第58話 化け物の再来
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
割と結構な話数書いてる事に驚きですわ。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみください。
バージリア王国の広場にて突如現れたジャミールと国の兵士と冒険者は街の人達を避難させながら戦っていた。
「くっ……、なんてパワーだ!」
「どうする、硬すぎて槍が通らんぞ?」
「近辺の住民の避難は終わりました!」
「そうか、後はコイツをどうするかだな。」
ジャミールは兵士や冒険者の攻撃を意に介さず、その視線はある人物を探していた。
(チッ、この中には居ないわね……。)
「何処だああああ、無属性魔法使い! この国に居るのは分かってるんだああああ、出て来おおおおいー!!」
その声は大気を揺らし、国中を振動させていた。
「何だ、いきなり大声出しやがって!」
「たたみかけるぞ!!」
兵士は槍先に意識を集中させ鋭さを強化しながらジャミールを突くが、硬い躰に弾かれてしまい虫を払うような腕の動きでジャミールは兵士を民家へと薙ぎ払う。
「うわっ!」
「これならどうかしら? フレアバースト!!」
「あぁん?」
「やった! まともに当たったわ!!」
魔法使い風の冒険者は兵士が薙ぎ払われた瞬間に上級魔法をジャミールへと唱え、見事に命中するが当たった魔法は直ぐに消え吸収されているのが分かる。
しかし、魔法が当たった時に出た煙りが晴れると何事も無かったかのようにジャミールは立っていた。
「そんな、効いてないどころか吸収された!?」
「フフフ……、アーハッハッハッ! これは良い、そう簡単には壊れない上に魔法すら吸収する躰!! もはや、私に敵う者など存在しないわ!!」
「諦めるな! 何か倒す方法が必ず有るはずだ!!」
先程ジャミールに民家へと飛ばされた兵士が立ち上がり槍を構える。
「あら、諦めが悪いわねぇ♡ 私貴方みたいなタイプ嫌いじゃないわよ? どうかしら、私の配下にならない?」
「誰が、貴様の様な醜い化け物の仲間になどなるか!」
「醜い……、醜いですって?」
「お、おい……何か様子が変だぞ!? 気を付けろ!!」
「大丈夫だって。こういう奴に限って挑発されたら頭に血が上って判断が鈍る………。」
調子に乗った兵士が言い終える前にジャミールの姿が一瞬にして消え背後へと回り後方から叩き飛ばされる。
「悪いわねぇ、今の私……上る血なんて通って無いのよね。 はい、サヨナラ。」
「ぐあっ!」
「バカが、相手を舐めすぎだ。」
「ぐっ……うぅ………。」
(チッ、やはりパワーダウンしてるわね一撃で屠れないなんて……無属性魔法使いが現れるまで暴れさせてもらうわ♡)
一方、海にてジャミールの大声を聞いたスラストは青ざめていた。
「まさか、そんな………。」
「どうされました? スラスト様、顔色が悪い様ですが?」
「この声、間違いないジャミールだ!?」
「ジャミールってノハ?」
「ほら、アルベルト様が帰ってきた時にスラストが話してた怪物の事よ。」
「だったらさ、一度アルが倒してるなら弱ってるんじゃない?」
スラストはシャルアを見ながら考える。
(皆を危険な目に合わせたく無いけど、こんな時にシャルアを一人にも出来ない……どうすれば良い?)
「スラストさんは、シャルアさんをお願いしますわね。」
「え?」
「そねジャミールという怪物の事はワタクシ達にお任せください!」
「でも……。」
「アタシ達を信じなって、仲間ダロ?」
「そうですね、今アルベルト様はマナが作れず魔法が使えない状況にあります。」
「…………分かった、皆お願い!」
エリーシャ達はスラストにシャルアの事を任せ広場に向かい、その光景に驚愕する。
民家の殆どは破壊され、その周囲には兵士や冒険者が倒れ伏していた。
「あーら、まだ性懲りもなく私に歯向かう愚か者がいたのね。」
「これは、貴方がやったのですか?」
「そうよ、でもね悪いのは未だに姿を現さない無属性魔法使いが悪いのよ?」
「無属性魔法使い……、アルベルト様の事よね。」
「アルベルト、そんな名前だったわね!? 知ってるなら話が早いわ! 待っててあげるからソイツを連れて来なさい!!」
「悪いが、アルベルトの出番は無イゾ……アタシ達でアンタを倒すからな。」
「あたしの魔法でイチコロよ!」
「剣の錆にして差し上げますわ!」
エリーシャ達がジャミールと対峙している時に瓦礫から血塗れの兵士が出て来て逃げるように指示する。
「よせ……、そいつと戦うな……逃げるんだ………早く………!」
「酷い怪我ですね………これを。」
「ポーションか……、有り難いが………他の……者達に………使ってくれ………!」
メルダが兵士にポーションを使おうとするが拒否され、他の重傷を負った者達に使うよう指示する。
「あーら、まだ生きてるなんてビックリね~……私結構本気で殴ったんだけどね~♡」
「エリーシャ様、アルベルト様の元へお願いします。」
「メルダ? 何言って、何故アルベルト様?」
「いいから早く行ってください!」
メルダの気迫に押され、エリーシャは一人アルベルトの居る宿屋ハンネスに向かった。
「あらあら? 嬉しいわあ、私の為にわざわざ無属性魔法使いを呼んで来てくれるのねえ、お礼としてあの娘だけは殺さない様にしてあげるわ♡」
「さて、私達はジャミールの相手をしないとなりませんね。」
(エリーシャ様、分かっているとは思いますがアルベルト様は今は魔法が使えません……どうか、貴方達だけでもお逃げください!)
「待ってる間、退屈だし貴方達と遊んであげるわ……どっからでもいいからかかって来なさい!」
「舐められたモノですわね! 行きますわよ!!」
「最初から本気で行かせてもラウ!!」
「こっちも魔法の支援準備はオーケーだよ!」
その頃、エリーシャは宿屋ハンネスへと向かっていた。
(メルダの考えは分かるわ、でも……私はアルベルト様を信じたい。 アルベルト様なら魔法が使え無なくても奇跡が起こせる、そんな気がするの!)
息を切らせながら、エリーシャは宿屋ハンネスに着くとアルベルトが中から出て来た事に驚くが事情を話す。
「ああ、分かってる! 今度こそジャミールを倒す!!」
何時も読んでくださり有難う御座います。
楽しんでいただけたのなら幸いです。




