第106話 ラビッツジョーカー
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
第四章は第66話からです。
第五章は第91話からです。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみ下さい。
今回は別行動をしている仲間視点になります。
アルベルト達がラクシドールと対峙している頃、モルトナ村にてアネット達は戻って来るのが遅いアルベルト達に違和感を感じていた。
「あーもう! 幾ら何でも帰って来るの遅すぎない?」
「確かに遅すぎますね、もう昼ですしスラストさん達と合流しててもおかしくない頃ですしね。」
「何かあったと考えた方が自然ですわね。」
「それじゃ、アルベルト達を探しに行クカ?」
「そうですね。ヴァレンス王国へ行きましょうか。」
ヴァレンス王国へと移動したアネット達は国の現状を見て唖然とする。
「何処もかしこもゴミやラクガキばかりですわね。」
「それでどうスル? 城にでも向かウカ?」
「いいえ、遊園地って場所に行きましょう! 城に行ったなら謁見にしては長すぎるし、遊んでるに違いないわ!」
「そうなんですかね……。」
レニーはアルベルト達が遊んでると決め付け、アネットは仕方なく皆で遊園地へと行く事にした。
「思ってた以上に探すのが大変そうダナ。」
「なら、あの回ってるヤツの上から探せば早いわね。」
そう言うとレニーは観覧車の一番上まで跳んで遊園地を見渡すがアルベルト達の姿は見当たらず建物内にいる事を推察する。
(アルベルト達は、外には居なさそうね。)
「レニーさん、アルベルトさん達は見つかりましたか?」
「見当たらないわ、多分建物内にいるわね!」
「建物内か……、ん? なあ、彼処のテントみたいな建物の入口に何か居ないか?」
「あら、本当ですわ……何か見張ってる様に見えますわね。」
「行ってみましょう!」
レニーは観覧車の上から降りて来るとアルベルト達が外に居ない事を伝え、ニアミスはサーカスのテントの様な建物の入口を守る様に周囲を警戒している兎の着ぐるみを見つける。
近付いてみると兎の着ぐるみは両手を口に当て、ブツブツと何かを呟いている。
「ケケケ……アイツら馬鹿だな〜、ボク本人じゃないのに手応え無くて今頃焦ってるに違いないよね〜。」
「ちょっとアンタ! アイツらって誰の事よ!!」
「あ? 誰かな、ボクのオシオキタイムを邪魔しに来たの?」
「レニーさん、無闇に刺激しては行けませんよ! 周囲に子供達が居るのですから暴れ回られたら……。」
「そうダナ、子供を身代わりに使うかもしれないダロ!」
「失礼な奴らだな! ボクは子供達の救世主なんだよ! そんな事する訳無いだろ、さてはお前ら悪い大人の回し者だな?」
「え? え? 悪い大人って何ですか、この着ぐるみ急に怒り出しましたよ?」
着ぐるみの目が妖しく光ると子供達が首から下げている兎の人形の目が赤く発光し、子供達の目が虚ろになりアネット達から離れて行く。
「君達、遊びに来た訳じゃないよね? 雰囲気で分かるよ、帰りの遅い仲間を探しに来たってところかな?」
「ええそうよ! アルベルト達を何処にやったの、それに子供達に何をしたのよ!」
「質問が多いな、そのアルベルト達ってのはボクの後ろでオシオキの最中だよ。 あ、因みにボクの名前はラクシドールだよ!」
「アンタの名前なんて聞いてないわよ! さっきアンタがぶつくさ言ってた独り言が本当ならアンタを倒せばアルベルト達を助けられるって訳ね?」
「そうなるね、でも不可能だよ? だってボク強いから!」
「やるしか無さそうダナ。」
「私はサポートに徹します!」
「早く倒しますわよ!」
ラクシドールはテントを守るかの様に立ち塞がり、アネット達は戦闘態勢をとる。
「う〜ん、ちょっと数が多いね……ボク一人じゃキツいから下僕召喚し〜ちゃおっと!」
「何をする気?」
「トランプカードを取り出しましたわね。」
「さあ、久々の出番だよ! トランプラビッツ召喚!」
ラクシドールは3枚のトランプカードを取り出し、三体の兎型の魔物が召喚される。
「ラビッツキング、ラビッツクイーン、ラビッツジャックをボクは召喚っと! ラビッツキングは褐色と! ラビッツクイーンは生意気そうな女の人と! ラビッツジャックは剣士と戦ってね!」
「来ますわ!」
「アタシだって特訓して強くなってンダ! そう簡単にやられはしナイ!」
「なめられたモノね、私に魔法で勝負するつもり?」
ラビッツキングは肥満な体格をしておりマナを纏ったニアミスへと近付き、ラビッツクイーンは手に持った杖をレニーに向けるがレニーは余裕の笑みを浮かべ、ラビッツジャックはシェスカ姫に剣で斬りかかるがシェスカ姫も剣を抜き鍔迫り合いが始まる。
「さ〜てと、残った君はボク自身が相手してあげるよ……このカードでね変身!!」
「へ、変身?」
ラクシドールはジョーカーのカードを取り出すと変身と叫び、カードに描かれたピエロと同じ服装へと変わる。
「アネット逃ゲロ! そいつ凄い殺気ダ!!」
「逃さないよ?」
「きゃあっ!!」
ピエロ姿へと変身したラクシドールは何時の間にかアネットの背後におり手に持った鎌を首目掛け横薙ぎにはらうがアネットはしゃがむ事で回避し、その場から離れて行く。
「チィッ……外したか。」
「皆さん後はお願いします! 私は逃げるしか出来なさそうとですのでええええ!?」
「分かった、こいつ倒したら直ぐに助けに行くから頑張ってクレ!」
アネットが走り出し、しばらくするとラクシドールはさっきの様に不意に現れては鎌を振り上げる直前すれすれでアネットは躱すが服が斜めに裂かれてしまう。
「危なっ! 何で私を狙ってくるんですかああああ!!」
「また外したか、見かけによらず早いなぁ! ラビッツジョーカーに変身したボクの攻撃を躱したのは君が始めてだよ!!」
「ひいっ……、ひぃ……なら諦めてくださいよ! 私は戦闘出来ないんですから!」
「そうはいかないねえ、だって君回復役だろ? 回復役を潰すのは基本戦術さ、だってさっき構えなかったし!」
「そんな理由で!?」
アネットはラクシドールの攻撃を躱しながら、対策を逃げながら練る事になった。
何時も読んでくださり有難う御座います。
次回は追放側視点の予定です。




