第75話 戦士の部 そして決勝戦へ
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
第四章は第66話からです。
長らくお待たせしました。
中々話が進まず、申し訳ないありません。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみください。
戦士の部の試合は一般的な目からは、つまらないモノに見えていたのか観客が減り一部の者達しか残っていない。
「随分と減りましたね。」
「そうね、確かに観てて迫力の有る試合には見えないからこうなるのは当然かもしれないわね。」
「そういや師匠の仲間のエミリーちゃんさんやジーニーさんは今何してんだ?」
アネットとエリーシャは観客が減っていった事に少し落胆している様に見え、俺は昔師匠と行動していた時の仲間が何をしているのか気になり質問する。
「エミリーもジーニーも俺が調べてほしい事を確認してもらってる。」
「調べてほしい事?」
「ま、今は有意義な情報が入るのを待っている状況だな。」
そんな会話をしているとシェスカ姫の次の試合がはじまる。
「えー、では準決勝戦を始めたいと思います! 選手は舞台へとお上がりください!」
シェスカ姫と対戦相手が舞台へと上がり互いに向き合い、木の棒を構える。
(困りましたわ、初戦の方には申し訳ない事をしましたわね。 手加減しないといけませんわ。)
「手加減なぞ不要!」
「え? ワタクシ声に?」
「この様な舞台にて相手を想う気持ちは失礼な事だ! 初戦の彼も戦士として相手を見下した末に負けたに過ぎん!」
「そこまで言われてしまっては手加減出来ませんわね。」
「両者、準備はよろしいですね? シェリー選手対バロック選手! 始め!!」
バロックと呼ばれた選手は槍の構えをし、シェスカ姫の動きを慎重に見極めようと相手の目を見て先を読もうとしている様だ。
「そちらからで構わぬぞ?」
「では、行きますわよ!!」
シェスカ姫は真っ直ぐバロックの懐へ飛び込み、首筋に一撃を入れようとするが、防がれてしまう。
「加減は不要と言ったはずだが?」
「やはり防がれてしまいましたわね、では御言葉に甘えて本気を出させていただきますわ!」
「来るが良い! 私も戦士として恥じぬ闘いを見せてしんぜよう!」
シェスカ姫らバロックから距離をとり、素早い動きで翻弄し始める。
(うむ、パワーもスピードも向こうが上か……だが。)
「そこですわ!!」
「真っ直ぐ過ぎるな。」
先程と同じ様にシェスカ姫はバロックの正面から横凪に木の棒を振るがバロックは木の棒で防ぎながら受け流すとシェスカ姫の背後へ回り、首筋に一撃を喰らわせる。
「ここだな。」
「!?」
「貴方も手加減しているではありませんか、そろともワタクシが女性だから舐めているのですか?」
「いや、舐めてはおらん。 先程加減をされたのでな、そのお返しだ。」
「なら、安心しましたわ……次で終わりにしますわね。」
「こちらの台詞だ、終わらせてやろう。」
そう言うとバロックはシェスカ姫に向かって木の棒の先端を向け突進し、舞台から押し出そうとするがシェスカ姫は正面から思いきり木の棒を振りきるとバロックは空中へと飛ばされ場外へと落ちる。
「なっ!? まさか、ここまで差があるとは!!」
「場外! 勝者、シェリー選手!!」
バロックは舞台へと上がり、シェスカ姫に拍手を送り称賛する。
「おめでとう、まさか私が敗れるとはな。」
「有難う御座います。」
「ただ、これだけは言っておこう……決勝戦に上がってくるのは間違いなくフラム選手だろう。 今まで、力の一部も見せていないのでな私は君を応援しよう。」
バロックは、シェスカ姫の真横を過ぎ去る前にボソッと呟く。
(ロクサーヌの姫よ。)
「え?」
シェスカ姫はバロックの後ろ姿を見ながら、頬をふくらませ呟く。
(やっぱり手加減してましたわね……。)
そして、フラムの準決勝戦が始まるが初戦と同じ様に対戦相手の顔色が悪くなり負けを認める。
「勝者! フラム選手!!」
「一体何がどうなってんだ? 皆闘う前から負けを認めてるぞ?」
「それに何故か、あのフラムって人つまらなそうにしてるわね。」
時は流れ、早くもシェスカ姫とフラムの決勝戦が始まろうとしていた。
「では、これより決勝戦! シェリー選手対フラム選手の対戦を行います! 両者準備はよろしいですね?」
(頼むから、決勝戦まで同じ結果にならないでくれよ……。)
「勿論ですわ!」
「いいから早く始めてくれる?」
「始め!!」
困り顔の審判は、ヤケクソになりながらも決勝戦の試合開始の合図をすると舞台から離れる。
「何だか大変だな、あの人。 どう見てもヤケクソになって試合を進行してるな。」
「それよりさ、シェスカ……シェリーの様子おかしくないか?」
スラストの言う様にシェスカ姫の様子がおかしくフラムは攻撃を仕掛けていないにも関わらず剣を投影した木の棒で何かを防ごうとしていた。
「フフッ、やはり貴方は少しくらいは楽しませてくれそうね。」
「何をしましたの?」
(どうなってますの、あの方は動いてすらいませんのに……まるで本物の剣が何も無い所からワタクシの首筋に向かって振りきろうとしてましたわ。)
「何って、ちょっとしたイタズラってとこかしらね。 なのに貴方以外の選手は自分の首が落ちた幻覚を見せただけで戦意喪失しちゃうもの。」
「理解しましたわ、つまり今までの方々は死の恐怖に耐えきれずに負けを認めたと言うわけですわね。」
今までフラムと対峙しては何もせずに負けを認めてきた選手達を思いながらシェスカ姫は、フラムに木の棒の先端を向け高らかに勝利宣言をする。
「そうね、別に怖いなら闘わなくても良いわよ? 私、弱い奴は嫌いなの。」
「貴方の様な方にワタクシは負けを認める訳にはいきません! 必ず勝ちます、卑怯な手を使い決勝まで来た方にワタクシは絶対に負けませんわ!!」
その言葉を聴いたフラムは、何処か狂気の宿った瞳になり不気味な笑みを浮かべながら舌舐めずりをする。
「フフッ、フフフフッ! 貴方、嫌いじゃないわ始めましょうか! 残念ながら、貴方は勝てない……だって私の方が強いから!」
何時も読んでくださり有難う御座います。
次回はシェスカ姫対フラム・ベルジェとなります。
どう、戦闘描写するか悩みますが頑張って苦手な戦闘を書いていこうと思います。
評価やブックマーク等してくださり有難う御座います。
また第四章の終わりに一時的に完結させ、第五章は出来上がり次第投稿するつもりです。




