第142話 それぞれの戦い
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
第四章は第66話からです。
第五章は第91話からです。
第六章は第113話からです。
最終章は第136話からです。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみ下さい。
ードメスト視点ー
巨大な土偶の様な魔物の目から放たれるレーザーは地面を溶岩みたいに溶かしていきながらドメストを追っていた。
(アレをまともに喰らう訳にはいかないな、さて……どうしたものか。)
ドメストは対抗策を練っている最中に土偶に最初に攻撃した箇所の宝石が赤くなったり青くなったりしている事に気付く。
(色が変わってるな、試してみるか。)
土偶のレーザーが止まった隙にドメストは高く跳び上がり赤くなっている宝石に大剣を振り下ろすが弾かれるが、その反動を利用し遠心力で回転する事で追撃に転じた時には宝石は青くなっており斬撃を叩き込むと宝石は音を立てて砕け散り、土偶は力を失ったのか地面に倒れ粉々になった。
「ま、こんなところか……。」
目的を果たしヴァレンス王国へと足を運ぶドメストだったが、その方向では上空から魔物が国へと大量に投下されている光景が広がっていた。
「な、何だこれは!? 今まで魔物を全く見ないとは思ってはいたが、こんな事になるとはな急がねば!!」
ーヴァレンス王国ー
城下街では兵士の代わりに冒険者達が上空から地上へと降り注がれる魔物と対峙しており、住民の避難もままならない状況に扮していた。
「くそっ! 何だってんだコイツらは!!」
「悪態ついたって仕方ないでしょ! 今は一体でも多く仕留めないと!」
街中には鳥や牛、人の姿を模した魔物が存在しており住民を襲っている。
「うわぁっ!」
「あれは……子供!」
(…………。)
逃げている最中に転けた子供に一人の冒険者が気付くが助けるかどうかを躊躇していると、頭が鶏で身体が人の様な魔物は涎を垂らしながら嘴を大きく開き子供を丸呑みにしようと襲いかかる。
「うわあああああっ!!」
「ふんっ!」
その瞬間、魔物は真っ二つになり絶命する。
「何を迷っている! 今守るべきものは何だ!!」
「あ、あんたは確か……イシュタッド王国の。」
「ドメストだ、ここから先は私が指揮を執る! 誰一人として死なせるな、良いな!!」
ー妖精王視点ー
サーメイル王国近辺にてドメストが戦っていた土偶と妖精達が戦っていた。
(そっちの現状はどうなっておる?)
「なんか変な人形?みたいな不気味な奴と戦ってるよ! 妙に人の様な気配感じるし。」
(成程、恐らくはソレだろうな……即刻破壊せよ!)
「ところで王様、そっちの国にも何か魔物湧いてない?」
(気にするな、こっちは既に対処しておる!)
「さて、サーメイル王よ後で美味い菓子を用意しておけよ?」
「当然そのつもりだ、協力してもらっているのだからな。」
サーメイル王国では兵士と妖精達で魔物と戦っており、国王と妖精王は互いに顔を見合わせ指示を出していた。
ーナルドレイク王国ー
ナルドレイク王国近辺より離れた砂漠にてナスタークも土偶の魔物と対峙していた。
「さぁてと、態々弱点を見せてんのは余裕かましてるからか? ま、どうでもいいか動かなくなったし。」
ナスタークは土偶の魔物の宝石に魔糸を繋げ魔力を奪い続け最小限の行動で倒し、ナルドレイク王国を見ながら酒を呑む。
「こっちは思ってたよりつまらなかったな、あっちはアイツらに負かして俺は酒でも愉しむか。」
突如として現れた魔物をそれぞれの国々は緊急に対応せざるを得なく殆どの国が苦戦を強いられていた。
ーイシュタッド王国ー
「国王陛下! 魔物の殲滅完了しました!!」
「そうか、なら次は各国への加勢を急げ! 魔導部隊と共に世界の平和を勝ち取るのだ!!」
「はっ! 魔導部隊出撃の準備を!!」
「了解!!」
そこへ別の兵士が戻りイシュタッド王へとアルベルトに頼まれていた要件を終わらせた事を報告に来た。
「国王陛下、怪しい魔身人形の破壊を完了しました!」
「良くやった、帰って来て直ぐで悪いが魔導部隊と共に各国に現れた魔物の討伐を頼みたい。」
「仰せのままに!」
「各国への転移の準備が整いました!」
「さあ行くのだ! 我らがイシュタッド王国の兵士の力を魔物共に存分味わわせてやるが良い!!」
イシュタッド王国の兵士と魔導部隊は各国へと転移し、窮地に陥っている国では瞬時の判断にて魔物を討伐し怪我人を治療し避難させる。
その一方でウルベノムと対峙しているアルベルト達は今まで倒してきた魔物が復活していくのを観て驚愕していた。
「あ〜、良いわ♡ さすがウルベノム様分かってる〜、あんな醜い姿じゃなくて美貌に溢れた肉体を与えてくださり感謝するわ〜♡」
「ジャ、ジャミール!?」
ジャミールの次は金ピカの魔物が現れる。
「吾輩を忘れてもらっては困るな。」
「ん、誰だあの金ピカ? あんな奴居たか?」
「ただの変態だから無視して良いわ、それよりも残りの二体の魔物の方が厄介ね。」
レニーが言い終えるのと同時に奇妙な雰囲気に包まれたラクシドールとアクナヴィーテが姿を現した。
「…………。」
「フフフ、またお会いしましたねぇアルベルトさん。 さぁ、最終決戦と行きましょうか!」
アクナヴィーテが天に両手を掲げると俺とウルベノムだけ残し全員光に包まれ何処かへと転移させられた様だ。
「皆を何処へやった?」
「最終決戦に相応しい場所ですよ。」
皆はそれぞれウルベノムと戦っていた場所とよく似た風景の場所で魔物と対峙していた。
スラストはジャミールと、ラクシドールとはラクシー、アスティオ、メルダの三人、アクナヴィーテとはエリーシャ、レニー、イザベラの三人が対峙しており残るアネットはエセナゴットと対峙し困惑していた。
「…………ウルベノム様? 何だか吾輩の相手おかしくありません?」
「…………。」
(どどど、どうすれば良いんですかこの状況!? 私一人でどうしろと!! と、兎に角逃げないと!!)
アネットは後退り逃げようとするがエセナゴットはニヤリと気持ち悪い笑みを浮かべアネットに近付こうとする。
「成程そう言う事か、吾輩には魔族作りをしろと言う事ですな!」
アネットは閃光玉を投げつけておりエセナゴットが振り向いた瞬間に破裂し眩い光が全体を照らす。
「!?」
(今の内に逃げないと!!)
「眼がああああああああああ!!」
エセナゴットの目が眩んでいる内にアネットは出来るだけ遠くへと逃げる。
「に、逃げるな卑怯者! 逃げるなあああああ!!」
何時も読んでくださり有難う御座います。
誤字報告なども有り難く聞き入れさせて頂き感謝します。




