第157話 道標
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
第四章は第66話からです。
第五章は第91話からです。
第六章は第113話からです。
最終章は第136話からです。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみ下さい。
アルベルトがウルベノムと死闘を繰り返している間、アネットは転移カードを使い予め登録しておいた竜神族の郷へと戻って来ていた。
「あーもう! 気持ち悪いたらないですよ!! あの金ピカ蜥蜴!! しかも世界中の人達に見られましたよね絶対、もうお嫁に行けない……。」
「そ、その恰好ですと何かと不便でしょうコレを。」
「有難うございますエボニーさん、直ぐに着替えるので見ないでください。」
「分かってます。」
アネットはエボニーに差し出された着物に着替えると狭間の世界の入口で行く末を見守る事にする。
「皆さん無事だと良いですが……、そうだエボニーさん鏡有りますか?」
「手鏡でしたら。」
「お借りします。」
ーシェスカ視点ー
「何時までも、この様な場所に留まるべきではありませんわね。 ニアミスさんを安全な場所で休ませてあげませんといけませんし……帰り道も分からないですわ。 あれは、何の光でしょう? このまま燻っていても仕方ありませんわ、行ってみましょうか。」
シェスカはニアミスをおぶさり光りの差す方へと向かい走る。
ートレーシィ視点ー
「流石にもう復活しないでしょ、そうだ確かあの辺りにでっかい天使みたいなの居たけど……あれ? スーさんのマナ感じる、それも大分弱まってる!?」
トレーシィは急いでスラストのマナの感じる場所へと飛んで行くとそこには満身創痍のスラストが倒れていた。
「スーさん!? 大丈夫!?」
「あ……はは……トレーシィか…………何とか……ね……。」
「立てる?」
「無理そう、さっきから力を入れようとしても立てないんだ。」
「ならあたしが安全なとこまで運んであげる!」
「有難う……、でも無理は……しない……でよ……? 無理そう……なら置いて……行って……。」
「こ、こんなの全然平気! 全く重くないし!」
(でも安全な場所って言ったら近いのは竜神族の郷くらいだし。)
「トレーシィ、あの光りの方へ行ってくれるかい?」
「え、あのピカピカしてるの? 行って大丈夫?」
「たぶん、悪意は無いよ……こんな危険な場所なら……誰かが道標として皆の帰りを待っているはず……。」
「分かった、スーさんが言うなら間違いないね。」
トレーシィはスラストの服を持ち上げ残った力で空中に浮くと光りを目指し飛んで行く。
ーアスティオ、メルダ視点ー
「流石にもう動かないか、それでラクシーは?」
「このヌイグルミからは幼い女の子の気配しかしませんね、ラクシー様は自分を犠牲にする事でこの子の幸せを願っていました。 人間に戻す事は出来ませんが、魔身人形としてなら普通の生活をさせてはあげられますが。」
「そうか……、なら早く戻ろう。 どうやら誰かがオレ達に帰り道を教えてくれているみたいだからな。」
「そうですね、戻りましょうか。」
アスティオとメルダも光りに気付き女の子の魂の入ったラクシーのヌイグルミを抱えて走り出す。
ーエリーシャ、レニー、イザベラ視点ー
「アンタとんでもない事思いつくのね、アクナヴィーテの膨大なマナを逆に利用するとか一歩間違ったらアンタも黒焦げよ!?」
「それはほらマジックアーマーで身体護ってたし、それにイザベラさんなら耐えきれると思ったからよ。」
「にしては殺意増し増しじゃった気がするが……ヌッ! オォンアオン!! 感じる、あの光りの方からアネットちゃんの気配がビンビン感じるぞい!! 早う乗るのじゃ、何をしておるアルベルトなら心配する必要はないじゃろ? どうせあの時みたいに竜神王様の力で悪者をぶっ倒してくれるわい!」
「何でアネットって分かるのよ……。」
「イザベラさんの言う通り、アルベルト様なら絶対負けないからまずは皆の安否を確認するのが先ね。」
そう言うとイザベラは竜の姿に変わり背中に乗るよう急かし、二人が背中に乗ると光りに向かい飛んで行く。
「しっかり掴まっておくのじゃぞ? それじゃ、アネットちゃんの所に行きますよー行く行く!」
イザベラはアネットの裸エプロンを妄想しながら様々なシシュエーションを想像する。
ーアルベルト視点ー
「この私が貴様にもう勝てないと言ったのですか?」
「ああそうだ、全ては繋がっていた。 スクラドル邸に有った預言書も世界中に散らばっていた石版も俺がマガルギ族と竜神族の血を引いているのも全ては英雄ルーズベルトの意思によるものだ!」
「ククク、先程まで合体していた事で私以上の力だったのではないか? 今の状態の貴様で私に対抗するのは不可能だと言うのは貴様が一番よく解っている筈だぞ、それとも恐怖のあまりハッタリしか言えなくなったか?」
「直ぐに分かるさ、全てを一つにすれば俺は誰にも負けない力が出せる! はあっ!!」
俺は全身に力を込めると髪が青白くなり竜神族の様な二本の角が生え勇気を纏う。
「またそれか、無駄な事を。」
「今から証明してやるよ、これが俺がお前を倒す唯一の力だと言う事をな!! フラッシュ!!」
「今更目晦まし……か……?」
「だりゃっ! パニッシュ!!」
フラッシュで全身を覆うと光の速さでウルベノムの眼前に姿を現した俺はパンチ力をパニッシュで増大させると同時に殴り飛ばしたウルベノムの穢れたマナを浄化しそれをマナドレインで吸収する。
「ぐぅっ、何が起きた? 何っ、私のマナを削っただけでは無く吸収しただと!?」
「来いよ、もうこれ以上お前の好きにはさせないぞ!」
「調子に乗るなよ、この程度で私に勝ったと思うなよ!!」
するとウルベノムは空中に浮かび両手両足を広げると周囲に存在するマナの全てを穢れさせ吸収した。
その反動でかウルベノムの筋肉は肥大化し更に力を増し、空間が歪みが発生する。
「どうだ、私はやろうと思えば全てのマナを穢れさせ吸収する事でパワーアップ出来るのだ。」
「そうかよ、ならその穢れを全て浄化しお前を消滅させるだけだ。」
俺とウルベノムは互いに全力の姿となり、世界中の人々が見守る中睨みを効かせる。
何時も読んでくださり有難う御座います。
もうそろそろ最終回も近くなってまいりました、また投稿は何時も通り遅めですが最後まで読んで頂けたのなら嬉しい限りです。




