第26話 ニアミスの告発
前回、書き溜めようと思ったのですが早く続きを読みたい方のほうが多いのではないかと思い書き上げたら投稿といった形にします。
困惑させてすみません、引き続き無属性魔法使いをお楽しみください。
因みに今回から第二章になります。
ロクサーヌ王は衝撃的な事実を口にするが今の俺には過去の記憶が無い為、いまいち理解出来なかった。
「あの、ロクサーヌ国王陛下……俺には記憶が……。」
コホンと咳払いをし少し恥ずかしそうな顔をしながらロクサーヌ王は告げる。
「そうであったな、すまぬ……。」
「ウッ……。」
そんな会話をしているとニアミスの意識が戻ったようだ。
「ニアミス、大丈夫か? 立てるか?」
「アタシは大丈夫、ウワッ!」
どうやらニアミスは上手く立てなくなっており、俺は支えようとするが力が入らず押し倒される。
「アルベルトも大分、体力を消耗してるようダナ…。」
「エリーシャの言ってた後遺症って、これか?」
「そうね……。」
エリーシャは困った顔をしながら俺とニアミスを交互に見る。
「ああ、そうだ…アルベルトとアネットに肩を貸して欲しいダガ良イカ?」
「私とアルベルトさんに……ですか?」
「俺は別に構わないが、何でだ?」
俺とアネットは言われた通りに肩を貸すと覚悟を決めた様な顔つきになりニアミスは語る。
「アタシは、二人には迷惑をかけてしまっているかラナ。」
「迷惑…ですか……。」
「別に今になって謝る必要は……」
俺が今更謝罪をしなくても良いと言いかけた時ニアミスは、その事ではなく自身にケジメをつける為イシュタッド王の元へと赴きたいと言ってきたのだ。
「違う、アタシはケジメをつけたいンダ……だからさ、イシュタッド国王陛下の所へ連れて行ってくれなイカ。」
「ニアミス、それって!」
「アルベルトさん、ニアミスさんの意思を尊重しましょう。」
「そうだな、アネットはイシュタッド国王陛下の場所は分かるか?」
「一応は把握していますが、通してくれるかどうか。」
城内に魔物が現れ警戒態勢の強化されている中、他国の王達へと顔を合わせるのは困難な事だと理解はして困っていたところをロクサーヌ王が共に会いに行くと助け船をだしてくれた。
「それなら、私も共に参ろうではないか!」
「よろしいのですか? ロクサーヌ国王陛下!」
「有難う御座います!」
エリーシャ達を残し俺達三人はロクサーヌ王に連れられ他国の国王達が避難している部屋へと案内され、イシュタッド王の前で事情を説明しニアミスに肩を貸しながら会話をする許しを得た。
「ふむ、ではニアミスよ! そなたのワシのケジメとやらを聞かせてもらおうかの?」
「はっ! 実はアタシ達……龍の顎は数多くの罪が有りマス。」
「数多くの罪とな!? その罪、聞かせ願おうか?」
ニアミスは、龍の顎がしてきた罪の数々を包み隠さず国王へと話した。
「こちらのアルベルトに対しては暴力と金銭の強奪、そして…こちらのアネットに対しては強力な魔物から逃げ延びる為、脚を傷つけ立てなくし命を危険に晒しました。」
「なんと! じゃがしかし、何故そのような輩がSランクになぞ上がっておる!?」
「それは、ギルド長の弱味を握り不正行為をしていたからデス。」
段々とイシュタッド王の顔は怒りに震え、目つきが鋭くなってきていた。
「ニアミスよ、その事を知っていてワシの指名する勇者に選ばれようとしたのだな?」
「はい、国王陛下……アタシは、どんな罰でも甘んじて受ける気で話させていただきまシタ……。」
「き、貴様というやつは!」
イシュタッド王は拳を高く振り上げニアミスを叩こうと素振りを見せた時、俺とアネットは下を向き目を閉じた。
だが一向にニアミスが叩かれた衝撃が来なく、恐る恐る目を開けるとイシュタッド王はニアミスの頭に手を置き撫でていた。
「国王陛下? 何故、アタシの頭を撫でているのデス?」
「うむ、よく話してくれたのワシは正直者は嫌いではないからの……話すのは怖かったじゃろう、安心せい主の罪は不問と致す。」
「あ、有難う御座いマス! 国王陛下、この恩は一生忘れまセン!!」
「では行くが良いワシらも、まだ国王会議の途中なのでな。」
「はっ! 私達のような者に対し、時間を割いてくださり心より感謝いたします……ではっ。」
俺達は龍の顎の悪行の数々をニアミスの口から告発した事には驚いたが、イシュタッド国王陛下がニアミスを許した事にも驚きを隠せなかった。
部屋の外では、他のメンバーが待っていた。
「アルベルト様、大丈夫でしたか?」
「ああ、意外な事にニアミスは国王陛下に許してもらったよ。」
「本当なら、アタシは今頃独房に入ってるとこなんだけドネ。」
そんな他愛のない会話をしていると、これからどうするのかの話し合いになった。
「魔王も倒したみたいだし、どうしようか? 僕は、まだアルベルト達と旅がしたいけど……。」
「旅……なんてワクワクする響きなのかしら、ワタクシもお供しますわ!」
「「「「「シェスカ姫!?」」」」」
(あー、やっぱり着いてくる気だな。)
俺はチラチラとコチラを見てくるシェスカ姫の姿が視界に映っていた為、着いてくる気ではと考えていたら案の定だった。
「旅に出る前にやらないといけない事があるんだが……。」
「確か、ニアミスさんの後遺症を治す方法が有るかもしれないってやつですね?」
「あまり、期待はしないでおコウ……変にプレッシャーを与えない為ニネ。」
「それじゃ、私の屋敷に帰りましょう!」
その言葉を聞いた俺とアネットは首をかしげる。
「ちょっと待ってくれ、何でエリーシャの屋敷に戻る必要があるんだ?」
「そうですよね、あの沢山いるメイドさん達…メルダさんを除けば皆人形ですよ?」
「え、そうなのか!?」
「気付いて無かったんですか!? まあ、見分けがつきにくいので無理はないですが。」
「まあ、良いじゃない……メルダならニアミスの後遺症を治せるかもしれないし。」
「分かった、エリーシャの屋敷に向かって出発!!」
こうして俺達はニアミスの後遺症を治すべくメルダの元へと戻るのであった。
第二章でも追放側視点は存在します。
次回が追放側視点になりますのでお楽しみに。
いつも、誤字報告をしてくださっている方々には感謝いたします。
誠に有難う御座います。
これからも楽しんでいただけると幸いです。




