第36話 影の妖精と謎の巨人
第二章は第26話からです。
すみません追放側視点は、次の次になるかもしれません。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみください。
俺達はサーメイルの国王に連れられ妖精の王との話し合いの場にて、今までの経緯を話した。
「ふむ、なるほどな……そなたらは巻き込まれたようなモノだな。」
「人間の王よ、して我らが同胞は解放してくれるのだろうな?」
「無論だ、それにロクサーヌの姫よ! ワシの国の兵が剣を向け無礼を働いたな、彼らも悪気があったわけでは無いのだ許される事では無いが頭を下げさせてくれ、この通りだ。」
サーメイル王はシェスカ姫に対して深々と頭を下げる。
「顔を上げてください、ワタクシは気にしていませんわ。」
「しかし、本来ならば死罪は確実な事……今回の様に妖精達だけでなくロクサーヌ王国との戦争になりかねん事をしたのだ! ワシとて一国の王、部下の責任は他ならぬ王の責任だ!」
「では、こうしましょう……ワタクシ達に武器を構えた者達は1週間の謹慎期間を与え、傷つけた妖精達のケアにあたりなさい! 妖精の王様は、納得しかねるとは思いますが……。」
シェスカ姫はサーメイル王国の兵士に謹慎期間を設け、妖精達に仕えるように提案し妖精の王を見る。
「ふん、まあ良かろう……同胞を解放してくれた者の頼みならな。 ところで、サーメイル王よ先程言っておった巨人というのは何だ?」
「む、そうじゃな……このような事態に関係しておるか分からぬが子供達が失踪した数日後に巨人を見たという話を耳にしておったのでな。」
サーメイル王は難しい表情をしながら巨人について語るが情報が少なく、悩んでいるようだった。
「あの……国王陛下、差し出がましいようですが俺達に子供達の失踪した事件を任せてはくれませんか?」
「ナヌッ! そなた達がか? うーむ、これは我が国の問題じゃし……無関係の者達を巻き込みたくは無いのじゃが……。」
「それならば、心配は要らないのではないか? 我は彼らのチームワークを先程、この目で見ておる!」
俺の申し出に戸惑うサーメイル王に対し、妖精の王は俺達を高く評価しているのが伺えた。
「それにな、この国の奴等より遙かに我々にとって信用できる!」
「そこまで言うのなら、断れぬな! では頼んだぞ! ……そなたの名は?」
「アルベルト・ブラウンです。」
「では、改めて頼んだぞ! アルベルトよ!」
妖精の王からの提案として俺達は子供達の失踪事件を追う事になった直ぐに一人の妖精の女の子が近付いて来た。
「ねえ、子供達を捜すんでしょ? だったら、あたしにも手伝わせて! このまま何もしないで待ってるなんて出来ないもの! ねえ、良いでしょ王様!」
「トレーシィか、人間達との誤解を解く為か……そうだな彼らと共に犯人捜しを頼んだぞ!」
「それじゃ、よろしくね! 人間さん?」
俺達は子供達の失踪事件の解決の為、サーメイル王の許可を得た後に水色のツインテールの髪型で目は黄色く、橙色の背中の部分が大きく開いていて羽根が動かし易そうな服装をした妖精が協力を申し出る。
「ああ、よろしく俺はアルベルトだ!」
「分かったわ、アル! あたしがサポートしてあげるからしっかり働きなさい!」
何故だか、初対面なのにヤケに馴れ馴れしい妖精だが本来は、このくらい生意気に感じるのが妖精の本質なのかもしれないと俺は思ったが心に留める事にした。
「まずは情報収集だな……国王陛下、城の兵士達に話を聞いて廻っても良いですか?」
「それは構わぬぞ、自由にするが良い!」
「分かりました、ありがとうございます!」
トレーシィは俺と、他の皆は別々に城の兵士達から情報を集める事になった。
俺とトレーシィは、妖精が子供を連れさろうとしている現場を目撃したと言う兵士の話しを聞く事ができた。
「本当に見たんですか?」
「ああ、そうだ! あれは誰がどう見ても妖精だった!」
「見たって、いつ何処で見たって言うのよ!」
「あの詳しく聞かせてはくれませんか?」
俺はトレーシィを宥めながら、兵士から場所や時間帯を聞いた。
「確か、路地裏で……時間帯は夜だったな。」
「それで、その子は助けられたのですか?」
「それがな、急に眠気が強くなって助けるどこらか何処へ連れて行かれたのかも分からんのだ。」
「何よそれ、夜に見たならあたし達妖精じゃ無いわよ! だって寝てるもん!」
「嘘言ってんじゃねえ! 俺は見たんだよ、暗くても羽根の生えた子供くらいの影なんて妖精以外ありえねえだろ!!」
「喧嘩は止めろって! 貴重な情報ありがとうございました。」
俺達は情報収集を終えると城から出て、皆と再び合流する。
「アルベルト様、私達は外で情報を集めたけど皆同じ事を言っていたわ。」
「同じ事?」
「うん、何でも夜に子供を連れさろうとしている妖精を見たって。」
「それだけで無く、後ろから追跡しようとしたら急に眠気が襲ってきたそウダ。」
「アル、それって!」
「ああ、俺達が兵士から聞いた話しと同じだな……情報は一致しているが何処に連れられたのかは分からないな……。」
「あのアルベルトさん提案なのですが、ワタクシ達も巨人について調べてはみませんか?」
「シェスカ様は、何か巨人に気がかりな事でもあるのですか?」
「はい、時期的にもワタクシには無関係とは思えないのです。」
「よし、分かった! 次の目的地は巨人の目撃情報のあるナヤルック村だな!」
俺達は子供達の失踪事件との関連性を疑いナヤルック村での目撃情報がある巨人について調べるべく北東へと足を進めると何やら黒い妖精に似た影と遭遇する。
「待って、あそこ何かいない?」
「あれは、妖精……なのでしょうか? 何だか生気を感じないような……。」
その影の姿は完全に黒い妖精を模していて、トレーシィは影の妖精に怒りを訴えに行く。
「ちょっとアンタ! どういうつもりよ、子供達を誘拐したのはアンタ達だって事は分かってるんだから! 何とか言いなさいよ!」
影の妖精は何も応えず、トレーシィを指差すと指先から光線が放たれる。
「あぶなっ!!」
「アル! こいつヤバイわ! 話しが通じない!!」
「だろうな、さっきから全くと言っていいほど生気を感じないしな!」
「アルベルト様! か、囲まれてます!!」
「何だって!?」
「目の前の奴と同じ影の妖精ですわね、どうします?」
「どうするって、戦うしかないだろウナ!」
俺達は、いつの間にか影の妖精の大群に囲まれており、戦う事を余儀なくされるのだった。
いつも読んでくださり有難う御座います。
楽しんでいただけたのなら幸いです。
申し訳ありませんが物語が詰みそうなので、プロットの整理をして、この後の展開を考える事になりましたので、しばらく更新を勝手ながら一時的に止めさせてください。




