第29話 シェスカ姫と馬鹿力
第26話より第二章となっております。
また誤字がありましたね、報告ありがとうございます。
読み手からすれば、何故こんな分かりやすい誤字があるのかと思うでしょうが書き手からすると意外と気付けないモノなんですよね。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみ下さい。
俺達は食事を終えると、これからの話をする。
「さて、俺は明日の昼頃に国王陛下に謁見できるか許可をとりに行こうと思う。」
「ロクサーヌ国王陛下から聞いたイシュタッド王暗殺未遂事件についてですか? アルベルト様。」
「ああ、色々と気がかりな事があるからな。」
エリーシャが心配そうな顔で訪ねる。
「それと、シェスカ姫をロクサーヌ王国へ帰さないといけないからな。」
「何を仰っているのです? ワタクシは父上からアルベルトさんに着いて行く事は了承済みですよ。」
「え? ……冗談ですよね?」
「本当です、もっと世界を知りたいと申したら許可してくださいましたわ!」
「そうよ、アルベルト様の言う通りですよ! 姫様は考え直してロクサーヌ王国へ帰るべきです!」
エリーシャも俺と同じくシェスカ姫をロクサーヌ王国へと帰そうとするのだが、次の一言で連れていことになってしまう。
「良いのですか? その様なことを仰ってダイアロスと戦っている時、アルベルトさん…ワタクシの部屋を破壊していたではありませんか。」
「シェスカ姫の部屋まで壊してました?」
「壊してましたわ、そうですわね……連れて行っていただけないのでしたら修復代金をいただかないといけなくなりますわ。」
シェスカ姫はイタズラな笑みを浮かべ、俺に耳打ちする。
「金額は………ごにょごにょ。」
「うげっ!? そんなに!!」
「分かりました、観念します……。」
「分かればよろしいのですわ!」
どうやらダイアロスとの戦闘中にシェスカ姫の部屋まで破壊してしまっていたようだ。
シェスカ姫は勝ち誇ったように笑みを浮かべているが、それよりニアミスがさっきから元気が無いことに気づく。
「そういえば、ニアミス何か元気無くないか?」
「アタシか? そうだな、アタシは……罪を償うつもりで国王陛下に全てを話した。」
「ニアミスさんが覚悟を決めて報告した結果じゃないですか? 何が不満なんですか?」
「不満……か、アタシには復讐対象のダイアロスがいないンダ……アルベルトが倒してくれた事には感謝している……けどアタシはこれから何をすれば良いノカ……。」
「でしたら、ワタクシ達と旅をすれば良いですわ!」
「シェスカ姫?」
シェスカ姫はニアミスの手を取り、微笑みながら語りかける。
「きっと、旅の中で貴方の本当にやりたい事が見つかるかもしれませんわ!」
「はは、何か元気出てキタ! ありがトウ。」
「さて、そろそろ寝るか。」
「皆様を別々にある客室へと案内しますね。」
メルダが別々の部屋へと皆を誘導し終えたのだが何故か俺だけ二人以上寝られるベッドの方へと移動させられる。
「あの、メルダさん? 何で俺だけ一人部屋じゃないんですかね?」
「私は、アルベルト様と一緒に寝たいな。」
「私もアルベルト様のお近くで奉仕したくぞんじます。」
俺は初めて二人に合った日の事を思い出す、両側から挟まれて結構暑かったのを思い出して客室に泊めてもらえないかメルダに頼んでみる。
「いや、今日は一人で考えたい事があるから俺も客室で寝かせてくれないか?」
「かしこまりましたアルベルト様が、そう言われるのであれば致し方ありません……こちらへ。」
「ええ!? そんなぁ、アルベルト様と寝たい!!」
「エリーシャ様、お忘れですか? 二人でアルベルト様の言い分は絶対だと決めたではありませんか?」
メルダはエリーシャを宥めた後に俺を部屋へと案内する。
「こちらになりますアルベルト様。」
「ああ、ありがとうお休み。」
「お休みなさいませ。」
俺はベッドに座り、イシュタッド王暗殺未遂事件について考えてみる。
(やっぱ、俺の記憶喪失て何か関係があるのかもしれないし国王陛下と謁見して話を聞く必要がありそうだな。)
「考えても、これ以上分からないし寝るか……。」
電気を消しベッドへと入り眠りにつくが、深夜ノックする音が聞こえてきた。
(ん? 誰だ、こんな夜遅くに……エリーシャか?)
「あの、すみませんワタクシです……開けてくれませんか?」
(シェスカ姫?)
俺はベッドから出て部屋のドアを開けるとそこには涙目になっているシェスカ姫が立っていた。
「どうされました?」
「ちょっと怖い夢を見てしまって……一人じゃ心細くて、アルベルトさん今日だけで良いので一緒の部屋で寝かせてください。」
「うーん、とりあえず座りませんか? 話くらいなら聞けますし。」
俺はシェスカ姫とベッドに座り、話を聞く事にした。
「突然すみません、魔物になっていた時の夢を見てしまって……ですから誰かと一緒じゃないと不安で……本当に今見ているのは夢ではありませんわよね?」
シェスカ姫は、そう言いながら俺に腕を組んできた。
「シェスカ姫? 大丈夫ですよ今は夢じゃないですから。」
「その言葉を聞いて少し安心しましたわ。」
「じゃ、俺は床で寝ま……」
床で寝ようとシェスカ姫から離れようとした瞬間、物凄い力で腕を引き寄せられる。
「い、いやですわ! 離れたくありませんわ!!」
「ちょっ! シェスカ姫!?」
ぎゅうっと左腕を両腕でシェスカ姫が引き寄せ俺は無理矢理にでも離れようとするが、あまりに力が強くミシミシと左腕の骨が悲鳴を上げ始めた。
「絶対に離れたくありませんわ!!」
「お、落ち着いてください! 分かりましたから!!」
(あだだだだ! 折れる、このままじゃ骨が折れるー!!)
シェスカ姫の馬鹿力によりバランスを崩して倒れこむと俺はシェスカ姫とキスをしてしまっていた。
「ん、んん!?」
「ぷはっ、あの……すみませんアルベルトさん……この事は皆様には内緒に……。」
「いえ、こちらこそすみません。」
(どっちの事だ? キスの事か、馬鹿力の事か?)
こうして俺は仕方なくシェスカ姫と一緒にベッドで寝る事にした、そうでもしなければ次は骨を折られかねないからだ。
(あれ、この状況……普通に見られたらやばくね?)
誤字報告をしてくださった方々には感謝しております。
次の話を書いた後に追放側視点の話を書く予定なので楽しんでいただけると幸いです。




