第155話 土壇場
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
第四章は第66話からです。
第五章は第91話からです。
第六章は第113話からです。
最終章は第136話からです。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみ下さい。
背中の上にエリーシャの乗ったアクナヴィーテが振り払おうと暴れ、それを阻止しようとイザベラがヘッドロックを強めていた。
「ええい離せ! 脳内ピンクドラゴンが!!」
「暴れんな、暴れんな……。」
「離れないと言うなら潰れてしまえ!!」
「!?」
アクナヴィーテは近くの先端の尖った岩山へと体当たりしエリーシャを潰そうとしたが、間一髪レニーの球体状のバリアに守られる。
「レニー助かったわ!」
「礼なら後にしなさい! アンタしかそいつ倒せないんでしょ!!」
「邪魔をするなああああ!!」
大きく開いた口に膨大な魔力が集中し、レニーに向けられる。
「ま、マズイ! 口を閉じんかい!! だ、駄目じゃ上下から押しても閉じん!!」
「くっ!」
アクナヴィーテから魔力の塊が放たれそうになった瞬間、魔力がアクナヴィーテの体内へと戻されていく。
「な、何が起こった!? まさかこの女の仕業か!!」
「貴方の敗因は一つ、その膨大な魔力よ!!」
「よせ、止めろ!」
「エリーシャよ、妾ごとで構わぬ! 其奴に強力な一撃を与えるのじゃ!」
(今ので妾の好感度爆上がりじゃろな、じゃが妾が邪魔でトドメをさし辛くしてしもうたかの?)
「勿論そのつもりよ!! 喰らいなさいショック………」
「え? ちょ、え? ちょまっ!!」
「ボルトーーー!!」
「ぐわああああああああああ!!」
「ギエピイイイイイイイイイイ!!」
エリーシャはレニーのバリアに守られながらアクナヴィーテの魔力を体内に戻した後にその魔力を全て使う勢いでショックボルトでイザベラごとダメージを与える。
「がぐがあああああ、この私が……こんな雑魚どもに……ぐおああああああああああああ!!」
「あががががばばばばばががぎぎぐぐげげごごご!!」
「まだ足りない、これがイザベラさんね魔力を使ったフルパワーよ!!」
「ぐぎゃあああああああああああ!!」
「おんぎゃあああああああああああ!?」
「ちょ、ちょっとアレやり過ぎじゃないの?」
(ん、まあイザベラ何か恍惚な表情浮かべてるし良いか。)
イザベラの魔力まで使い強力な一撃にてアクナヴィーテとイザベラは黒焦げになりアクナヴィーテの身体は炭と化し絶命した。
「落ちる!」
「妾に任せよ!」
黒焦げになったイザベラはしぶとく意識を持っており、エリーシャを背中に乗せレニーの元へと飛びそこでエリーシャを降ろして人型へと姿を戻す。
「やったじゃない!」
「ええ、もしかしたらあの膨大な魔力利用出来るんじゃないかって考えてたから。」
「流石じゃの、じゃがもうちっと妾を労って欲しかったのう。」
「なら、今までアルベルト様にしてきた嫌がらせを謝ってくれるかしら? さもないとイザベラさんにもさっきの倍のやつ喰らわせるわよ?」
「あ、はい……。」
ーバゼベルト視点ー
「ぐあっ!?」
「「ふっ、どうやら貴様が最後のようだな。」」
「チッ、役立たず共めが小娘一人始末できんとはな。」
「「俺の仲間を甘く見すぎじゃないか? この冒険の中で成長したってだけだぜ?」」
「ぐぬぅ、ククク……アーハッハッハッハ!!」
「「ん?」」
「まあ良いわ、奴らは幾らでも私の力で復活させられるのだ! まさか忘れてはおるまいな、何度私を消し飛ばそうとこの穢れたマナが周囲に存在する限り不死身だと言う事を!」
「「やれやれ、さっきも言ったはずだがな無くなるまで貴様を消し飛ばすだけだ。」」
「来るが良い無駄だと言う事が分からぬのならな。」
「「フッ、ならお望み通り消し飛ばし続けてやろう。 フィアフル……」」
(ククク、そろそろか。)
「「イン!?」」
ウルベノムに向かいフィアフルインパクトを放とうとした時、合体が解けバゼラードと二人顔を合わせる形となる。
「クハハハ! 限界の様だな!!」
「ぐあっ!」
「バゼラード! うわあっ!!」
バゼラードはウルベノムの左手の甲で弾き飛ばされ遠くの岩壁にぶつけられ、俺は咄嗟にウルベノムの右手の拳で殴られるのを両手で防ぐが地面に叩きつけられてしまう。
「ククク、さっきまでの勢いはどうした? 合体が解けただけでこのザマとはな。 この私をここまで追い詰めた事に敬意を評して苦しませずにあの世に送ってやろう! じゃあな、無属性魔法使いよ!!」
「なっ、あぁ……。」
(くそ、今の一撃で身体が言う事効かねえ! 魔力も、もう全然無いし竜神族の力を使っても歯が立たなかった。 何か……他に何か力があれば……。)
ウルベノムは上空で両手を天に翳し巨大な黒い魔力の球体を作り出し、それを俺に向け放つ。
「サヨナラだ!」
「くっ、くそっ!!」
『諦めないで!』
(この声、ラクシーか?)
俺の近くにラクシーの声の光が近付き話しかけ体内に入ると少しだが力を取り戻し立ち上がる。
「アルエッタは?」
『大丈夫、魂の解放には成功したから。』
「そうか、なら良かった。 けど、今回ばかりはどう足掻いても駄目かもしれねえ。」
『ボクが何とかするよ、だって今までアルベルトの事を見守り続けている人が何かを伝えたそうにしてるからね。』
「消え去ってしまえ!!」
「そう簡単にやられてたまるか!!」
俺はウルベノムの魔力の塊に両手を向け受け止めるが、やはり力の差は歴然で両手に勇気を全て集中しても岩肌へと押されてしまう。
(くっ、やっぱとんでもない威力だ。)
『……ルト……。』
(何だ……?)
『アルベルト……聴こえるか?』
(この声、父さん!?)
『光が私をアルベルトと話しが出来る様にしてくれたのだ。』
「そっか、見守り続けてたのは父さんだったのか。」
『今まで親らしい事をしてやれなくて済まなかった、だがこれが最初で最後の父親としてお前にしてやれる精一杯だ。 この力を今こそ授けよう死ぬんじゃないぞ、それから愛してるぞ我が自慢の息子よ。』
黒い球体を腕を組み見つめるウルベノムは勝ちを確信し、高笑いをしていた。
「クククククク、アーハッハッハッハ! 所詮は人間の悪足掻き、この大魔王ウルベノム様の敵ではないわ! む、何だ魔力が白く変わって行くだと!?」
俺はウルベノムの放った魔力を浄化し、更にマナドレインにて力を取り戻した。
「な、何だと!!」
「これでもう、お前は俺には勝てねえぞ!!」
何時も読んでくださり有難う御座います。




