第47話 バージリア王国と宿屋ハンネス
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
また、誤字がありました報告有難う御座います。
毎回助かっております。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみください。
しばらく船に揺られて客船はバージリア王国へと着き、俺とメルダはエリーシャに肩を貸し皆で降りた。
「此処がバージリア王国か、とりあえずエリーシャを休ませられる場所を探さないとな。」
「そうですね、まだエリーシャ様の顔色が優れない様ですので。」
「うぅっぷ……、うう……。」
「それでしたら、良い宿屋がありますよ!」
未だにエリーシャは気分が悪いらしく休める場所を探そうとするとアネットが宿屋で休む事を提案する。
「宿屋なら、休むには最適ダナ。」
「こんな大勢でおしかけて、大丈夫なのでしょうか?」
「シェスちゃん、そんな心配しなくても良いんじゃない?」
「トレーシィさんの言う通りです、だって私の実家ですから。」
「ああ、なるほど……。」
シェスカ姫は宿屋へ大勢で行くのに抵抗感が有ったようだが、トレーシィとアネットの言葉に納得する。
早速俺達はアネットの実家の宿屋へと向かい、エリーシャを部屋で休ませる為チェックインする。
「ただいま、お母さん今空いてる部屋ある?」
「おや、アネット! 帰って来るなら手紙の一つでも書いてくれれば良いのに。 それに後ろの方々は?」
「冒険者活動をしている時に仲良くなった人達よ。」
「そうなのかい、アネットがお世話になってます。 母のネリア・ハンネスだよ宿屋ハンネスでゆっくりしていってね。」
「「「「「「はい!」」」」」」
「そんじゃ、そこの顔色の悪いお嬢ちゃんを早く部屋で休ませておやり、はいこれ空いてる部屋の鍵だよ。」
俺はアネットの母親から鍵を受け取るとメルダと共に空いてる部屋へと向かい休ませに行く。
「僕達も空いてる部屋に泊まろうか。」
「それじゃ、隣の部屋の鍵だよ…ほい。 一部屋につき四人は泊まれるからねごゆっくり!」
スラストには先程アルベルトが渡された隣の部屋の鍵が渡される。
「えーと、さっきの部屋はアルベルトとメルダとエリーシャが泊まるとして僕達は、僕とシェスカ姫とニアミスとトレーシィになるかな。」
「あれ? スーちゃん一人足りなくない?」
「トレーシィちゃん、ここはアネットさんの実家ですから人数的には合ってますよ?」
「そうダナ、アネットは自分の部屋が有るだろうしチェックインする必要は無イナ。」
「ふーん、そんなもん?」
「そんなもんだよ。」
そんな会話をしている中、一方アネットは母親と話していた。
「……で、珍しいわねぇアンタが男連れて帰って来るなんて……何処までいったの? 人生経験豊富なアタシに話してみなさい! 何でもアドバイスしてあげるわよ!」
「あ、アルベルトとはそんな関係じゃ無いから! 勘違いしないでよ! ただの冒険者仲間ってだけだから!」
「ホント~?」
アネットの母親は、娘が男を連れ帰って来たと思い問い詰めるが恋愛感情ではなく冒険者仲間というだけという事を説明される。
「ん、何だろ?」
「親子水入らずの会話中ですね、私達は部屋へ戻りましょうか。」
「そうみたいだな。」
俺とメルダはエリーシャをベッドに寝かせてロビーへと向かうとアネットが母親と楽しそうに会話をしているのを邪魔するわけにもいかず部屋へと戻るのであった。
「そうだ、アネット! アンタもあの部屋に泊まりなさい!」
「はあ!? お母さん何言ってるの! 話聞いてた、アルベルトとはそういう関係じゃ無いって言ってるでしょ!!」
「万が一って事も有るじゃないか! アタシは大歓迎だよ? 良い子そうだし!」
(はあ、駄目だ……お母さんこうなったら話聞かないからなぁ~。)
「分かったわよ、でもお母さんが思ってる様な結果にはならないからね!」
アネットは観念したのかアルベルト達の部屋の前に立ち、ドアを開けようとすると前にスクラドルの屋敷にて裸を見られ相手の裸を見た事を唐突に思い出す。
(そうだ、私アルベルトさんに……はだ、はだ、裸見られて……アルベルトさんのアレ見て………な、な、な、何考えてるの私ーーー!!)
全身が真っ赤になりドアを掴もうとしている手が震え立ち眩みに襲われ動悸が激しくなりアネットは部屋の前でバタンと気絶する。
「アルベルト様、部屋の外で何かが倒れる音がしましたね。」
「俺が見てくるよ。」
俺は部屋を開け床を見てみると顔を真っ赤にしているアネットが目を回して口をパクパクさせて倒れていた。
「うおっ! 大丈夫かアネット!!」
「患者が一人増えましたね、丁度ベッドも四つ有るようですしそこに寝かせましょうか。」
「私はエリーシャ様の看病をしますから、アルベルト様はアネット様の看病をお願いします。」
「お、おう……分かったそうする。」
アルベルトが部屋の前で気絶するアネットを遠くで隠れながら見ている人物がいた。
そう、アネットの母親ネリア・ハンネスである。
(あらあら、あの子ったら中々やるわね……男に心配させて自分に振り向かせる。 流石アタシの娘、その調子で孫を拝ませてね! 今から楽しみだわ。)
俺はアネットをベッドに寝かせ、水を入れる容器をアネットの母親に借りに行こうとしたタイミングでドアが開く。
「あらあら、この子ったら自分の部屋が有るのにわざわざアナタ達と一緒の部屋がいいみたいねー。 はいこれ、娘の看病よろしくね! おほほのほ!」
アネットの母親は何故か水の入った容器とタオルを持って来て俺にウィンクし上機嫌で部屋を出て行った。
「アルベルト様、何だったのでしょう……今のは?」
「さあな、俺にも分からん。」
俺は早速持って来てくれたタオルを絞り、アネットのでこに乗っけると白い煙が立ち上った。
「こんな煙出るか普通? まあ、長旅だったし熱が出てもおかしくは無いか。」
「アルベルト様もお疲れでしょうし、そろそろ休まれては如何でしょう。」
「そうしたいのは、やまやまだけどアネットが起きるまで待つよ。」
「そうですか、失礼しました。」
メルダは俺の事も心配している口調で優しく問いかけるが、俺はアネットが高熱を出しているのを理由に休む事を後回しにする。
「明日、皆が万全の状態なら水着買いに行って海で遊ぼうか!」
「ええ、私も楽しみです。」
こうして宿屋ハンネスにて一日が過ぎていくのであった。
次回は水着回になりそうです。
何時も読んでくださり有難う御座います。
楽しんでいただけたのなら幸いです。




