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【完結】無属性魔法使い〈番外編追加〉  作者: クソラノベ量産機
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第7話 王国指名勇者(追放側視点)

追放側視点になります。

 龍の顎のメンバーは、命からがらにナルデナ洞窟から逃げてきて、冒険者ギルドにて休息をとっていた。


「あーもう、最悪! 何で私がこんな目に遭わないといけないのよ!!」


布で全身を覆ったケニーが悪態をつく。


「流石に数が多すぎたナ。」


「オメエら、辛気臭え面してんじゃねえよ!」


その時、冒険者ギルドに一人の兵士が入ってきた。


「龍の顎は居るか!」


クレメンス達はビクッと反応する、それもそのはず彼らはアネットを傷つけ自分達だけ助かったのだから。


(おいおい、まさかバレたのか? いくら何でも早すぎる!)


兵士はクレメンスを見つけると真っ直ぐ向かってくる。


「クレメンスだな? 国王陛下より言伝を預かってる。」


「言伝? 国王陛下から?」


クレメンスは、ナルデナ洞窟のアネットを囮にして逃げたことを怪しまれているわけではないと思うと内心ほっとした。


「それで、国王陛下は何と?」


「ふむ、今日中に謁見の間に招集せよとのことだ。」


「今日中だな? その前にやる事があるが、それが終わってからでも良いか?」


兵士は、龍の顎のメンバーであろう二人の女性を目視すると察したのか一言呟く。


「分かった。」


しばらくして龍の顎が向かったのは、防具屋である。

そう、ケニーの服を買いにきたのだ。


「ふう、ほんと酷い目に遭ったわ。」


ケニーは試着室から出てくると純白のローブを身に纏っていた。


「ニアミスは、新しい拳法着は買わねえのか?」


「アタシは良いよ、そんな古く無いカラね。」


「うし、じゃあ行くか!」


数分後、謁見の間にて龍の顎が片膝を突き頭を垂れる。


「よくぞ来てくれた! 龍の顎よ!」


「はっ!」


「お主らを呼んだのは他でもない、Sランクパーティーとして様々な功績を上げた強者として頼みたい事がある!!」


龍の顎のメンバーは、国王陛下の次の言葉を待つ。


「そなた達を我が国、イシュタッド王国における勇者として活動してもらいたい!!」


クレメンスは、あまりの出来事に喜びを隠せず、その顔は満面の笑みを浮かべていた。


「面を上げよ!」


龍の顎のメンバーは、一斉に顔を上げる。


「やってくれるな?」


「勿論ですとも国王陛下、我々の活躍を全世界に轟かせてご覧に入れましょう!」


こんなチャンスは滅多に無いと思うクレメンスであったが、これより過酷な訓練が待ち受けているとも知らずに軽い返事で了承した事を後悔することになる。


「おお、やってくれるか! では、ドメストはおるか?」


国王陛下は、パンパンと手を叩くと屈強な体付きの騎士がやってきた。


「はっ! こちらに!!」


「では早速だが、この者達に稽古をつけてまいれ。」


龍の顎は稽古という言葉に戸惑うが、甘んじて受ける事にした。


「まずは、貴様らの戦闘スタイルを見る為に訓練場に行くぞ! 付いてこい。」


そう、促されるままに付いていくと闘技場のような四角い試合版が目に入る。

試合版の中央には、魔法陣が設置されており今にも何かが召喚されそうな造りとなっている。


「舞台に上がれ! 貴様らの実力を測りたいのでな!!」


龍の顎のメンバーは自分達の力を見せつけんとばかりに気合十分のようだ。


「もしかして、あの魔法陣から魔物でも召喚するつもりですか?」


ケニーが魔法陣を見て呟く。


「そうだ、準備ができたなら言え!」


「はっ、準備ならとっくにできてんよ!」


余裕綽々な龍の顎だが、この後ドメストの前で恥をさらすことになる。


「良い返事だ! では、擬似的に魔物を召喚する!」


ドメストが舞台へと手をかざすと、魔法陣が光り出し一匹の魔物が出現する。


「ひっ!?」


その魔物を見たケニーは、ナルデナ洞窟でのトラウマを思い出し足が震えてしまう。


「あ? ゴブリンじゃねえか…舐めてんのか!? ドメストさんよ!?」


ドメストは何やら残念な者を見る眼差しを龍の顎に対して向ける。


「全く…どんな魔物で腕試しするかと思えば、とんだ期待はずれダナ。」


クレメンスとニアミスは、ドメストの思惑に気付かずゴブリンを雑魚モンスターとしてみている。


「ゴブリン一匹ならアタシ一人で十分ダナ。」


そう言ってニアミスはゴブリンに攻撃するが、あっさりと躱されてしまう。


「なっ! 消えた!?」


目の前にいたゴブリンが、一瞬にして消えたかと思えばニアミスの懐に重い一撃が入る。


「ガハッ!!」


ニアミスは、そのまま白目をむき気絶してしまった。

それを見たドメストは落胆する。


(はぁ、思ってた以上に驕り高ぶった奴等だったか。)


「ニアミス!! クソっ…、雑魚モンスターの分際で!!」


クレメンスは、剣をゴブリンに対して連続して斬りかかるが全て紙一重で躱されてしまう。


ゴブリンはクレメンスの怒りの表情を見るやいなや左目の下を人差し指で下げ、舌を出して挑発する。


「テメエ! 舐めやがって俺様はSランクパーティー龍の顎のリーダー、クレメンス・バッカーニアだぞ!!」


挑発された事で頭に血が上り、剣が大振りになり隙だらけになったクレメンスを首筋に手刀を当て気絶させる。


(思っていた以上に酷いな。残りは駄目だな…あの状態じゃ戦力にすらならん。)


龍の顎のメンバーは、クレメンスとニアミスが気絶させられゴブリンは残ったケニーへと近付いていく。


「い、いやっ…来ないで……。」


ケニーはナルデナ洞窟でのイヤらしい顔をしたゴブリンと目の前にいるゴブリンが重なる。


一歩、また一歩と距離を詰めるゴブリンに対して引く事もできずに涙目になりながら、その場にへたりこんでしまい。

ゴブリンが目と鼻の先まで近付いたところで、あまりの恐怖で漏らしてしまい気絶してしまった。


「やれやれ、これがSランクパーティーとはな…だが国王陛下が勇者に選んだ以上、我が忠義に誓ってコイツらを鍛えなければならんな!!」


あまりにも、お粗末な戦いっぷりを観させられたドメストは龍の顎に対して最も過酷な稽古を思い付き、その顔はサディスト特有の凶悪な顔をしていた。

次回は、主人公視点に戻ります。

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