこの子がバギンズ様の本命だってわけ!? でも、ここで玉の輿を諦めるわけには……。ひとまず子爵令嬢と仲良くなって、バギンズ様と私のことを応援するように仕向けさせようかしら……)
ノンノに奇行を止めさせたかっただけだが、思わぬ効果が出た。
だがクレイブン嬢はなかなか諦めが悪いようで、面倒な手段を考えている。
もう、ノンノの具合が悪いことにして屋敷に帰宅しようかな、と考えていると。
クレイブン嬢がノンノと距離を詰めようとして、ノンノのことを褒め始めた。
「す、素敵なドレスをお召しですのね、ジルベスト様! よくお似合いですわよ、おーほほほほっ!」
「そんな……。クレイブン様ほどではありませんわ。クレイブン様が身に纏えば、どのようなドレスでもご令嬢たちの憧れの的になり、流行の最先端になられますわ。私、ずっと一生永遠にクレイブン様を見ていたいです!」
「あ、あら、そうかしら……?」
「いいえ、もはや何を身に纏わずとも、クレイブン様がクレイブン様であるというだけで至高の存在です……!! クレイブン様こそ美の結晶!!」
「おーほほほほっ! いやぁねぇ、あなたったら、口が上手いのだから! あら、そのブレスレットも素敵ですわね、ジルベスト様」
ノンノに褒められて気分が良くなったクレイブン嬢が、例のパワーストーンブレスレットの存在に気が付いた。
「あ、これですか?」
ブレスレットがクレイブン嬢によく見えるようにと、ノンノが腕を持ち上げる。それに合わせてクレイブン嬢が手を動かし、ノンノのパワーストーンに触れた。
「最近流行りの、すぐに運命の……」
「ジルベスト嬢!! 蜂蜜の君!! ようやく見つけました!! 私はまだ話がしたかったのに、『機会があればまたどこかで!』と立ち去られて、こんなところにいたのですね!!」
先ほどまでノンノが会話をしていた、ふくよかな青年が横から現れた。まだジルベスト産の蜂蜜が諦めきれなかったらしい。
「まぁ、バウス侯爵令息様、先ほどはどうも」
「侯爵令息!?」
バウス侯爵家の、たしか次男だったと記憶しているが。
ノンノの口から彼の家名を聞いた途端、クレイブン嬢の眼の色が変わった。慌てて振り返り、バウス侯爵令息に視線を向ける。
(なんてお金の匂いがする殿方なの……♡ バウス侯爵家といえば多くの銀山を所有する、有名な素封家じゃない! 一族全員美食家で、領地には多くの料理人を集めた美食の街があると聞いたこともあるわ! このふくよかなお体は、お金を掛けて作られているのね! 素敵だわ♡)
そしてジルベスト産の蜂蜜を求めていたはずのバウス侯爵令息も、クレイブン嬢の存在に気が付き、彼女に視線を向けた。
(な、なんて美しいご令嬢だろうか……。お餅のように白い肌、キャラメルのように甘そうな茶色い髪、イチゴのように赤い唇……。食べ物以外に心がときめいたのは、生まれて初めてだ!)
僕とノンノの目の前で、いびつな恋が始まろうとしていた。
黙ったまま長いこと見つめ合うクレイブン嬢とバウス侯爵令息を見て、ノンノが首を傾げる。
「ねぇアンタレス、これってどういう状況?」
「意外とパワーストーンの効果があったという話じゃない?」
「どういうこと??」
▽
それから一ヵ月ほどして、ノンノの元にクレイブン嬢から手紙が届いたらしい。
「グロリア様、バウス侯爵令息様と真剣交際を始めたみたいだよ~」
「ふーん。良かったね」
「推しが幸せになることはめちゃめちゃ嬉しい。だがしかし……」
ノンノはそう言いながら、パワーストーンのブレスレットに視線を落とす。
「私にイケメン彼氏がまだ出来ないのは、なんでなの??」
あのガーデンパーティー後も、ノンノは積極的に運命の相手と出会おうと、あちらこちらへ遊びに行ったり、貴族間のお茶会にも頻繁に出席した。
だけれどノンノは、クールなイケメンにも俺様イケメンにも、可愛い美少年にだって出会うことはなかった。
「やっぱり詐欺だったのかなぁ、このパワーストーン……」
詐欺ではないだろう。
ただもしかすると、パワーストーンの効果は一回限りで、クレイブン嬢に使われてしまったのかもしれないが。
ノンノは「うわーん!」とテーブルに突っ伏して泣き出し、パワーストーンを外した。
「買って損したぁぁぁ! 私の運命のえっちなイケメンは現れなかったよぉぉぉ!」
「じゃあこれ、僕の方で処分するからね」
「どこにあるの、私のめくるめく情愛ーーー!!」
あとで執事に頼んで処分してもらうために、パワーストーンをハンカチで包む。
パワーストーンの効果がノンノには現れなくて良かったな。
ノンノがあまり早いうちに運命の人に出会わなくて良かったな、と。
僕はそんな酷いことを、またうっかり考えていた。
あのガーデンパーティーの会場で、立ち去っていく彼女を見送りながら、『ノンノが誰とも出会わなければいいのに』と思ってしまったことを、僕は墓場まで持って行く。
ノンノに幸せでいてほしいのに、彼女の世界を縮めてしまいたいという矛盾。
寂しい人生を送らせたくなどないのに、ノンノの運命の人など存在してほしくないという、子供じみた我儘。
こんな最低なことを、たった一人の幼馴染に対して言ってはいけないことくらい、僕にだって分かっていたから。




