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天然令嬢、飢えた男に会う

本日2回目投稿。そした新たな攻略者登場。

皆様ごきげんよう、クラリーチェです。リュートがアリッサさんを拒絶してから1週間が経ちました。その間にもめげることなくリュートに積極的な態度でいるアリッサさんに尊敬と称賛を贈りたいです。リュートもそろそろアリッサさんと仲良くしたらいいと思うのですが、


「僕の嫌いなタイプなんだよねあれ」


アリッサさんをあれって・・・いつの間に私の弟はこんな風になってしまったのでしょうか。私の悩みは尽きません。





私は珍しく1人でお昼を過ごしています。サリーンさんは委員の集まりで、チェルシーさんは先生に呼び出され、リュートはアリッサさんと追いかけっこをしていて、アリッサさんは毎回男の方と一緒ですのでお昼を共にしたことはないですね。1人ぽつんと取り残された私はゆっくりご飯を食べたくて思いきって外に出てみました。初夏に差し掛かる手前なので気温も丁度よく天気もお日様が顔を見せているので外で食べるには絶好の日和なのです。



「ここなら木陰ですし大丈夫そうです」


立派な木の下は座って食べるのに適していて、早速私は木の根元に腰を降ろしました。そして膝に乗せた包みをゆっくり開けると、サンドウィッチが入った籠が顔を覗かせます。実は私が作ったんですよこれ。どこの家にも専属の料理人がいるのですが、その作る課程を見ていて楽しそうだったのでお父様に内緒で教えてもらっていたんです。すぐにバレてしまいましたが。それからはたまにこうやって自分で食べることが趣味になっています。


「ではいただきます」


籠の中からポテトサラダのサンドウィッチを取り一口噛じるとマスタードがぴりっと効いていて美味しいです。ゆっくりと咀嚼していると横にあった茂みがガサガサと揺れました。なにかと思いそちらを見ると、頭や制服に葉っぱを乗せた男性が立っていました。



「・・・・・」

「・・・・・・・」


無言で見つめ合うこと数秒、沈黙を破ったのは彼のお腹の音でした。なんだかとてもいたたまれません。だって目線が私のサンドウィッチに向いているのですもの。



「・・・あの、食べますか?」

「・・・・・いいのか?」


そんなに見つめられて駄目ですなんて言える人はいないと思います。私はコクりと頷くと膝に乗せていた籠を差し出しました。すると彼はスタスタと歩いてきて私のすぐ横に腰を降ろしました。籠の中からサンドウィッチを一切れ摘まむとそれを大きな口で食べていきます。お父様以外の人に食べていただくのは初めてで少し緊張していると、彼はゴクリと喉を鳴らして飲み込み、


「旨いな」

「ありがとうございます。私が作ったのですが美味しくなかったらどうしようと思いました」


つい嬉しくなってにこにこしていると驚いたように目を見開いた彼は私とサンドウィッチを交互に見ていました。


「あんたがこれを?あんたもしかして市井育ちか?」

「いいえ、私はクラリーチェ・アストロフ、アストロフ侯爵家息女ですわ」

「貴族の娘が自分で料理を?侯爵家なら専属の料理人がいるだろう?」


やっぱり私が料理をするなんて可笑しいのでしょうか。


「えっと、私の趣味なんです」

「ふーん、変わった令嬢だな」


と言いながらまた一切れサンドウィッチを掴んで口に放り込む彼。どうやら嫌ではないみたいですね。それからあと二切れ食べると「ごちそうさん」と言って立ち上がりました。籠を見るともう残り一切れしかありません。


「また食わしてよ。あんたの作ったのならまた食いたい」

「あ、はい。それは構いませんけど・・・」


そこまで気に入っていただけるとは思いませんでした。パチパチと瞬きをしているとクスリと彼は笑って、


「俺はアルフォード、アルって呼んでいいぜクラリーチェ」


じゃあな、と爽やかな笑顔を最後に見せてアルフォードさんは走って行きました。



「えっと、新しいお友達ができたのでしょうか」


また会う約束をしたのですからきっとお友達ですよね!お昼ご飯は沢山なくなってしまいましたがお友達が増えたので良しとしましょう。次はもっと沢山作ってこないとですね!


クラリーチェ、突然現れた男にお昼ご飯を生け贄に友人を召喚!!

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