第30話 ケニー・シルヴァンテ
第二章は第26話からです。
やっと第二章の話の世界観が頭の中に出来上がりました。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみ下さい。
翌朝、俺は早起きをしシェスカ姫を起こさずこっそりと部屋をでるが横を見るとメルダが立っており挨拶をしてきた。
「おはようございます、アルベルト様。」
「お、おはよう……メルダ……。」
「お気になさらず、ロクサーヌ王国の姫様と共に寝られた事は内緒にしておきますので。」
「ああ、そうしてくれると助かる。」
俺はメルダに挨拶をしロビーに行くと記事を読んでいるアネットが目に入る。
「アネット、おはよう…早起きなんだな。」
「おはよう、アルベルトさんも早起きですね。」
記事をよく見るとダイアロスと戦い勝利した英雄として俺達の事が紙面に大きく取り上げられていた。
「英雄ね……、ただの成り行きなんだけどな。」
「でも良かったじゃないですか、街の人達には全く被害が出なかったぶん喜ぶべきですよ!」
「そうだな、ん?」
「どうかされましたか?」
「いや……、これクレメンスの事だよな?」
紙面の端には小さく自称イシュタッド王国の勇者、数々の悪行が明るみになり逃走中とのことと書かれていた。
「そうね、一度捕まって罪を償った方が良いんじゃないかしら?」
記事に書かれていることでは他に気になる表記は無さそうだ。
「さて、メルダに頼みがあるんだけど良いか?」
「何でしょう? 私に出来る事なら引き受けますが……。」
「大した事じゃないんだが、ブラウン侯爵家の場所に案内してくれないか?」
「それは構いませんが、侯爵家は今跡地になっているだけですよ?」
「何か思い出せるかと思ってな……。」
「そういう事でしたら案内します、着いてきてください。」
俺は朝早くからメルダに頼んでブラウン侯爵家の跡地に来たが、やはり何か思い出す事も無かった。
「アルベルト様?」
「大丈夫だ、そんな悲しそうな顔しないでくれ。」
「畏まりました、では戻りましょうか。」
俺とメルダは何の収穫も無いまま、スクラドルの屋敷へと帰ると皆がロビーに集まっていた。
「帰ってきましたわね。」
「何だ? 皆集まってどうしたんだ?」
「実は、アネットから気になる事件内容を見つけテナ。」
「事件内容ですか。」
「ええ、これです。」
アネットが記事の一部を指差し俺は、その事件内容に自身の記憶喪失に関係がありそうなモノと判断する。
「これって、サーメイル王国近辺で少年少女が失踪しているようだな。」
「もしかするとアルベルト様の記憶喪失にも関係していそうなのよね。」
「ワタクシも詳しく調べた方が良いかと思いますわ。」
「僕も賛成だな、サーメイル王国って言ったら妖精達と仲の良い国だし。」
「そうだな、早速サーメイル王国に出発……。」
「ダメです!!」
俺達がサーメイル王国へと行く事をメルダに止められた。
「ちょっとメルダ、どういうつもり? アルベルト様の記憶喪失に関係してるかもしれないのよ!」
「その可能性は否定しませんが、ニアミス様とアルベルト様は万全の状態ではありませんので。」
「なるほどナ、確かに万全って程に動けそうにはなイナ。」
「そうだな、俺も今まで通りに体内でマナが造られる感じに違和感を感じるからな。」
「ですので、安定するまでは旅に出る事はお控え下さい。」
俺とニアミスの状態は万全では無い為、後二日間はメルダからは安静にするように言われ仕方なく直ぐに旅に出るのは諦めた。
そして朝食を済ませて、それぞれ自由行動をする事にした。
俺は、もう一度ブラウン侯爵家の跡地に赴くと兵士から声をかけられる。
「君は確か、龍の顎の元パーティーメンバーだな?」
「はい、そうですが?」
「ご同行願おうか!」
兵士の顔は真剣そのもので断る事が出来ず、イシュタッド城へと連行され取調室へと通された。
「あの、俺何かしましたか?」
「お前は我々の質問にだけ応えていれば良いのだ!」
「無駄よ、こいつら全く人の話しなんて聞かないもの。」
懐かしい声が聞こえてきたと思ったらケニーが連れてこられていた。
「ケニー!?」
「私語を慎め! 嘘をついても無駄だからな、嘘をつこうものなら指を一本づつへし折る……良いな!」
(本当に話しを聞いてくれそうにないな。)
何時間経っただろうか、龍の顎にいた頃の話しを延々と聞かれている気がする。
「ねえ、もういいでしょ! 話せる事は全部話したわよ! いい加減解放しなさいよ!!」
「ケニーの言う通り、いい加減にしてほしいんだが……何で俺が犯罪者扱いされないといけないんだ?」
「私語を慎めと言ったな、反抗的な目をしたな? おい、こいつらを独房へ入れておけ!!」
「「はあ!?」」
一向に話を聞かない自己中心的な兵士の無茶苦茶な判断で俺とケニーは独房へと入れられる。
「はぁ……、ほんっと最悪! あのクソ兵士死ねば良いのに!」
「ケニーは相変わらず口が悪いな。」
「別に良いでしょ、今に始まった事じゃないし…。」
俺は久々にケニーと会話をしているが、何だか疲れきっているように感じた。
「なあケニー、お前大丈夫か?」
「何がよ?」
「何だか疲れきっているように見えたからさ、言いたい事が有るなら言いなよ?」
「……ま、何だかんだ言って龍の顎にいた頃のアンタには助けてもらってばっかだったわね!」
「例えば、どんな事があったっけ?」
「元々、私は料理が苦手でニアミスが加入してきた時には糠喜びしたっけ……あの娘ったら全然刃物に触れようとしないどころか怖がって遠ざかるし。」
(そういや、ニアミスの事情をケニーは知らないのか……。)
「それにさ、アンタが加入した時はガッカリしたっけ……男に料理なんて出来るわけがないって……でもアンタの作った料理は何時も美味しかったわ。」
「そりゃどうも、結構時間経ったし昼時かな?」
しばらくして、コツコツと足音をならし誰かが近付いて来る気配がする。
「アルベルト・ブラウン! ケニー・シルヴァンテ! 釈放だ、出て来い!!」
そう言って、独房の扉の鍵を騎士隊長風の男が開ける。
「どういう風の吹き回しかしら?」
「まるで意味がうつらないんだが!?」
(あれ、この人……確かダイアロスと戦った会議室にいた人か?)
「貴方達には、大変申し訳ない事をした! これは国の責任だ、筋くらいは通させてほしい!」
そう言い、騎士隊長風の男は深々と頭を下げるのだった。
久々にケニーをだしましたが、第二章での仲間は別の娘になります。
ボス敵もヤベえ奴にするつもりなので楽しんで頂けたのなら幸いです。




