第146話 絶対強者の余裕
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
第四章は第66話からです。
第五章は第91話からです。
第六章は第113話からです。
最終章は第136話からです。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみ下さい。
「だりゃあっ!!」
俺は勇気を纏いウルベノムへと接近し顔面を殴り後方へと飛ばし更に蹴りを入れ岩盤へと叩きつけ、そこへ右手にマナを集中させウルベノムへと一気に放つ。
「マナインパクト!! 少しは効いたか……?」
崩れた岩肌から土煙が昇り、しばらくすると涼しい表情をしたウルベノムが砂埃を払いながら姿を現す。
「今のは中々良かったよ、でも全然効きませんねぇ……まさか今のが全力とか言いませんよねぇ?」
「やっぱ効かねーか、全力を出すしかなさそうだな……はぁっ!!」
「ほうっ!?」
俺はアクナヴィーテと戦った時の姿へと変わり、その姿を見てウルベノムは少し驚いたが直ぐに戻り表情に戻る。
「先程までとは全く感じる力が違いますねぇ。」
「そうやって余裕ぶってんのも今の内だぞ。」
「良いでしょう、かかってきなさい。」
「行くぞ。」
「消えた……!? うぐぁっ!!」
俺はウルベノムへと高速で近付いて腹部を飛び膝蹴りをし吹き飛んでいるウルベノムに追いつくと後頭部を蹴り上げ空中へと飛ばし更に空高く跳び上昇するウルベノムを地面へと殴り飛ばし地面に叩きつけ魔弾を連続で放ち追撃する。
「まだまだあああああっ!!」
「ぐっ……な、何!?」
「はああああっ!! はぁ……はぁ…………流石に効いたか?」
空中に浮きながら攻撃を止めウルベノムに対して効いたかどうかを確認する為、俺の魔弾で崩れた岩の砂埃を観察しているとウルベノムの影が見え始める。
「ぐっ……げほっ…………。」
「流石に効いたみたいだな。」
「フフフ……思っていた以上ですよ…………、ですが貴方では私に勝てませんよ。」
「随分余裕だな、お前も変身するんだろ?」
「おや、知ってましたか。」
「今まで姿を変える奴らと戦って来たからな。」
「そうですか、でも私を彼等と同じ様に見ない方が良いですよ? では失礼して、はあああああああああっ!!」
ウルベノムが全身に力を込めると背丈は2メートル程まで伸び、手足も筋骨隆々なものへと変貌し頭の角も鋭くなる。
「嘘……だろ…………。」
「くくく………、どうした? 思ってた以上に私の力が増幅した事がそんなにショックか?」
「くっ、それでも俺は戦ってお前を倒す!!」
「私を倒すか……一つ良い事を教えてやろう、私は後一段階変身出来るんですよねぇ。」
「なっ………!?」
「さぁ、始めましょうかねぇ!」
ウルベノムは俺に向かい右手で顔面を殴ろうとしたが直前で寸止めをし、俺はそれに気を取られている間に首を尻尾で締められ勢い良く回転された事による遠心力で首から尻尾の締め付けが無くなると空中へと投げ出されていた。
「うおあああああ!」
「さっきのお返しをしましょうかねぇ。」
「うわあああああっ!!」
空中で俺の腹部にウルベノムが手を当てると魔弾を放たれ、地面へと叩きつけられる。
「面白い物を見せて上げましょう。」
「うっ、く……何をする気だ……?」
「ブラックサンダー!!」
「俺には効かねーぞ! マナドレイ……うわあああああっ!?」
ウルベノムの指先にマナが集中すると黒い電流が発生し俺に向かって放たれる、俺は魔法に対しマナドレインで吸収をしようとするも効果が無く全身に電流が走る。
「な、何だ……? 吸収出来ない!?」
「でしょうねぇ、私の魔法はダークマターですから吸収は不可能ですよ。 ブラックファイア!」
「!?」
ウルベノムは掌を向けると黒い炎の球体を連続して放ち、俺は当たらない様に避け続けるが砂埃が上がると瞬時にウルベノムの後ろへと回り込み魔弾を放つ。
「喰らえ!!」
「無駄ですよ!!」
「何っ!? 魔弾を吸収した……?」
「フフフ、これで出来る事が限られましたねぇ?」
「くっ……。」
「そろそろ終わりにしましょうかねぇ。」
そう言うとウルベノムは高速の黒い魔弾を放つが俺はギリギリで躱すとウルベノムの蹴りが顔面に当たり猛スピードで岩盤に叩きつけられ、体制を整えようとするも顎にアッパーを喰らい空中へと飛ばされている最中に地上のウルベノムに対し駄目元で魔弾を放とうとした瞬間背中に衝撃を受け地面に叩きつけられる。
「うおあああああっ!? がはっ、何だ! 何が起こってんだ!?」
「「フフフ、ではサヨナラです。」」
「くそ一体何が……、なっ……あ…………。」
俯せに倒れた俺は両手に力を込め上体をお越し振り向き空を見ると二体のウルベノムが俺に向かい手を翳し膨大な魔力を持った黒く巨大な球体が出来上がっていた。
「だ、駄目だ! 躱せな……!!」
「「これで終わりですよ!!」」
ウルベノムの巨大な魔弾が放たれ眼の前まで接近した時、赤い魔弾がウルベノムの魔弾にぶつかり遠方へと弾き飛ばした。
「「ん……?」」
「よう、面白そうな事してるじゃねーか。」
「お前は……!」
「俺も混ぜろよ。」
赤い魔弾の飛んで来た方をみるとそこにはバゼラードの姿があった。
「バ、バゼラード!?」
「「フン、たかが雑魚が一匹増えただけですねぇ。」」
「雑魚かどうか試してみるか?」
ウルベノムの一体はバゼラードの方へと向かい残りの一体は俺へと近付いき地面に着地する。
「フフフ、まだまだ楽しめそうで何よりですよ。」
「…………。」
「分かりますよ、貴方……何か企んでいますね?」
「どうだろうな……。」
俺はウルベノムに対しての秘策を考えており機会が訪れるまでの間、力を温存せざるを得ない状況になる。
何時も読んでくださり有難う御座います。




