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【完結】無属性魔法使い〈番外編追加〉  作者: クソラノベ量産機
116/166

第116話 奇妙な偶然

第二章は第26話からです。

第三章は第46話からです。

第四章は第66話からです。

第五章は第91話からです。

第六章は第113話からです。


では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみ下さい。

 ラクシドールとの戦闘が終わり一週間が経った頃、俺達はモルトナ村の宿屋にて休息をとっていた。


「アルベルト様、その本は?」


「ああこれか? ちょっと気になってな。」


 俺は500年程前に封印された大魔王の事が記された書紀を見つけ、その内容を知る為にページをめくる。


「えーと、書紀の内容を噛み砕いて説明すると人類に強大な力で支配し人間同士の生存を賭けた戦争を起こさせ世界中に混乱を招いた。」


「確か、絵本にもなっているわね……ん?」


「エリーシャ? どうかしたのか?」


「ううん、何でもない続けて。」


「そうか……分かった。」


(この本って、イラスト付きなんだ……でもこの絵の人物ってアルベルト様とシェスカ姫に似ている様な?)


 エリーシャは本の内容よりも本に描かれた二人の人物の方が気になるかもり、アルベルトの朗読を一時的に止めるも続きを話してもらう。


「まあ、用は俺達も子供の頃に読んだ“英雄伝説”って絵本と内容は大体同じだな……けどここから違ってくる。」


「絵本との違いは、あれ? 二人の英雄に名前がある!?」


「そうなんだ、一人は俺と同じ“無属性魔法使い”のルーズベルトって名前だ。 絵本では大魔王を封印した人物となっている。」


「それにこっちは、シェスカ姫と同じ様に“ロクサーヌ”って名前が有る?」


「そうなんだ、それに封印後の話まで有って“預言書”をルーズベルトから預かっているのが“スクラドル”……エリーシャと同じ名前が入っているんだ。」


「これって出来すぎてない!?」


「この書紀が意味する事は……いや、止めようまだそうと決まった訳じゃ無いし。」


 俺は書紀の内容に身震いしながら、ページをめくっていくと明らかな矛盾に辿り着く。


「なあ、エリーシャ……この本が事実を記しているなら生きているとおかしい人物が描かれているよな?」


「え? この人ってこの前、私達の眼の前に現れたわよね?」


「アクナヴィーテ……、この本の内容からして生きている訳が無いんだ! だってアクナヴィーテは“ブラウン”って兵隊長と共に強大な魔力の爆発によって死んでいる筈なんだ!」


「ブラウン? 今度はアルベルト様と同じ名前?」


「これは、もしかしたら偶然じゃないのかも知れない……それを確かめる為にも次はパラディオーネ王国へと俺は向かうつもりだ。」


「パラディオーネ王国に?」


「ああ、この書紀に載っているイザベラって竜人族に会いにな。」


 書紀を閉じ本棚に戻すとアスティオ王子が誰かを連れて宿屋へと入って来た。


「アルベルト、仲間の様子はどうだ?」


「アスティオ王子、アネットの怪我もメルダから良くなるって聞いてはいます。 それとそこに居るのは。」


「久しいな、ロクサーヌ城では世話になった!」


「何でドメストさんがここに?」


「何でも逃亡犯を捜しているらしいな、思考回路が子供じみてるからヴァレンス王国の遊園地に隠れてるんじゃないかって事でここに来たらしい。」


「うむ、そうなのだが見当たらんかったのでな……次はパラディオーネ王国へと赴くつもりだ。」


「ドメストさんもパラディオーネ王国に?」


「まあ、アスティオ王子の護衛も兼ねてな。」


「て事は、アスティオ王子もパラディオーネ王国に?」


「アルベルト達もか、奇遇だな! オレは民主国家の為の情報集めだな!」


 アスティオは民主国家の為に情報を集めに、ドメストはクレメンスを捕まえる為に、俺達はイザベラという竜人族に会う為にパラディオーネ王国へと向う準備を始める中、その様子を影から見ながら冷や汗を流す人物がいた、そうシェスカ姫である。


(ま、まずいですわ! 何故ドメストさんが、こちらに? どうしましょう、このままですと連れ帰られてしまいますわ!)


「シェスカ様、その様な場所で何をなされ……。」


「!?」


 後ろから話かけるメルダの口を素早く押さえながら物陰へと移動する。


「いきなり何を……。」


「しーっ! 見つかってしまいますわ!! メルダさん、ワタクシがここに居る事は内密にお願いしますわ!!」


 シェスカ姫はドメストに見つかるまいとメルダを小声で説得し、メルダはアスティオ達の方を見ると状況を察しアルベルト達の方へと向う。


「アスティオ様、国の方は宜しいのですか?」


「ん、そうだな……国の事は爺やが張り切って任せろって言うものだから任せる事にした。 それより、悪かったなオレの国の争いに巻き込んじまって……。」


「お気になさらず、アルベルト様なら放ってはおかないので巻き込まれたとは誰も思っていない筈です。」


「ところで、あのヌイグルミは悪さしてねーだろうな?」


「ええ、今のところは何も問題有りません。」


「もし、不信な動きを見せた時はオレが斬り捨てる!」


 そんな会話をしてる中、スラスト達は部屋でトランプをして遊んでいた。


「うーん、ここは引いて……あっ! ブラックジャックにならなかったか。」


「スーさんは20止まりだね、あたしの番だよ! それ、21越えちゃった!?」


「次は私ね、19か負けたわ。 アンタの番よラクシー。」


「ふっふっふ、ボクの勝ちだ! ドロー! …………。」


「何でジョーカーが混ざってるんダヨ! 次はアタシの番ダネ? 21、ブラックジャック!」


「ところで、そのジョーカーはどうなるの? まさかワイルドカード扱いにしないわよね?」


「そんな睨まないでよ、ボクは卑怯な事が嫌いなんだからさニアミスの勝ちに決まってるじゃないか!」


 そんな遊びをしている中、部屋のドアを青ざめた表情のシェスカ姫が開く。


「き、緊急事態ですわ!」


「えっ? 何どうしたの緊急事態って?」


「アネットさんの容態は!?」


「私ならここに……。」


「アネットさん、お願いします! 私の姿を認識出来なくする道具を出してください! まだワタクシ帰りたくありません!!」


 シェスカ姫は、どうやらドメストが自分をロクサーヌ王国へと連れ帰りに来たと思いアネットに便利な道具を要求する。


「そう言われましても、そんな都合の良い道具なんてありませんよ?」


「そんな!?」


 シェスカ姫は、どうすればドメストに自分とバレない様に出来るかを考えるのだった。

何時も読んでくださり有難う御座います。


次回も不定期になる事をご了承ください。

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