第48話 水着選びと誰かの視線
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
また誤字がありました、毎度ご報告助かっております。
今回と次回は水着回となっております。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみください。
翌朝、エリーシャの体調も良くなり皆で水着を買いに出かけるが何故かアネットは俺から距離をとっていた。
「エリーシャ、もう気分は大丈夫そうだな。」
「ええ、おかげさまで。」
「アネットも大丈夫か、昨日部屋の前で倒れてたからびっくりしたぞ?」
「大丈夫ですから、近付かないでくれます?」
「いや、何もそんな離れなくても……。」
そんな会話をしながら店に着くと俺達は水着コーナーへと向かう。
「色々ありますね、私はコレにしますか。」
「メルダは黒いビキニか……、結構大胆なの選ぶのね。」
「私は、えーと…そうだ! アルベルト様、このフリルの付いた可愛いのとメルダみたいなビキニどっちが私に似合うと思う?」
「どっちも似合うんじゃないか?」
「むー、どっちが似合うか聞いてるのにーふんだ!」
エリーシャがピンク色のスタンダードなビキニとフリルの付いた水着を持ち俺にどっちが似合うか聞いてくるが正直な感想を言ったつもりが何故か機嫌を損ねさせてしまったようだ。
「アルベルト様、今のはどちらか片方を選ばれた方がよろしかったですね。」
「そういうもんか?」
「そういうものです。」
俺とメルダとエリーシャが水着選びをしている頃、他のメンバーはというと珍しい水着を試着室にて試着していた。
「こりゃ良イナ! 肌を焼くのに最適ダ!」
「大胆過ぎない!? それもう紐じゃないか!!」
ニアミスが試着している水着は必要最低限の所だけが隠れるようになっている真っ白な水着だった。
「そうですわね、ワタクシは利便性を考えましてこの水着にしましたわ!」
「一体何処から、持ってきた? その肩パッドみたいなのと腰の周りに付いてるオプション外したら完全にただのビキニじゃないか!」
シェスカ姫は世間一般ではビキニアーマーと呼ばれる青色の悪ふざけ商品を着けていた。
「実は、この水着の腰に鞘をさせる所が有るのは活気的ですわね!」
「そう……ですね……。」
「ねえねえ、あたしこんなの勧められたよ!」
「トレーシィは、割と普通?」
トレーシィが着けていたのは、スクール水着と呼ばれる珍しい紺色の水着だった。
「さて、僕はこの水着にするかな……ちょっと気が引けるけど……。」
下の方は有ってもスラストに合う上を隠す女性用水着が無く、仕方なくスラストだけは男性用ビキニの上だけと中途半端な買い物になる。
「はぁ……、何で僕だけ男性用のを買わないといけないんだ。」
スラストが自分に合う水着に落胆していた頃、アネットは未だに水着を着るかどうか悩んでいた。
「うーん、私も海で遊びたいけど見られますよね? って誰にってアル、アル……ダメダメ! ホントに何考えてるの私、アルベルトさんだって別に私の水着姿なんて興味なんて無いはずよ絶対!」
「ねえ、さっきから試着室で誰かブツブツ言ってない?」
「店員さん呼んでくる? ずっと中で悩んでるみたいだし。」
アネットは試着室にて、長い時間独り言をブツブツと言っていた為に他の客から心配されていた。
「そういや、アネット遅くないか?」
「そうですね、私が見てきましょう。」
「ああ、頼む。」
俺はメルダから黒いビキニを手渡され、その場に立っているとやっと決まったのかエリーシャがフリルの付いた水着を持って来た。
「やっぱ、この可愛いのにするわ! あれ、メルダは?」
「メルダならアネットの様子を見に行ったぞ。」
エリーシャが試着室から出てきた頃、メルダは中からブツブツと聞こえる試着室へと声をかけていた。
「アネット様、もう皆様は水着を買い終えていますよ?」
「え、ちょっと待って! あーもう、コレにしますか。」
アネットは慌てて、手に持っている白と水色のボーダー柄の水着に決め試着室から出てくる。
「よし、皆決まったようだな! 今日は海で存分に遊ぶぞ!」
こうして俺達は海へと向かい着替えの出来る個室で水着に着替える。
俺は先に着替え終えて皆が来るのを待っている間、海を眺めていた。
(良い息抜きになるといいな、ん?)
遠くの方で海から顔を出して何者かが、コチラを見ている事に気付く。
「アルベルト様、お待たせ!」
「ん、おお……。」
水着に着替え終えた二人が声をかけ、その方向を見るとエリーシャはピンク色の可愛らしい水着がよく似合っており、メルダは黒いビキニが胸を強調している。
「どう、アルベルト様! 可愛いいでしょ?」
「そうだな、エリーシャもメルダも似合ってるよ。」
「有難う御座います、アルベルト様。」
その後に他のメンバーも俺の方へとやってくる。
「待たせタナ、アルベルト! どうだ、凄いダロこの水着!」
「なっ! 何て物着てるのよ、それもうただの紐じゃないの!?」
「俺もそう思うな。」
「僕も止めようとは思ったんだけどね……。」
ニアミスの着けている水着は誰がどう見ても紐にしか見えず周囲の視線が気になった。
「ところで、何でスラスト上と下で男性用と女性用に分かれてんだ?」
「そこは、察してくれると有り難いんだけど……。」
(ああ、そういう……。)
「ホントに変だよね? スーさんだけ上下違うのって。」
「で、トレーシィの着ているのは何だ? 今まで見た事無いが水着だが?」
「なんかね、スク水? って言ってたよ?」
「スク水? よく分からんがトレーシィに似合ってはいるな。」
どうやら、スラストだけ上下で合う水着がなく中途半端になり、トレーシィに限っては見た事の無い珍しい水着を着ている。
そんな中、カチャカチャと音を鳴らしながら近づいて来る人物がいた。
「お待たせしましたわ! 海と言えばこの水着に限りますわね!」
「えーと、シェスカ姫?」
「アルベルトさん、ワタクシの事は騒ぎにしないよう呼び捨てで構いませんわ! 他の皆さんも宜しいですね?」
「あ、はい……。」
(他のメンバーの水着が突っ込みどころが多すぎる! 流石にアネットは大丈夫だろう。)
そう思っているところにアネットがやってくるが、水着のサイズが少し小さいのか無理に着たのか肉に食い込んでいるように見える。
「あんまり、見ないでください。」
「…………」
最後のアネットはまともかと思っていたが、その期待は裏切られるのであった。
何時も読んでくださり有難う御座います。
楽しんでいただけたのなら幸いです。




