第13話 龍の顎パーティー解散(追放側視点)
やっと、誤字の修正が終わりました。
指摘してくださり、有難う御座います!
後は、よく見るとおかしな文章や台詞を微修正しました。
また、気付かれた方々に感謝します。
イシュタッド王国の大浴場にて、躰を洗う二人の女性が話し合っている。
「まぁ、何だ…元気出しナヨ……アレは仕方ナイ。」
「………。」
戦闘の稽古での事だ、ケニーは召喚されたゴブリンを見てナルデナ洞窟でのトラウマを思い出し気絶してしまった。
「はぁ……、ケニー……アタシは……」
相変わらず、俯いたままのケニーにたいして何かを告げようとするニアミスだが、上手く言葉が出てこない。
「……ごめん。」
やっと重い口を開いたかと思えば、謝罪の一言だった。
ニアミスは、その言葉を聞くとある一人の人物が脳裏によぎった彼がいなくなった事で戦略が崩れ何時も通りに戦えなくなったと考え始める。
「ケニー……謝らないといけない相手はアタシじゃ……ナイ。」
「…………。」
そう言うと再びケニーは黙ってしまう。
躰を洗い終えると二人で湯船に浸かり、会話を再開する。
ニアミスは意を決してケニーに、これからの事を話す。
「ケニー、悪いがアタシは龍の顎を辞めようと思う!」
その言葉にケニーは驚き、ニアミスの方へと振り向き声を荒げる。
「え? 何で! 足手纏いは私のはずでしょ!? ニアミスは悪くない、だから辞めるなら私じゃないと!!」
ニアミスはケニーの言葉に首を振る。
「ケニーも気付いていると思うが、あいつを追放してから戦略に穴がでキタ。」
「だからって、辞める必要は……」
ニアミスはケニーが言い終える前に理由を語る。
「アタシさ、今回の事で分かったンダ……今まで相手を舐めきってた。 だから修行の旅に出て、もっと強くならないと亡くなった両親に胸張って、Sランクパーティーなんて名乗れないからね。」
「……ニアミスは強いね、私はゴブリン程度で足がすくんじゃって冒険者としては、もう無理そう……。」
ニアミスとケニーは、自分達の不甲斐なさを実感しSランクパーティー龍の顎を辞める決意をする。
「明日、リーダーに伝える事にスルよ。」
そう言って、ニアミスはケニーを大浴場に残して風呂から上がる。
「私は……。」
残ったケニーは難しい顔をしながら悩みながら、風呂から上がり城の客室へと向かっていった。
龍の顎のメンバーは、別々の部屋に泊まる事になっていた。
その一つの部屋にて悪態をつく男がいる。
「クソっ! 舐めやがって、あの騎士隊長め!! ゴブリンがあんなに強えわけねぇだろうが!!」
そう、クレメンスである。
ドメストの召喚したゴブリンを舐めきって弱い魔物として見ていた。
「見てろよ……、次は簡単にはやられねぇ!!」
自身の反省点を活かす事を考えられない、クレメンスにとっては更なる地獄のような未来が待っている事を彼は知るよしも無い。
そして夜が更け朝早くから、龍の顎のメンバーは起こされる。
「貴様! 何時まで寝てる気だ!! 訓練は既に始まっておるのだぞ!!」
「ああ!? まだ4時だろうが、いくらなんでも早すぎねぇか?」
ドメストは、厳しい顔をしながらクレメンスを叩き起こす。
「まずは、ジョギングからだ! 付いてこい!!」
寝ぼけた顔のクレメンスを無理矢理ジョギングさせる。
「全く、こんな朝早くから叩き起こしやがってよ! ところで、ケニーとニアミスは良いのかよ走らなくて?」
「フン、彼女らは全く以て使えんと判断した! それに貴様だけならば、その腐った根性を正せば多少なりともマシになるだろう!!」
クレメンスは寝起きの為、頭の回転が遅く怒る気にもならなかったが、徐々に疑問になっている事をドメストに訪ねる。
「へ~いへい、で? 二人が使えないってのは?」
「貴様は先日の事を思い出せない程の能無しだったか?」
その物言いにイラッとするが、落ち着いて理由を訪ねる。
「昨日の強さのおかしいゴブリンと戦った時の事か?」
「そうだ! 褐色肌の方は貴様と同じで見た目で判断し、油断していた! そして、回復術士に関しては論外もいいとこだ!!」
ジョギングをしながら、ドメストは龍の顎を駄目出しする。
「はっ! 男の俺様と違って女はひ弱だからな、仕方ねぇよ!!」
今まで、仲間として扱ってきた二人を女というだけで馬鹿にしたように語る。
「初日にこれだけ走れれば十分だろう、貴様には仲間の二人から話があるそうだ! それを聞き入れるのもリーダーの務めだと思え!!」
「チッ! あの野郎、朝早くから20キロも走らせやがって!!」
そう言う、クレメンスにニアミスとケニーが近付いてくる。
明らかに苛立った口調でクレメンスは二人にたいして怒鳴る。
「おい! 何でテメエらは、ジョギングに不参加なんだよ!」
「彼女らは昨日、二人して王国指名勇者としての呵責に苛まれたようでな私が国王陛下への言伝を頼まれ、その責務から開放した次第だ!」
「なっ! 何だと!?」
「悪いね…リーダー、アタシは自分の弱さに気付いたンダ! だから、強くなる為に龍の顎を抜けて旅に出ルヨ。」
「お、おい……!? ニアミス何言って……」
クレメンスが言い終える前にケニーも自身の思いを語る。
「私も昨日の一件で、冒険者を続けるのは厳しいと判断したから龍の顎を抜けるよ。 ごめんなさい……リーダー。」
二人の言葉に理解が追い付かずクレメンスは立ち尽くし、その横を彼女らは通り過ぎていった。
「中々、彼女らは理解力が有るようで何よりだ! さて、朝食の後は、基礎訓練を開始する!! 良いな!!」
「俺一人で、どうしろってんだ! 俺も降り……」
クレメンスは一人では何も出来そうにない事を悟り、王国指名勇者としての責務から逃れようとするがドメストは、それを許さなかった。
「何を言ってる? 貴様は確かに国王陛下に誓ったな! 全世界に勇者としての名を轟かせると…誓いを破るという事は国家反逆罪と同義!! つまり、その先を言えば……分かるな?」
「そ、そんな!?」
こうして、クレメンスは仲間を失うだけでなく王国指名勇者としての責務から逃れる事もできずに孤立し実質的に龍の顎はパーティーを解散することになってしまった。
マデルオーラ戦は、楽しんで頂けたでしょうか?
とりあえず、物語を完結出来るよう精進してまいりますので応援して頂けたら幸いです。




