第102話 四つの鍵
第二章は第26話からです。
第三章は第46話からです。
第四章は第66話からです。
第五章は第91話からです。
では、引き続き無属性魔法使いをお楽しみ下さい。
俺達は魔物の居る遊園地に来ており、中でサーカスでもしていそうなテントの形をした建物へと到着していた。
「やっぱり開かないか……。」
「確か四つの鍵が必要な事言ってたわね。」
「それなら、この四つのトランプにあるマークだな。」
ガチャガチャと扉を開こうとするが、やはり鍵が掛かっているのか開く気配がなくアスティオ王子の言う様に扉の中央を良く見るとハート、スペード、ダイヤ、クラブの形をした窪みが有った。
「これらを探せってか? この広い中から?」
「何かしら、ヒントが有るかもしれませんし周囲を調べてみては如何でしょう。」
「それもそうだな、ヒントが有れば良いけど。」
俺達はテントの周りを調べていくと思っていたよりも早くヒントの様な張り紙を四つ見つける事ができた。
「何か、思っていたより早くそれっぽいのが見つかったな……。」
「これ、多分だけど鍵が隠されてるアトラクションの場所だよね? 私が見つけた紙にはミラーハウスって書いてるよ。」
「私の方は、ジェットコースターですね。」
「オレは、メリーゴーランドだな。」
「最後が、お化け屋敷か……そう簡単に見つかりそうな場所には隠してないと思うし手分けして探すか。」
「やっぱりアル達だ!」
「何してるの? 僕達まだ調査中なんだけど、それにその人は?」
鍵の場所を探す事で話し合っている最中に先にヴァレンス王国への調査を頼んでいたスラストとトレーシィが透明化を解き話しかけて来た。
「あー、そうだったな……実はな調査どころじゃなくなったんだ。」
「彼等もアルベルトの仲間かい?」
「うん、そうだよ!」
「そうか、なら現状を説明しないとね。」
アスティオ王子はスラストとトレーシィが俺の仲間だと分かると今まで何があったのか説明した。
「……と言う訳さ。」
「なるほど、それで国中子供ばかりになっているのか。」
「でも、それだとおかしくない? 明らかに親の居ない小さな子供が泣かずに遊び続けられるのって。」
「それでしたら、私が子供達が必ず首から下げてる人形を鑑定した所どうも哀しみの感情を抑制する魔法が込められている様なのですよね。」
「何の為にそんな事?」
「さあ、私にも分かりかねます。」
「それはそれとして、まずはメリーゴーランドから鍵を探すか。」
「そうね、早く親子が離れ離れになってる国を元に戻さないとね!」
俺達は魔物の脅威から、ヴァレンス王国を救うべく最初に鍵を探す場所をメリーゴーランドに絞り探す事にした。
「やっぱり、乗って遊んでる子は居るよな。」
「来てはみたが、どうやって探す? アトラクションを止める訳にもいかないし。」
「ねえ、アル……あの馬何か光ってるよ?」
「ん、まさかアレじゃないだろうな……。」
トレーシィが指差す方向を見るとメリーゴーランドの馬の一体の肛門らしき位置に紅く光るトランプのダイヤマークを模った何かがハマっている事に気付いた。
「仕方ない、さっさと取るとするか……。」
「アルベルト様、お待ち下さい! これは罠です!!」
内心呆れながら、俺は鍵らしき物のハマっている馬へと近付こうとするとメルダに止められる。
「どうしたの、メルダ? 急に大声だして?」
「あの床に何か仕掛けられてるなら、あたしが飛んで取りに行くよ?」
「そうか! そう言う事か!!」
「なあ、さっきから何なんだ? アレが鍵なら早く取って他の鍵を探したいんだが……。」
何故かメルダは俺達をメリーゴーランドに近付けさせようとせず、アスティオ王子には、メルダが何に気付いたのか把握し俺を静止する。
「アルベルト、メイドの方の言うとおりだ。 これは、精神的なダメージを与える為に画策された非情にして最低最悪なトラップなんだ!」
「どう言う事か説明してくれないか? 俺にはさっぱりなんだが……。」
「アルベルト様………、私の口から言わせるおつもりですか?」
「?」
「あっ! アルベルト様、ここはメルダに任せましょ!」
「何かよく分からんが頼む。」
「畏まりました。」
メルダは軽く会釈をするとメリーゴーランドの馬へと向き直り、集中し始める。
(アルベルト様は理解されていない様ですが、あの馬にハマっている位置から考えてアレを普通に取ってしまっては恥をかかせてしまうのは明白! ここは私の魔糸に粘着性を持たせ、周囲の子供達から見えない速度で引き抜く必要がありますね……。)
「何かメルダ、かなり集中してないか?」
「それほど繊細な技術が必要なんじゃないかな?」
メルダが集中してから5分が経過し、タイミング良くメルダは魔糸を鍵の一つであろう紅く光るダイヤマークへとくっつけ一気に引き寄せるとスポンと抜けてメルダの手に収まる。
「これで誰も恥をかかずに済みました。」
「それじゃ、あの窪みに合うかどうか試しに行くか。」
俺達はメルダが手に入れたダイヤマークの鍵をテントにハメるとピッタリ収まった。
「鍵で合ってそうだな、後三つトランプマークの鍵を集めないとな。」
「次は、どのアトラクションを調べるの?」
「そうだな、この中でなら次はジェットコースターにするか。」
「案内しよう、ジェットコースターはこの中で動くアトラクションだからな。」
アスティオ王子に案内され、ジェットコースター乗り場へと俺達はやってきたのだが、建物の周りを探してはみたもののそれらしき物は見当たらなかった。
「見つかったか?」
「いいえ、私も注意して見てるけど建物には無さそうよ。」
「まいりましたね、紙にはジェットコースターと書かれているのですが……。」
建物内に鍵が無い事で困ってる所にコースターが戻って来て、そのコースターの頭にあたる部分にクローバーのマークを模った鍵らしき物がハマっている事にトレーシィが気付いた。
「あっ! ねえ、アレじゃない?」
「クローバーのマークだし、きっとそうだ!」
「問題は、どうやって取るかですね。」
何時も読んでくださり有難う御座います。




