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【完結】無属性魔法使い〈番外編追加〉  作者: クソラノベ量産機
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第27話 愚者の逃亡(追放側視点)

第二章は第26話からです。


今回からは追放側のクレメンスの逃亡とドメストの追跡になっていく予定です。

 「いってーなクソ! あの野郎、窓から外に放り投げやがって!」


この悪態をついている男の名はクレメンス・バッカーニアである。


魔王ダイアロスに数秒でやられ全国の国王達に失態どころかイシュタッド王に恥をかかせた愚者である。


「ん、何だ? 何か話してんのか?」


聞き耳を立てるとニアミスがイシュタッド王に龍の顎がしてきた犯罪行為を口にしているのが分かった。


「おいおい!? 何暴露してくれてんだニアミスの奴!!」


そして、ニアミスは証言を確かなものにする為にアルベルトとアネットがクレメンスにされた非道な行いの裏付けをしていた。


「なんと、それはまことか!?」


「はい、間違いありません。」


「同じく、私も彼に命を脅かされました。」


次々に明確になる犯罪行為が明るみに出る事にクレメンスは反省するどころか怒りをあらわにする。


(クソ、あいつら……何の罪も無い俺様を嵌める気だな!?)


あろう事か、この男は今まで犯してきた事を心の中で正当化するつもりのようだ。


ニアミスの達の話しが終わるとイシュタッド王はドメストに命令する。


「ドメストよ、すまぬが我が国から兵士を十八人程連れてまいれ!」


「はっ! 了解しました。」


「イシュタッド王よ、何故兵士を?」


「ん、他国の王達の護衛の者達は先の魔物との戦いで命を落としてしまったからの……帰りの護衛はワシの兵士達を三人一組として付けよう。」


イシュタッド王は、護衛を失った国王達に自国の兵士を付け帰り道の安全を確保する準備をしていた。


「ところでイシュタッド王よ先程、Sランクパーティー龍の顎の不正行為なのだが……あの者は魔物にやられていた訳じゃが…。」


ロクサーヌ王はイシュタッド王にクレメンスがやられていた事を告げる。


「何、ロクサーヌ王よ彼奴の死体が無いか主の兵士を使い調べさせてもらっても良いかの?」


「それは構わぬが死体が見つかった場合はどうする気じゃ?」


「その時は残りのメンバー、確かケニーと言ったな……彼女に罪を被ってもらおうかの…もし見つからなかった場合は………。」


イシュタッド王は、コツコツと足音を鳴らしクレメンスが聞き耳を立てている壁際の窓へと近づいて額に青筋をつくりながら語る。


(やべっ、こっちに来る!?)


「地獄の果てまで追いかけワシに恥をかかせただけでなく、民の命を脅かした事を死ぬまで後悔させてやろうではないか!!」


(まずい、このままでは……一生独房で拷問を受けさせらる!!)


「ふむ、なかなかに非道な者がおるようじゃな。」


「今は会議を中断しておるし、そろそろ再開しても良いのではないか?」


「すまんの、では続きを……どこまで話したかの?」


(クソ、こんなところにいられるか! 幸い、まだ俺様が生きている事は知られていないようだしな。)


クレメンスは、こそこそとロクサーヌ王国から抜け出しイシュタッド王国のギルドに預けていたお金を全額引き落とし国からの逃亡を図るのであった。


「クレメンス様? 全額を引き落とされる場合はこちらの書類にサインをお願いします。」


「ああ!? 別に良いだろ、Sランクだぞ!」


「ですが!!」


「すまないが、クレメンス君には書類のサインは書かせない契約をしていてね。」


「へへっ、何だよギルド長…分かってんじゃねぇか!」


この男、悪運だけは強いらしく絶好のタイミングでギルド長が来た事によりお金を全額引き落とした証拠になる書類にサインをせずに済んだのだ。


「おら、つべこべ言ってねえで金を詰めろってんだ!!」


(なあ、あれクレメンスだよな?)


(ああ、端から聞いてると強盗じゃね? あれ……。)


そうなのである額から大量の汗を流すギルド長に困り顔で袋にお金を入れる受付嬢、極め付けは焦った様子で受付嬢を急かすクレメンス。


「はい、これで全額ですよ?」


「ったく! のろまめ、早くしろってんだ!!」


クレメンスは袋を引っ手繰ると急いで国外へと逃亡する為、ロクサーヌ王国の北にある港町シークトーレを目指す事になるが彼は知らない、イシュタッド王の権限により不正行為の数々を裏付ける為の捜査が始まり全国指名手配されることを。


クレメンスがイシュタッド王国から国外逃亡を企てている頃、ドメストはイシュタッド王の命令により兵士を集めロクサーヌ王国へと行くよう命令を下していた。


「では貴様らは今より最重要任務、それぞれ他国の国王陛下達の為に安全を確保し対象を無事国に送る護衛となるのだ! 分かってはいると思うが掠り傷一つ付いた時点で失態を晒した事になると思え、我が国に栄光あれ!!」


「「「「「我が国に栄光あれ!!」」」」」


兵士達がイシュタッド王国から出発するのを見送りドメストはイシュタッド王から龍の顎のしてきた悪行の数々を調査すべくギルドへと赴いた。


「ギルド長はおるか!」


「ギルド長でしたら部屋におられますが……。」


ドメストはギルド長の部屋をノックし入室の許可を得る。


「私だ、ドメストだ…入っても良いか?」


「……どうぞ。」


部屋に入ると大量の汗を掻きながら椅子へと座るギルド長の姿があった。


「どういったご用件で?」

(駄目だ、どう考えてもドメストさんだけは騙せない……あの男のせいで私の人生は終わった。)


「そう怖がるでない、実はクレメンスという男に脅されているのではないか?」


「そ、それは……。」


「全てを話せば国王陛下は許してくださる、貴方の身の安全は私が保証しようイシュタッド国王陛下の名にかけてな!」


ギルド長はドメストの力強い言葉に心揺さぶられ、今までクレメンスのしてきた事、弱味を握られ今までさせられてきた事を簡潔に話した。


「今まで、よく耐えてきた話してくれた事に感謝する!」


「それと先程の事ですが、お金を全額引き落としてましたので国外逃亡をするのではないかと。」


「なんと、この期に及んで逃げられると思っているとは許せん!!」


一方その頃、クレメンスは港町シークトーレに着いてはいたのだが船が出ない事により青ざめるのだった。


「嘘だろ、何で船が出ねーんだ!? クソ、こうなったらやり過ごすしかねえ!」

クレメンスの逃亡劇は、続いていく予定なのでお楽しみに。


楽しんでいただけると幸いです。

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