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【完結】無属性魔法使い〈番外編追加〉  作者: クソラノベ量産機
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第64話 逆恨み(追放側視点)

第二章は第26話からです。

第三章は第46話からです。


次回で第三章は終わり、次々回から第四章になります。


では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみください。

 未だにエルフの森から出られず凶暴な熊の魔物、レッドシザーズから再び逃げ惑うクレメンスは違和感に苛まれていた。


「グオオオオ!!」


「あっぶね! 掠った、今掠ったああああ!!」

(何なんだよ、コイツ! 鼻から血が出てるっつー事は俺様が逃げ切った個体って事は間違いないはずだ!)


「グルルル、ガオー!!」


クレメンスはレッドシザーズから逃げながら、しつこく嗅覚で自身を追いかけて来た個体だという事を鼻から血が出ている為気づくが何故、嗅覚が機能しない状態でさらには透明マントで見えない自分の位置が分かるのか、その答えは聴覚である。


(まさか、コイツ視覚も嗅覚も意味をなさねぇからって俺様が逃げる方向を聴覚だけで追って来てやがるのか!?)


さっきから草むらをかき分け走って逃げる方向にある木の枝などを踏みパキッと鳴る音へとレッドシザーズは爪を立て切り裂いてきている。


(音に反応してるってんなら、これでどうだ?)


クレメンスは逃げながら落ちてる石ころを拾い上げ自分とは別方向に投げつける。


(どうだ?)


投げた石ころは遠くの木に当たりレッドシザーズが、その木を爪で切り裂いて倒木させる。


(あ、危なかった……あんなのモロに喰らったらひとたまりもねぇぞ。 だが、奴を遠ざける方法が分かった! これを繰り返して絶対に生き延びてやる!!)


一方、イシュタッド王国ではドメストが国王陛下にある記事の報告をしていた。


「国王陛下、恐れながらこちらをご覧下さい。」


「ん~? 指名手配所とギルドの記事か?」


「似ていませんか? バージリア王国行きの貿易船に現れた海ゴリラとクレメンス・バッカーニアという犯罪者なのですが。」


「うむ、確かに似てるの。」


「もし、同一人物の場合は国外逃亡と見て間違いないでしょう。」


イシュタッドの国王は国外逃亡した犯罪者を捕まえるようドメストに特別任務を与える。


「ドメストよ、この犯罪者には罰を与えねば気が済まん! 主に特別任務として奴を必ず捕らえよ! どれほどかかっても構わん!!」


「はっ! ですが、私が留守にして良いので?」


「なーに、主の育てた優秀な部下達が居るのだ! そう簡単には城が陥落する事はない!」


「有り難きお言葉、恐縮です!」


「では行くがよい! 必ずや国外逃亡した犯罪者を捕らえるのだ!!」


「了解!!」


ドメストはクレメンスに似た魔物、海ゴリラの目撃情報のあったバージリア王国へと足を進めるのであった。


そしてクレメンスはというと、石ころを遠くへ投げてレッドシザーズを遠ざけなるべく音を立てないようにゆっくりと逃げ出し、やっとの事でエルフの森から出ていた。


「ぜぇ……ぜぇ……、やっと外に出られたぜ! クソっ、俺様がこんな目に合ってんのは間違いなく無能野郎のせいだ! どうやったか分からんが、この俺様に呪いかけるとは良い度胸だなちくしょうめ!!」


クレメンスはバージリア王国へと向かい街中で適当な店に並んでいる果物を手に取り食べ始める。


(こんな店の前に果物出してる店の方が悪いぜ? 俺様が食った所で鳥にでももってかれたとしか思わんだろう。)


店の前で幾つかミツリンゴを食い荒らし芯だけとなった物を元有った場所へと放り投げる。


(ふぅ……、食った食った! やっぱ自然の食い物は最高だぜ!)


その時、店からオバサンが出て来て残りの商品を並べた時にミツリンゴが食い荒らされている事に気づく。


「ちょっ!? 何だいこれは! アンタ、ちょっとアンタ来ておくれよ!」


「なんじゃい、騒々しい………なっ何じゃこりゃああああ!?」


「なっ? 酷いだろう一体誰がこんな事したんだろうね?」


「仕方ないのお、ミツリンゴは皆処分じゃな……。」


「はあ、そうなるだろうね……今月は赤字だね……。 絶対に犯人を見つけて懲らしめてやらないと!!」


(今処分って言ったか? ラッキーだぜ、まだ食い足りなかったし棄てた後を見計らって貰う事にしよう。)


何とクレメンスは罪に苛まれるどころか、自身が原因にもかかわらず処分されるミツリンゴを全て自分の物にしようと考えているようだ。


(要らねえってんなら俺様が全部貰ってやっから有り難く思いなよ、オバサン! ん、あれは!!)


店の人がミツリンゴの処分を待っている間にクレメンスの目には、ある人物が視界に入る。


そう、何人もの美女を侍らせたアルベルトの姿である。

当然クレメンスにとっては面白くない光景である為、嫌がらせとして今の自分自身が透明なのを良い事に石ころを拾い上げアルベルトへと投石する。


(あの無能野郎、無条件であんな美女達と仲良くしやがって! 今洗脳を解いて俺様の者にしてあげるからね、お嬢ちゃん達♡ こいつでテメエのハーレム生活も終わりだ無能野郎!!)


クレメンスの投げた石は疲労のせいかアルベルトまで届かず、近くを歩いていた犬に当たる。


「ぎゃん!?  ウウウウ……。」


「うわっ、ビックリした!」


「急に犬が痛がっタナ?」


「あの石、血が付いてますね。」


「酷い事しますわね、ですが犯人の姿が見当たりませんわ?」


「動物に石を打つけるなんて最低な人もいたものね。」


「アルベルト様、ナルドレイク王国へ行く前にこの子の手当てをされますか?」


「それもそうだな……あっ!」


アルベルト達が話し合っている間、石匂いを嗅いで犯人の位置を特定した犬は真っ直ぐにクレメンスに狙いを定め噛み付かんと追いかけ始める。


「バウワウ! バウワウ!!」


(ち、チクショー! どうしてこうなるんだー!!)


「何か、何も無い所に走って行ったな……。」


「頭の傷が心配ですが、興奮状態ですし下手に追いかけない方が良さそうですね。」


「そうだな、じゃあ出発するか。」


石を打つけた犬から必死に逃げるクレメンスだったが、逃げ切れず思いきり尻をガブッと噛まれてしまう。


「ガウッ!」


「痛ッデエエエエーーーー!!! 覚えてろよ無能野郎ーーーー!!」

何時も読んでくださり有難う御座います。

楽しんで頂けたのなら幸いです。

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