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【完結】無属性魔法使い〈番外編追加〉  作者: クソラノベ量産機
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番外編エピソード︰スラスト② 行方不明者の真相

(おかしい……一週間は経ったと言うのに全く胸が成長しない!?)


 スラストは一週間、温泉にかかさず入浴したにもかかわらず豊乳出来ない事に途方に暮れ何故か肥満体型だった人は痩せると同時に胸が大きくなっているのを羨ましそうに見ていた。


「はぁ……」

(何であの人は効果あるのに僕だけ……何かがおかしい、絶対この温泉何かある!!)


「お客様、どうかなされましたか?」


 バツの悪そうな受付の表情を思い返しスラストは温泉の効能を聴くことにした。


「すみません、ここの温泉の効能を知りたいんだけど。」

(僕の感が正しければ、この温泉の効能でエルフは豊乳出来ないことなる。 頼む、外れていてくれ!!)


「効能……ですか。」

(やっぱり聴いて来たよ! 聴いて来ると思ったよ!! なんか妙に顔色悪いし気付いてるよね!? ここの温泉の効能!! 残酷な事実なんて言いたくないし、傷付けたくないし話さないとだめなのか?)


「お、何じゃ? お主まだ居ったのか?」


「イザベラ様!?」

(良かった! イザベラ様ならデリカシーが無いぶんスルッと事実を話してくれるかもしれない!)


「ねえ、イザベラ?」


「む?」


「ここの温泉てさ、もしかしてだけど……」


「最初に言ったはずじゃがの、ここの温泉は浸かっている間だけ“エルフと同じ体質”になると。」


 その言葉を聴きスラストはピシッと石のように固まる。


(言った! 何の悪気も無く、けど助かった……!)


「そ、そうなんですよ。 ここの温泉の効果は女性のエルフが成長するにつれ脂肪が胸に溜まっていくのと同等の体質になれるのです。 ですので、その……脂肪の少ない方は豊乳出来ないと言うか、なんて言いますか。」


「カッカッカッ、じゃから言ったじゃろ? 行方不明者など居らん、捜索願いが出とらんのも痩せて見た目が変わっとるから分からんかっただけじゃろうな!」


「じゃあ、僕は何の為に一週間もここで……」


 スラストは事実を知り膝から崩れ落ち、その場からショックのあまり動けなくなる。


「あのー、邪魔になるので退いてもらえませんかね?」


「しょうがないのう、良い事を教えてやるぞい。」


「良い事……?」


「貧乳がなんじゃ、世の中にはお主の様に胸の平な絶壁僕っ子エルフ娘が良いと言う頭のネジの外れたかの様な男も居るんじゃ気にすることはないぞい!」


「特殊性癖の人にしか好かれないみたいに言わないでくれる?」

(あとフォローになってないし不特定多数の人を馬鹿にしてない?)



「ふむ、不服そうじゃな。 そうじゃ、確かイシュタッド王国でこんなイベントの開催予告があるぞい参加してみるかの?」


「これは?」


 イザベラからイシュタッド王国で開かれる“大食い大会”のチラシを受け取り内容を見てみる。


「大食いなんて柄じゃないんだけどな。」


「妾の優しさにまだ気付かんのか、悲しいなぁ。」


「優しさ?」


「ほれよく考えてみい大食い大会の食べ物、激太り“ハンバーガー”肥満体型必死の覚悟で挑戦せよ! とか書いとるし、今のお主には丁度良いイベントではないかの?」


(はっ!? そうだ、わざわざこんな激太り必死なんて書いてるんだ! つまり、この大会でたくさん食べて太れば……ふへへへ♪)


 スラストは太った姿を想像し、一週間で痩せ型爆乳体型へと変貌を遂げた女性の姿を自分と重ね爆乳スタイルと化した体型を想像しニヤニヤする。


「急になんじゃ? ニヤニヤして、まあ何を考えておるかは容易に想像出来るが参加するのかの?」


「行方不明者は居なかった、それに温泉にも問題は無かったし僕はもう行くよ。」


「そうかえ、大食い大会頑張るのじゃぞ。」


「ありがとうイザベラ、僕は夢を叶えに行くよ。」


 スラストは手を振りながら村から出るとイシュタッド王国へと向かう。


「さて、エルフは脂肪が付きにくい体質だけど大食い大会のハンバーガーなら少しでも太れそうかな。」


 三日後、スラストはイシュタッド王国へと着くと大食い大会の主催者らしき人物へと話しかける。


「すみません、大食い大会に参加したいのですが。」


「お、珍しいなエルフが大食い大会に参加するのか?」


「種族間での参加が認められていないとか?」


「あーいや、そういうわけではないが……うーん、あまり食べれそうには見えないがまあ良いだろ。 参加するならこの紙に名前を記入してくれ。」


 主催者からスラストは紙に名前を記入する紙へと名前を書く。


「スーラシーエ・スートリア……と流石にフルネームじゃないとだめだよね。」


 ぐぎゅるるるるる……


「おーい、まだ始まんねーのか? 俺様腹減り過ぎて死にそうなんだよ!」


 何処からともなく腹の虫の鳴く音のする方を見ると今にも空腹そうに腹と背中が今にもくっつきそうなくらいげっそりとした顔付きの男がいた。


「まだ始まるまで二時間あるんだ、アルベルト様から昔のよしみで終身刑から救ってもらった恩を忘れるんじゃないぞ?」


「うるへぇ、何が英雄だ! どうせ誰かの手柄を横取りでもしたんだろ無能野郎は!!」


「お前また無能野郎と言ったな?」


「ケッ、無能を無能と言って何が悪い!!」


「……だそうですよ、ドメスト様。」


「ドメスト!? ち、ち、ち、違うんです!! 今のは冗談で、ははは……は? 居ねーじゃねえか!!」


「今度アルベルト様を無能野郎と罵ったらドメスト様に報告するからな覚悟しとけよ?」


「クソが、このチクリ魔め!」


 主催者と言い争うのはクレメンスであり、喧嘩している雰囲気で大食い大会の時間が来るまでスラストは辺りを見渡すとアルベルトの姿を見つけ声をかける。


「アルベルト! おーいアルベルトじゃないか!!」


「スラスト? 久しぶりだな、冒険者活動は順調か?」


「勿論だよ、アルベルトも元気そうで良かった。」


「ところでスラストも大食い大会見に来たのか? 今年は豊作ってことでイベントを農家の人達が主催したんだ。」


「いや、僕は参加する方だ。」


「参加!? スラスト結構食べる方なのか? でも何でまた。」


「夢を……叶える為かな……」


「そうか、頑張れよ応援するからさ。」


「ああ。」


(スラストの夢って大食いチャンプになることだったのか、かつての仲間だけど知らない事の方が多いんだな。)


 アルベルトに勘違いをさせ時間になるとスラストは大食い大会の会場へと赴いた。

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