恋愛下手である彼女のとある日常
初投稿です。読みにくい箇所が多々あると思いますが、よろしくお願いします。
物語の内容はあらすじにも書きましたが、根暗な主人公―朝倉 和香の不器用すぎる恋愛模様のお話です。
彼女のハチャメチャな心の内面とその外側とのギャップを楽しんでいただければと思います。
卒業式――満開の桜が散る中、一組の男女が桜の木の下で話し合っている。
校舎から少し離れたこの場所は学校では有名な告白スポットだ。
きれいな桜吹雪と相まってまるで二人だけの世界がそこにはあるようだった。
やがてふたりはどちらともなく自然な流れでキスをする。
どうやら友人の告白は成功したようだ。
物陰で隠れていた私はとりあえず安心した。
そして彼女はこちらをちらりとも見ずに彼と一緒に下校していった。
そこからが私の悲劇の始まりだ。
事の始まりは確かこうだった。
友人――笹原涼香に「告白をする勇気がないから一緒についてきて」と言われ、
振られたらすぐに慰めてもらおうという彼女の魂胆が丸見えの話に軽く乗ってしまったのが運の尽きだったのか。
恋愛に対して積極的な彼女はあっさりゴールインして去ったが、どうやら私はそのまま帰らせてはもらえないらしい。
ああ神様、私は何か悪行をしたのでしょうか。
彼女の双子の片割れである男が私に告白をしてきたのです。
こんなことは天地がひっくり返ってもあり得ません。
どうかいたずらであってほしいけど、彼の様子を見る限りその線ではないようです。
そんなこんなで私は今絶賛混乱中である。
現実逃避で物語風にまとめてみよう!
どうも現在高2年の朝倉和香です。
普通の女子高生より根暗なことを自信をもって主張できることぐらいしか特徴はないですよ、本当!
ビジュアルだって染めていない黒髪をただ伸ばしたままにしているだけだし、友達が選んでくれたメガネはセンスはいいけれど私には豚に真珠状態であんまり私には分不相応だと思うし。
そんな私が人様に告白される?―――いやされる訳がない。
よし、これは何かの聞き間違いだ。
「好きです。」はきっと「(メガネが)好きです。」なんだろう。
君の双子の姉上がお選び下さったメガネだ、やはり君もセンスがいいと思うかね?
ああああああ、自分のキャラが分からん。
ヘルプミー状態だよ、というかほんと今何キャラになってんだ?!!
何てことを考えつつ、この理解不能の状態を必死で否定している。
因みにこの現実逃避の間はだいたい2秒ぐらいである。
そんなところに問題の彼はまた爆弾を落とす。
「朝倉和香さん、僕と結婚を前提に付き合って下さい。」
真剣な表情でこちらを見る彼――笹原修哉は堂々とそんな発言をした。
はっきり言おう、意味が分からん。
私にはさっぱり理解が出来ないのだが。
というか、今の発言で現実逃避(メガネいいよね!説)が完璧に潰れたのだがどうしてくれるんだ。
まともな思考が停止しているおかげで、奇声を上げなかったのは幸いだ。
自分でも顔が引きつっているのを感じる。
「突然こんなこと言ってごめん。きっと困らせると思ったけれど、やっぱり伝えておきたくて。」
少し切なげな表情で言うこの男を見ていると、場違いだがイケメンはどんな表情でも様になるなと思う。
だからその顔で別の誰かを口説いてくれ、とにかく私にはその顔は止めてほしいと切実に思う。
そういう顔をされると何故だか「イケメンにそんな顔をさせてしまった」という罪悪感で、ホント死にたくなるのは私だけでしょうか。
しかも性格もイケメンの人ですから、非の打ち所がないのだ。
なのに何故私なのだ。絶対彼の彼女になりたい人はいっぱいいるだろう。
かわいい女の子はより取り見取りなはずなのだ。
よって根暗な私としては、これは遠回りにいじめられているのではないかと勘ぐってしまう。
本当に止めてくれ、そんなことならこれからまだあと一年ある高校生活が疑心暗鬼に満ちたものになる。
「ごめんなさい。」
別に私が何か悪いことをした記憶はないけれど、つい反射で謝る。
脳内では思考が大混乱を起こしてもう何がなんだか分からないけれど、取り合えずコミュ障の私に言えたのはこれだけだった。
だからきっと見間違いだ、私が言った瞬間に何故だか先ほどよりももっと悲しそうな顔をしたのは。
だってよく分からないけど謝ったのだから、ホントにもうどうか許してください。
「っさようなら。」
居た堪れなくなって、急いで私はその場を離れた。
今私の頭の中にあることは、取りあえず謝ったのだから大丈夫だろうと思い込もうというだけだ。
唯一の幸運だったことは荷物を持っていなかったことだろう。
柄にもなく全力で走る。
走っている途中後ろから何かが聞こえた気がしたが、風を切る音で何を言ったのかは聞こえなかった。
走る私にはいつもの通学路が流れているように感じられた。
桜の大木を通り過ぎてから少し走るペースを落とす。
自宅の扉が見えるところまでやって来ると私は走るのを止めた。
久しぶりに全力で走ったため、息が上がっている。
深呼吸をして息を整えてから家に入る。
このままでは怒られてしまうからだ。
私の生まれた朝倉家は旧家である。
昔はこの地域を治めていたらしい、というのも祖母から昔話として聞いただけであるが。
現在は、私の主観では華道や茶道を嗜む古風な家だなといった感じである。
そのため息が上がった状態で家に入ろうものならば、祖父にたるんでいると小一時間ほど説教を受けてしまうのだ。
息を整えてから走ったために乱れた髪や制服も直す。
そうしてようやく家に入った。
「おかえりなさい、和香さん。」
居間に入ると祖母がお茶を飲んでいた。
「ただいま帰りました。おばあ様。」
先ほどまで全力疾走をしていた人物とは思えないほどおしとやかに挨拶をする。
「あらあらまあ、髪に桜がついているわ」
そう言って頭の桜をとってくれる祖母。
少しだけ作法にうるさい家だけれども祖母は優しいのだ。
もちろん祖父も厳しいがその中にはちゃんと優しさがあってのものだと分かっている。
「ありがとうございます。」
だからこそ私も窮屈に感じることもあるがそれは表に出さないように常ずね心掛けているのだ。
この家が好きだからこそ。
「そうだ、美味しいお茶菓子を頂いたからお茶に付き合ってくれないかしら。」
そういうと祖母は優しい笑みを浮かべた。
「はい。私でよければご相伴させていただきます。」
祖母の点てるお抹茶は美味しい。
こういう日常のちょっとしたことだけれどもゆったりとした時間はいいと思う。
そのあと祖母と一緒にお茶を楽しみ、すっかり学校での出来事は忘れていた。
笹原修哉に告白されたという事実にようやく気が付いたのは翌日の朝だった。
それも彼の姉――笹原涼香のメールによってだ。
何気なくスマホを見ると彼女のメッセージが大量に入っていて、それを見たときは本当に驚いた。
その内容を要約すると、「修哉のこと振ったみたいだけど、あいつ振られたって未練がましくうるさいよ」
というようなものだった。
メッセージの中には勿論彼女自身の告白が成功してよかったといった内容のものもあり、それに対する返事を返してからしばし私はフリーズした。
在学生である私は今日も学校がある。
そして笹原修哉はクラスメイトだ。
必然的に会ってしまうこの現状に私は頭を抱えて悩むのだった。
お読み下さりありがとうございました。
続きは書こうか悩み中です。書きたい内容を「言葉にする」ということが難しいなと本当に思いました。
今回のこの話の内容がよく分からなかったらすみません。
精進していこうと思います。
最後にもう一度、このお話を読んで下さりありがとうございました。