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【完結】無属性魔法使い〈番外編追加〉  作者: クソラノベ量産機
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第77話 ナゴット神父の思惑

第二章は第26話からです。

第三章は第46話からです。

第四章は第66話からです。


では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみ下さい。

 シェスカ姫の容態を診ながら、俺達は色々と話しているとシェスカ姫が目を覚ます。


「うっ……、ワタクシは……負けましたのね。」


「良かった、痛みは無いか?」


「ありませんわ、ですが……あの方には一撃与えるだけで精一杯で完全にワタクシの負けですわね。」


「まあ、疲れてるだろうし師匠の家で休ませてもらおうか。 良いだろ、師匠。」


「ああ、それは構わんが……。」


「師匠? どうかしたのか?」


「いや、何でもない。」

(俺の考えが正しければ、おそらく紅い瞳をした孤児院育ちの連中は今まで戦ってきた魔物よりも何倍も強いかもしれん。)


 師匠は何かを難しい顔をして悩んでいるように見えたが、何も言えずシェスカ姫を俺はおんぶし師匠の家まで向かって行った。


 教会にて、フラム・ベルジェが教会の壁を叩き苛立っていた。

原因は勿論、今まで誰にも攻撃を受けなかったスピード自慢としての各をシェスカ姫の一撃によって覆されたからである。


「くそっ! くそっ!! くそがっ!!!」


「フラムよ、落ち着きなさい! その様な事をしても意味は無いぞ! 壁に拳の後が付いてるではないか!!」


「うるさいっ! こんな痣を付けられて黙ってられるとでも?」


 苛立つフラムをナゴット神父は宥めようとするが、怒りは相当なモノでフラムは腹を見せると横一線についた痣が残っていた。


「ぶっははははっ! 何だよフラム、お前調子に乗りすぎたんじゃねえの? スピード自慢が聴いて呆れるぜ!!」


「なんですって!? アンタぶっ殺されたいの?」


「おっ、やるってんなら加減しないぜ? 俺の方が強いってのを忘れたなら思い出させてやるよ!」


「その辺にしておけバルディッシュ、くだらん事でいちいち騒ぐな。」


「へーいへい、明日の試合に支障が出ない内に俺は寝てくるぜ! バゼラード以外は大抵雑魚だろうしな!」


「お主ら吾輩の目的を忘れたのでは有るまいな?」


「ふん、貴様の目的など俺にとってはどうでも良いが強者と戦う為に武闘大会に出場している事を忘れるな。」


「はあ、何だか白けたわ……私も寝よっと。」


(どいつもこいつも自分勝手な振る舞いしおって! やはり、人間に魔物の子を産ませる事で強力な力を手にする魔族と呼ばれる存在を手懐けるにはまだまだ実験が必要であるな。)


 ナゴット神父が不満を募らせている所に信者の女性が教会へと慌てて入って来る。


「ナゴット様! 貴方の力が必要です! 実は。」


「君は確か最近入信した者であったな……よい、何も言うでない吾輩には全て見えておる。」


「そう……でしたね、取り乱してすみません。」


 信者の女性の胸元を見ながらナゴット神父は頷き、言葉を紡ぐ。


「あい分かった、その冒険者を教会の台座へ寝かせよ!」


(凄い、本当に何も言ってないのに私が言おうとしてる事を理解した!)


「何をしておる、手遅れになっても知らぬぞ!」


「はい! 今すぐにそうします!!」


 ナゴット神父に言おうとしてる事を読まれ驚く信者の女性は、腹部がパンパンに膨らんでいる女冒険者を台座の上に乗せる。


「あうぅっ……苦しぃ、助け……てぇ………。」


「ナゴット様、この方を助けられますでしょうか?」


「うむ、難しいな……この者には悪魔が取り付いておる。 やれるだけの事はやってみよう。」

(なんてな、吾輩が冒険者のナゴット教徒を使って配置させたモンスターボックスから出てきた魔物によって孕ませ、バゼラードの様な魔族を産ませているとは誰も思うまい。)


 ナゴット神父は右手に妖しげな杖を持ち、女性冒険者の腹に手を置いてブツブツと呪文を唱える。


「ナゴット様、難しい顔をなされていますが。」


「うむ、彼女は助けられんな……もっと早く連れて来ておれば。」

(こいつはハズレだな、魔族のなり損ないにしかならんか。)


「そんな!?」


「痛い痛い痛い痛い! やだ、死にたくない!! いやああああ!!!」


 台座に乗せられた女冒険者の孕んだ腹部が急に中の何かが蠢きだし、蛇の様な形状の魔物が腹を突き破り飛び出してきた。


「ひっ! 魔物!?」


「離れておれ! 今浄化してしんぜよう!! 吾輩に光の加護を与え給え、シャイン!!」


 ナゴット神父の魔法で魔物は消滅するが、台座の女冒険者は既に絶命していた。


「…………」


「あの、ナゴット様……この方は生き返らせる事はできるのでしょうか?」


「それは造作も無い事だが、彼女は闇に染まりすぎた……今生き返らせたとしてもゾンビとなるだけであろう。 何、心配する事はない彼女を霊安室へと運んでおくがよい。」


「はい、分かりました……。」


(フン…、毎回とんだ茶番だな……。)


 バゼラードはナゴット神父のやりとりを見て、鼻を鳴らすと孤児院へと帰って行った。


「彼女を運び終えたら休むがよい、疲れたであろう。」


「はい、そうします。」


 教徒が死体を布で巻き固定して霊安室へと運ぶ後ろ姿を見ながらナゴット神父は、その姿を滑稽に思っていた。


(馬鹿な奴らだ、この体は吾輩が奪っている事にも気付かず聖職者であるにも関わらず真逆の事をさせられているのだからな。)


「さて、もうすぐ魔法陣も完成する。 この国は吾輩の手により、魔族で溢れ返るのも時間の問題だな。」


 一方アルベルト達はナスタークの家に再び泊まっていた。


「あの、アルベルトさんに聞きたい事があるのですが……。」


「どうした? まだ何処か痛むのか?」


「いえ、そうではなく……お聴きしづらい事なのですが……。」


 シェスカ姫は何やら顔を赤くしながら俺に訪ねてくる。


「ワタクシ、重くはありませんでしたか?」


「いや、全然……重さなんて感じなかったぞ?」


「なら、良かったですわ。」


「アルベルト様はどんな時でも優しいわよ、気配りもできるし私だって大好きな人だもの! きゃっ! 言っちゃった!!」


 さっきからエリーシャの様子がおかしく、赤ら顔で普段なら言わない様な事を口走っている。


「なあ師匠、さっきからエリーシャの様子がおかしいんだが……。」


「たぶん、あの手に持ってるやつ飲んだかもしれんな。」


 エリーシャの手にはグレープジュースとラベルの貼られた瓶が握りしめられていた。


「俺も昔、あの中身が酒とは知らずに飲んだ事有るから入れんなってエミリーちゃんさんやジーニーさんに怒られてなかったか?」


「面目無い、次からは気を付ける。 だからこの事は、あの二人には黙って……。」


「誰に何を黙れって? ボケナス?」


「ナス、さすがに大人としての自覚もったら?」


 ナスタークの背後には、筋肉隆々の金髪ツインテールの女性と寝ぼけた顔の優男が立っていた。

何時も読んでくださり有難うございます。


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