名も無き剣士の始まり
…時代は乱世。
戦が戦を呼び荒地と化していた。人々は皆口を揃えてこう言う。「剣神様、15年前のように我々にご加護をお与えください」。これは、乱世の世を統一する最強の剣士誕生までの物語である。
とある辺境の森。
「うりゃあああ!」
今日もまた威勢のいい声が森に響き渡る。
少年の剣は緋色の光を帯びており、怒涛の連撃が男を襲う。しかし男もまた、それを容易に捌いている。
男の剣は黒色のオーラをまとっており、見惚れるほどに綺麗な色をしていた。
「こういうのはどうだ?」
「!?」
ガキィィィィィン
少年の剣は弾き飛ばされ地面へと突き刺さった。
「くっそー、やっぱリンは強いや。全然届く気がしないもん」少年はそう述べた。
「そんなことはない。だいぶ筋は良くなってきたがな。ただ今ので記念すべき10000敗目だ。夕食はお前が調達してこい。」
少年はなにやら不満そうにも満足そうにも見える顔で森の奥深くへと走っていった。
赤い目にオレンジ色の髪をした少年の名はヴェルス。彼は幼い頃、戦で両親を亡くしたまたま通りかかった男に拾われ現在共に森で生活している。彼は緋色の剣を帯刀しており、戦で二度と同じ思いをしないよう日々鍛錬に励んでいる。
そして、ヴェルスの師匠として剣を教えている漆黒の袴のような服を着た美男、彼の名はリン。謎は多いが剣の腕前が確かなことは明白であり、漆黒の剣を愛刀としている。
「リン!今日の夕飯はコイツらでいいかな?」
ヴェルスは自分の体格より遥かに大きいヒグマと猪を両手に背負っていた。
「最近肉ばっか食ってんなぁ。たまには魚もいいもんなんだぜ?」
「肉を食うと強くなれるって言ったのはリンでしょ、俺はもっともっと強くならなきゃいけないんだ」
「はいはいわかった、早く火起こせ」
月の光で微かに明るい森の中に、真っ赤で綺麗な炎が灯りはじめた。
「ヴェルス、この森で修行を始めてどのくらいになる?」
「えーとね、確か今日でちょうど5年目だ」
「あぁそうだ。そして今日はお前が生まれてから15年目でもあるな」
「あ!そうだった!!14歳の時はこの赤い剣"緋成紋"をくれたよね!今年は何くれるのー?」
ヴェルスは剣を手に取りながら期待の目でリンを眺めている。
「今年はとびきりのをやる。明日の朝この森を出るぞ」
「え?どこにいくの?」
ヴェルスは怪訝そうな顔に変わっていたが、次のリンの一言でヴェルスの表情は輝きへと変わった。
「最強の剣士になりにいくぞ」




