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【完結】無属性魔法使い〈番外編追加〉  作者: クソラノベ量産機
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番外編エピソード︰アネット① ストーカー被害

 宿屋兼飲食店へと変わった宿屋ハンネスは大繁盛しており、その忙しさからアネットも店の手伝いをすることになっていた。


「アネットちゃん、カルパッチョ一つ!」


「はーい、3番テーブルにカルパッチョ一つ!」


「あいよ!」


 満席の状態の店内は男性客が殆どで冒険者やら兵士やら街人など、頑張るアネットの姿を見る為に来ていた。


「いやー、今日もアネットちゃんは可愛いな。」


「何だお前狙ってんのか?」


「悪いか?」


「やめとけ、やめとけ俺らみたいなのがアネットちゃんと付き合ってみろよ? 後ろから嫉妬したファンから刺されて御陀仏だぜ?」


「それは何かやだな……」


「それに、ほら見ろよ。」


 筋肉質な男が顎でもう一人を見るように促す。


「うおっ! 今見えた!?」


「あのワンピースの娘、とてとて走って偶に見えるんだよな。」


「てかあれ、ノーパンじゃなかったか?」


「それが良いんじゃないか、パンツ穿いてるなんて邪道だ。」


「あの、すみません。」


「あ、アネットちゃん!?」


「噓だろ!? アネットちゃんに話しかけられただと? まさか、あり得るのか!?」


「食べ終わったなら退席してもらえます?」


「「ですよね。」」


 顔を引きつらせたアネットが食事を終えた二人に退席するように促す。


「はあ、やっぱりアネットちゃんには英雄アルベルト様の方が釣り合ってるよなぁ。」


「そんなん考えるまでも無いだろ。」


「そういやさ、最近店の周りに不審な影を見たんだが分かるか?」


「いや? まさかストーカーか!?」


「可能性はあると思うぜ、俺も気配を感じた方へ調べに行ったが誰も居なかったけど隠れるのがかなり上手い奴とみた。」


「マジかよ! アネットちゃん可愛いからな、絶対ストーカーやる奴が出るとは思ってたぜ!!」


「ここは一つ、俺達アネットちゃん親衛隊の出番だとは思わないか?」


「そうだな、助けになるなら何でもするぜ!」


「他の皆にも情報共有だ!!」


 そんな話しを茂みに隠れた何者かが、ガサガサとうごめき場所を移動する。


 暫くして冒険者ギルドにてアルベルトが依頼内容を見て残り日数の近い依頼を手にしていた。


「残り日数は来月までか、けどこのくらいの依頼なら俺じゃなくても間に合うか。」


 そこへバンッと扉を開き慌てた様子のイザベラが入って来る。


「アルベルトよ! 此処に居ったか!!」


「イザベラ?」


「イザベラ? じゃないわい!! 大変なことが起きとるのじゃぞ!!」


「大変なこと? 何処にも凶悪な気配はしないが。」


「当然じゃろ! 奴は隠密行動のプロ、何せこの妾にすら気配を感じさせぬ程の実力者じゃ!!」


「あー悪い、さっきから何の話しをしているのかサッパリなんだが……」


「ええい、わからず屋め! 今アネットがストーカー被害に合っておるのじゃ!!」


「それでストーカーが気配すら感じさせないプロ……と。」


「やっと理解したか、妾も茂みに隠れながら犯人の捜索をしとったが全くもって姿を現さん! おそらくじゃが、妾を恐れて更に気配を消す技術に磨きがかかったとしか思えぬ!!」


「…………」


「な、何じゃその目は?」


「そのストーカー……イザベラじゃないか?」


 俺はイザベラの言うストーカーの気配すら感じないという部分から犯人がイザベラじゃないかと推測し伝えるとキョトンとした表情を一定時間見せたかと思うと急に怒り狂う。


「何を言っとるか! 妾がストーカーな訳無いじゃろが!! 相手の情報はな気配のした方へ行くと姿が全く認識出来ないのじゃぞ!?」


「それいつ誰から聴いたんだ?」


「茂みでストーカーを待ち伏せしておる時じゃ! これでも妾を疑うのか!?」


「はぁ、分かった分かった……アネットが心配だし俺も調査するよ。」

(ストーカー犯、絶対イザベラだと思うんだがなぁ。)


「それで良い、妾は顔を見られてる可能性が高いからの【物】に化けておこう。 宿屋ハンネスに着いたら適当な人目につかない場所へ置いとってくれるかの?」


「いや……何で物に化けれるんだ?」


「妾は他の竜人族と違って岩や木の板など、様々な物に化けれるくらいには特殊じゃからな! かっかっかとか!!」


(やっぱりイザベラが犯人なんじゃないか?)


「そうと決まれば早く行くぞい!」


「はぁ……」


 俺はイザベラを疑いながらも龍の姿に変わったイザベラの背中へと乗りアネットの手伝う宿屋ハンネスへと向かった。


「この辺でええじゃろ、少し歩くが妾をこの箱の中に入れてストーカー犯に気づかれ無さそうな場所に設置しといてくれるかの?」


「それで、何に化ける気なんだ?」


「ストーカー犯すら気づかん物じゃよ、そうじゃな侵入してくるおそれの高い脱衣所辺りが良さそうじゃな。」


「何か企んでないか?」


「まさか、妾は別に脱衣所から風呂場へ侵入して隠れて覗きなぞしようとはコレっぽっちも思っとらんわ!!」


 俺は疑いの眼差しを送るも否定するイザベラは本音では思ってそうな感じが隠せていない。


「ええい! なら後でカップ麺大量に送ってやるから脱衣所の辺りに置くのじゃぞ? 分かったな!?」


「はいはい……」


 不服そうな表情でイザベラは何故か身体を洗う用のタオルへと化けると俺は用意されていた小さな箱へとソレを入れる。


「全く、アホらしいから早く終わらせるぞ。」


 俺は箱を片手に宿屋ハンネスへと向かい扉を開ける。


「すみませーん、誰か居ますか?」


「あら? あらあらあら!?」


「ご無沙汰してます、アネットのお母さん。」


「あらやだ、アネットにわざわざ会いに来てくれたのねえ♪ 今呼ぶから待っててね、アネット!! 未来の旦那が迎えに来たわよ♪」


「未来の旦那?」


 その声に反応したのかアネットがドタバタと足音を立てながら姿を現すと顔面が真っ赤で涙目で叫ぶ。


「お母さん! 別にアルベルトさんとはそんな関係じゃ無いって言ってるで……」


「危なっ……」


「アネット!?」


 走って来たアネットは足を滑らせ転倒しそうなところをすかさずイザベラ入りの箱をぶん投げアネットを抱きかかえようとするが俺もバランスを崩し倒れると背中から床に転倒し口の中に柔らかな感触と舌の上には何やら短い突起の様な小さな豆みたいな形をした物が乗っている感覚がした。


「いたた、アルベルトさん大丈……きゃあああああ!!?」


(何だ? 何が起きた!? 暗くて分からない。)


「アネット、あんたそんな大胆に!?」


「アルベルトさん! 絶対に目を開けないでくださいよ!? 絶対ですからね!?」


「ん、んん……」

(口に何か入ってるんだけど何だ?)


 アネットは転けた衝撃で服がはだけるどころか下着と共に捲りあがり、アルベルトの口の中には左胸を咥えてさせている状況であり更には両手で抱き抱えている状態である。


「ちゅぽん……」

(何か抜けた?)


「も、もう良いですよ……」


「もう良いのか?」


 目を開くとその光景を見ていたアネットのお母さんはニヤニヤとした表情をしており、アネットは何故か胸を隠す様に押さえ真っ赤な顔で俺を見る。


「ごちそうさま♪」


「お母さん! 違うから!! 不可抗力だから!!」


(こりゃ少し来た理由を話すのは待った方が良いかな?)


(アルベルトの奴、なんというラッキースケベを!! 妾が変わりたかった!!)

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