第132話 ボロン
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
第四章は第66話からです。
第五章は第91話からです。
第六章は第113話からです。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみ下さい。
アスティオ達はアクナヴィーテの両脇に居た竜人族の一人と対峙していた。
「あーあ、つまんねーの……俺の方は男ばっかりか。 ギーンの奴今頃お楽しみ中だろうな。」
「アスティオ様、シェスカ様お下がりください! ここは私が。」
「いや、オレも戦うドメストの力だけじゃ適う相手じゃない事くらい分かってるだろ?」
「そうですわ、ワタクシも力になりますわよ!」
「あたしだって、加勢するよ! ね、スーさん!」
「勿論だ、僕は遠くから援護するよ!」
眼の前の銀髪で赤眼の竜人族はつまらなそうにドメストと目を合わせると自身の名を名乗る。
「俺はボロンだ、あんたら騎士の間じゃ名を名乗るのは礼儀なんだろ? ま、どうでも良いけどな。」
「ドメストだ、いざ尋常に勝負!!」
「へいへい、来なよ何人でも良いからさ。」
「せやああああっ!!」
ボロンは退屈そうにドメストに手招きすると、ドメストは背中の大剣を抜きボロンへと振り下ろすも紙一重で避けられ、すかさずアスティオはボロンの右側へと周り横薙ぎに剣を振るが爪で弾かれる。
「そこ! くっ……!!」
「無駄だ!」
「これならどう? アイスバレット!!」
「マイトアロー!」
トレーシィはボロンの動きをよく見て魔法の当たるタイミングを見計らいアイスバレットを放ち、スラストも同様に隙を見てマイトアローを放つ。
「あらら、これは躱せないな。」
アイスバレットとマイトアローはボロンに命中すると白い煙が立ち上がり、その煙の中の影に向かってシェスカ姫が邪聖剣グラムセイバーで突きを放つ。
「そこですわ!」
「おっと、そうは行かな……アアアアアアアアッ!!?」
シェスカ姫の放った突きを左手で受け止めるボロンだったが思っていた以上の力のせいで掌をゾリリリリと削られ出血し後方へと飛び退き左手首を押さえながら驚愕する。
「ななな、何なんだよお前は!? くっころ騎士ちゃんかと思ったら馬鹿力の化け物じゃねーか!!」
「失礼な方ですわね、可弱い乙女に向かって化け物だなんて!」
「力の出し惜しみしてる場合ではないな、はああああっ!」
ボロンはシェスカ姫の馬鹿力に圧倒された事に驚き、人形から銀色の竜の姿へと変貌する。
「竜化した!?」
「くくく、これならそう簡単に傷を付けられま……ギャオオオオ!?」
竜化したボロンだったがシェスカ姫はシラけた表情で尻尾へと剣を軽く振り下ろすとスパッと尻尾が斬れ、ボロンは悲痛な叫びをあげる。
「なあ、もうシェスカだけで良いんじゃないか?」
「私もそう思えてきました……。」
一方、時を遡りアルベルトがイザベラとラクシーを別々の仲間の元へと向かわせていた頃、アルベルトはアクナヴィーテと対峙していた。
「では、お手並み拝見と致しましょうかねぇ? 何処からでもどうぞ。」
「行くぞ!」
俺はアクナヴィーテに突っ込む途中で雪の下から魔力を感じ取り、左側へと飛び退いた瞬間雪の中から魔弾が上空へと飛んで行った。
「おや、バレていましたか。」
「俺に小細工は通用しねーぞ! はあっ!」
「おっと!」
「消えた!? そこだ! 何!?」
「こっちですよ。」
「うあぁっ!?」
右手をアクナヴィーテに向け魔弾を放つと当たる瞬間にアクナヴィーテの姿が消え、後方に気配を感じ後ろ回し蹴りを繰り出すも更に気配が消え眼の前に現れ魔弾で撃ち飛ばされる。
「本気でやってくれませんかねぇ? 私も暇ではないのですが……、それとも私から本気を出した方が良さそうですか?」
「…………。」
(コイツは何をしてくるか未知数だ、様子見しながら戦わねーと負けるかもな。)
「良いでしょう、さっきから貴方テレパシーで私の考えを読み取ろうとしている様ですし……竜人族の秘宝の力の一端をお見せするとしましょう。」
「なっ!?」
竜人族の秘宝による力の一部を解放するとアクナヴィーテは赤黒い勇気を纏い先程とは全く違う逸脱した力を感じる様になった。
「どうしました、貴方もこれくらい出来るでしょう? 竜人族の血が流れているのならねぇ。」
「当然だ、はあっ!」
俺は青白い勇気を纏い、アクナヴィーテに構えマジックアーマーで更に身体能力の底上げをし殴りかかるも片手で受け止められる。
「まさか、この程度で私に挑んだのですか? いや、もしくは竜王の力が強力過ぎたのかもしれませんねぇ。」
「竜王?」
(くそっ、さっきから掴まれた拳を引き抜こうにも力が強くてびくともしねえ!!)
「ええ、竜人族の秘宝の中身は竜王の力そのもの。 つまり私は疑似的に竜人族になっているわけですよ、この力を試すのに貴方が相応しいと思っていたのてわすが残念ですねぇ。」
「うおあああっ!!」
アクナヴィーテに拳を引っ張られ、軽く蹴りを入れられただけで近くの雪山まで飛ばされ雪崩が起きる。
「素晴らしい力ですねぇ、しかし相手が弱過ぎては宝の持ち腐れにしかなりませんし困ったものですねぇ。 ん?」
「はああああっ!!」
「おや、流石に生きてましたか。」
「当たり前だ、そう簡単に死んでたまるかよ!」
(マズイな、今ので勝てる見込みが無くなっちまった。 どうする、勇気を纏ってマジックアーマーも使っても全くダメージを与えられなかった。)
「まさか、今ので戦意喪失してませんよねぇ?」
「うるせーよ、いまにその鼻っ柱圧し折ってやるからまっとけ!」
「良いでしょう、私もどれくらい差が開いているのか分かりませんからねぇ。 全力で攻撃してもらいましょうか?」
アクナヴィーテは両手を腰の後ろに回し、隙だらけな状態になる。
「後悔すんなよ! でりゃああああ!!」
俺は最大限の力を拳に込め始め、マジックアーマーと勇気の力を合わせた一撃をアクナヴィーテの顔面に拳をおもいきり突き出すもアクナヴィーテには全く効いていない様に見えた。
「やはり、この程度ですか。」
「なっ、あ……。」
「これでは勝負になりませんねぇ。」
この時の俺は最初から勝負になっていない事を理解し、更にはテレパシーでアクナヴィーテの考えている事を見ている事を後悔する事になる。
(こいつ、……変身まで残してる!?)
何時も読んでくださり有難う御座います。
次回も不定期投稿になります。




