第71話 暗躍する者(追放側視点)
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
第四章は第66話からです。
今回は追放側視点になります。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみください。
「で、お前何でこんなとこに居んだよ?」
「何でって、仕事に決まってるじゃないですか。」
「仕事?」
「ええ、ここで待ち合わせしてるのですよ。」
クレメンスはサハラの村にアクナヴィーテが居る事に疑念を抱き、訪ねるが仕事で来ており人を待っていると言われて納得する。
「ふーん、で…儲かるのか? なら一枚噛ませろよ。」
「すみませんが、今回は顔合わせだけですので金銭は発生しませんねぇ。」
「あ、何だよつまんねーな。」
「そうですねぇ、貴方に渡したバッグの中に転移カードという道具を入れてますから使用してもらえませんかねぇ。」
そう言われクレメンスはバッグを漁り、中からカードを取り出す。
「これか? どう使えばいいんだ?」
「そのカードは一度でも行った事のある所になら、何処にでも飛んで行けるアイテムです。 天にカードを翳して行きたい場所を叫んでいただければ。」
「こうか? ナルドレイク王国へ! お、何だこの光……うおっ!?」
「おぉわああああ!!」
行きたい場所を叫ぶとクレメンスの周りに淡い光が宿り、上空へと飛び猛スピードでナルドレイク王国へと飛んで行く。
「ふむ転移カードは人が使用させるのは、まだまだ調整が必要ですかねぇ。 まあ、あの方ならあのスピードにも耐えられるでしょう。」
「おーい、もう終わったかー?」
「おや、ラクシドールさんから来てくれるとは珍しいですねぇ。」
「おめえが遅えからだよ、何遊んでんのさ!」
「いやー、中々面白い玩具を見つけてしまいましてねぇつい夢中になってしまいまして。 それにしてもラクシドールさんも相変わらず本体を見せませんねぇ。」
アクナヴィーテに話しかけてきたのは、サハラの村でナゴット神父により生き返った様に見せている男性だった。
その男性の目は白目の部分が黒くなっており、瞳は紅く禍々しい雰囲気を有していた。
「ケッ! まあいいさ、ジャミールの奴は弱体化してるとはいえボクの魔身人形使って負けるとか最悪だね!」
「仕方のない事ではないですかねぇ、ジャミールさんは封印から解き放たれて本調子では無かったのですから。」
「それで、ボクの造った魔身人形は世界中に設置してきたんだろうね?」
「ええ、勿論ですとも私も大魔王様の復活の為に尽力を尽くしていますからねぇ。」
「ケケケ、アクナヴィーテのお陰でボクの“人類魔身人形化計画”が完成しそうだよ! ま、あのエセ野郎がボクの計画に便乗してるってのがムカつくけどね!!」
「あー、エセナゴッドさんの事ですねぇ……彼、自意識過剰な方ですしねぇ。」
アクナヴィーテとラクシドールは計画を話し合い、大魔王復活後の準備を着々と進めていた。
「ところで、ラクシドールさんはどう思います? エセナゴッドさんの“大いなる思想”について。」
「ケッ! アクナヴィーテ、おめえまさかエセ野郎のバカげた夢なんかに協力しようってんじゃねえだろな?」
「まさか、そんなわけ無いでしょう。」
「ま、ボクらは仲良くしようよ元人間同士……ね?」
一方その頃、クレメンスは上空でナルドレイク王国へと猛スピードで飛んでいた。
「うぎいいいいーーーー!!」
クレメンスの口は風で袋に空気を入れる時の様に開き、歯を食いしばる形になっていた。
そしてナルドレイク王国へと突っ込みドゴーンと地面に穴が開いて、クレメンスは無事に目的の場所へと到着する事に成功する。
「おい、何だ今の!?」
「なんか、空から降って来たぞ!」
「隕石か何かかしら?」
街の人達は不安ながらもクレメンスの造った穴を覗き込み、落ちてきたモノを確認する。
「ぶはっ! あの野郎、巫山戯やがって!! 何が転移カードだ、欠陥アイテムじゃねーかクソが!!」
「中から人が出て来たぞ!?」
「何かの実験でもしてたんじゃないか?」
「何それ、だとしたら安全面に配慮してなさすぎでしょ!」
「テメエら、うっせーぞ! 見せもんじゃねえ、あっち行け!!」
(あの野郎、まじで巫山戯やがって今度たっぷりと被害請求してやる!!)
次々と野次馬が集まってくると恫喝し威嚇する、そしてクレメンスはアクナヴィーテへと高額な被害請求する事を考えていた。
「まあ、何だ……確かにナルドレイク王国には着いたからよしとするか。」
(幸い、ナルドレイク王国までは俺様の指名手配の張り紙は出てないみたいだな。)
ホコリを払いながら、クレメンスは練り歩くと武闘大会の参加者の受け付けがされている闘技場へと入って行くアルベルトの姿を目にする。
(あいつは無能野郎! まさか、武闘大会に出場する気か?)
クレメンスはその光景を見て、ある事を思いつく。
(無能野郎が居るって事は、アクナヴィーテの野郎から貰った認識疎外マスクの効果を試せるか……もし俺様と認識された所で無能野郎から逃げるなんざわけねえんだからな!)
そう思いクレメンスはアルベルトの後ろに並び、まるで参加する為に並んでいるかのように自然に振る舞う。
(おいおい、まじで参加する気かよ……けど観客席からコイツの侍らせてる女共が落胆する姿を思うと嗤いが止まらねえぜ!)
「次の方どうぞー。」
「えっ? 俺様の事か?」
「他に誰が居るのです? 早くしてくれませんか、後ろ結構並んでますよ!」
後ろを見るといつの間にか長蛇の列が出来ていた。
「お前参加するなら早くしろよ!」
「遅えぞ、何やってんだよ!」
「まだかよ、どんだけ待たせる気だ!!」
クレメンスに対して早くしろとの声が次々に上がり、仕方なく参加者として名前を言うことにした。
「ああもう! 私が書きますよ、貴方のお名前は?」
「俺様はクレ……。」
「クレ?」
「グレゴリオだ……。」
(あっぶね、俺様とした事が本名を名乗るとこだった…。)
「クレ・グレゴリオ様ですね、参加者登録が終わりましたので3日後に来て下さいね!」
「登録し終わったんなら、さっさと退けよ!」
クレメンスは咄嗟に偽名を使い正体を隠す事に成功し、アルベルトへ接近しても認識疎外マスクのお陰でバレない事も確認出来た。
「確か3日後って言ったな、参加するつもりは無かったが無能野郎が女共から幻滅される所が間近で見れるなら良いか。」
こうしてクレメンスはアルベルトの不幸を妄想しながら、3日間を過ごすのであった。
何時も読んでくださり有難う御座います。
楽しんでいただけたのなら幸いです。




