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【完結】無属性魔法使い〈番外編追加〉  作者: クソラノベ量産機
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第59話 既視感

第二章は第26話からです。

第三章は第46話からです。


ジャミール編までで終わらせるつもりでしたが、何か大魔王の勢力が終わらせてくれない…。


では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみください。

 ジャミールの大声が響いていた頃、宿屋ハンネスにて俺は直ぐにでも戦いに行く為に立ち上がり声のした方向に向かおうとしたがアネットに止められる。


「駄目ですよ、アルベルトさん! まだ安静にしてないと!!」


「けど、この事態を招いたのは俺だ! 奴の狙いは俺なんだ!! 早くしないと犠牲者が出るかもしれない、だから!」


俺は必死にアネットを説得しようとしたが、焦る俺の頬にアネットは平手打ちをする。


「いい加減にしてください! 今のアルベルトさんは魔法が使えないんですよね! メルダさんから聞きました……何で、そうやって他人の事ばかり考えて自分自身の事は考え無いんですか!」


「アネット……?」


アネットの目は泣いていた同時に怒ってもいた前に一度されたビンタとは違い、何か不思議な感情が混ざっている様に感じた。


「アルベルトさんには、今みたいに焦って大切な時に失敗して欲しくありません!」


「悪い……、けど何か目が覚めた気分だ! 有難う、俺は死なないし誰も死なせない!」


「はぁ……、やっぱ理解してないじゃない……でもさっきよりはマシな目になりましたね必ず帰って来てください! 絶対ですよ!!」


「ああ、約束だ!」


俺はアネットと約束の指切りをし、宿屋ハンネスから出ると息を切らしたエリーシャが立っていた。


「アルベルト様、皆が広場で………。」


エリーシャは、俺に広場で皆が戦っているという事を伝える。


「ああ、分かってる! 今度こそジャミールを倒す!!」


一方、広場ではメルダ達はジャミールに苦戦を強いられていた。


「そこですわ!!」


シェスカ姫はジャミールの背後をとり斬りかかるがガキィンと弾かれ、何度も弾かれたのか剣は刃毀れしていた。


「無駄よ、この躰に刃物は通用しないわ♡」


「これなら、どう? アイシクルバレット!!」


「それも無駄って分からない? それとも妖精って知能無いのかしら?」


ジャミールにトレーシィは無数の氷の刺アイシクルバレットを放つが、吸収されてしまう。


「だったら、コイツはどうカナ?」


ニアミスはジャミールの鳩尾に内部破壊の攻撃を繰り出し一瞬動きを封じ、メルダはその隙にジャミールの躰の自由を奪えないかと思い魔力の糸を使って束縛しようとするがトレーシィの魔法同様に吸収されてしまう。


「これなら、どうでしょうか!?」


「あら、今何かしたかしら? 流石に内部に衝撃を与えてくるのは予想外だったわ……けど残念ね、私の弱点までは届かなかったようね♡」


「とんでもない怪物のようですね。」

(どうしたものでしょうか、ニアミス様も拳に血が滲んで力を存分に発揮出来ないでしょうしシェスカ様も剣が刃毀れを起こしていますし、トレーシィ様に限っては魔法を吸収され戦力外。)


「まーだ、来ないのかしら、無属性魔法使いは? ウォーミングアップも飽きてきちゃったし一人くらい殺しちゃっても良いかなぁ?」


メルダは咄嗟の判断でジャミールの前にでると仲間に逃げる様に指示する。


「あら、何かしら?」


「ここは、私が食い止めます……皆様はエリーシャ様とアルベルト様を連れてなるべく遠くへお逃げください!!」


「何を仰っているのですか、メルダさん! ワタクシは、まだ戦えますわ!!」


「そうだ、アタシだって拳を握レル!」


「あたしは、魔法しか使えないけど何か役に立つ方法があると思う!」


「おいおい、今何つった? 無属性魔法使いと逃げるっつったか?」


「当然でしょう、アルベルト様は世界を救う救世主様なのですから貴方の様な方に負けて死なせるわけには行きませんので。」


ジャミールはメルダの言葉に激情し、腕を振り上げ地面を殴る。


「なるほどねぇ、アレは逃がす為だったか。 なら全員お望み通り地獄へ送ってくれるわ!!」


ジャミールは拳を振り抜き、メルダは両腕で防ぐが力が強かったのか腕の骨がミシミシと音を立て吹っ飛ばされる。


「メルダ!!」

「メルダさん!!」

「メルっち!!」


吹っ飛ばされた方向には、アルベルトが立っており左腕でメルダを支えていた。


「メルダ、大丈夫! アルベルト様を連れて来たからもう安心よ!!」


「エリーシャ様……、何……考えて………私は………貴方達………だけでも………逃げて…………。」


「あらあら、ヒーロー登場ってわけね……待ってたわよ? 貴方が来るのをね。」


「エリーシャ、メルダを頼む………。」


「ええ、任せて!」


俺はジャミールに仲間を傷つけられ、怒ってもいた。

だが、アネットのお陰か頭は冷静に次にジャミールがどう動くか考えていた。


「ジャミール、俺の仲間を傷つけて……ただで済むと思うなよ?」


「それは、こっちの台詞よ……私の苦労を台無しにしてくれたんだからなぁ?」


「アル、あたし達も援護するよ!」


「いや、コイツとは俺一人で決着を付ける! だから皆は躰を休めていてくれ!」


シェスカ姫、トレーシィ、ニアミス、広場の現状を見て誰一人としてジャミールに決定打を打てなかったのが見て分かる。


「一対一の勝負なら、願っても無いわね♡ どうせ、こいつら雑魚だし暇潰し程度にしかならなかったわ。」


「いいから、始めようぜ……俺が狙いなんだろ?」


「威勢だけ良いのね、行くわよ……。」


その瞬間、ジャミールは常人なら目で追えない速さで俺の前に現れる。


「やっぱ速えな……けど。」

(妙な違和感が有るな……こいつ。)


ジャミールは交互に拳を振り抜きながら突進してくる、俺は後ろに下がりながら拳を避けて行く。


「どうした、どうしたあ! エルフの里で使ってた魔法は使わねえのかあ?」


「さあて、どうだろうな?」

(しかし、参ったな確かに魔法は使えない。 マナポーションを来る途中で飲んだが直ぐに枯渇しちまったし。)


考え事をしながら躱していると民家の壁にあたり、チャンスとばかりにジャミールは思いきり拳を民家に振り抜く。


硝子が割れ木片などの瓦礫が散乱し足をとられるが、俺はジャミールの横へと逃げる。


(このジャミール既視感が有るような……。 そうか、メルダの魔身人形マシンドールに似てるんだ。)

何時も読んでくださり有難う御座います。

楽しんでいただけたのなら幸いです。

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