天然令嬢、弟ができる
連続投稿です。クラリーチェさん、新しいお友達ができました。
「アリッサさん、おはようございます」
「おはようクラリーチェ」
皆様おはようございます。クラリーチェ・アストロフでございます。お友達がいるということはとても素晴らしいことですのね。日々が輝いて見えますわ!アリッサさんは本日も大変お可愛らしいです。よく色々とな男性と楽しそうにお話しているのを拝見します。そんな時は私は邪魔をしないように退席致しますの。お相手の方もとても見目麗しいので目の保養になりますわ。
「クラリーチェさんおはようございます」
「あ、おはようございますサリーンさん!」
皆様!私、アリッサさんの他にもお友達が出来たのですよ!お名前はサリーン・シュタインブルクさん、シュタインブルク伯爵令嬢です。オリーブの髪が美しい知性派な女性ですわ。サリーンはクラス委員というものをしていらっしゃるそうです。そしてもう一人・・・
「クラリーチェおはよ!」
「チェルシーさんおはようございます」
キャラメル色のふわふわな髪がとてもよく似合う女の子、チェルシー・ブランジェットさん。チェルシーさんは市井の方ですが気さくに話しかけてくだって私にとてもよくしてくださいます。勿論、一番のお友達はアリッサさんですが、比べようもないくらいサリーンさんもチェルシーさんも私にはとても大切なお友達です。
「ねえクラリーチェ、今日どこか寄って帰らない?つい最近近所に美味しいパン屋さんが出来たんだよねぇ」
チェルシーさんがとても魅力的なお誘いをしてくださいます。チェルシーさんは町のことをよく知っていらっしゃるので色々なことを私に教えて下さいます。ちなみに先日は可愛い雑貨屋さんに連れていっていただきました。サリーンさんとチェルシーさんとお揃いで買ったブレスレットは私の宝物ですわ。そこにアリッサさんもいらしたら宜しかったのですがどうやら既に予定が入っていたらしく、アリッサさんとよくいらっしゃる男性と歩いているのを遠目で目撃しました。
「申し訳ありません。今日は直ぐに帰るようにとお父様に申し付けられていまして・・・」
「そっか、なら仕方ないね。また今度一緒に行こうよ!勿論サリーンもね」
「仕方ないわね」
私、とても素晴らしいお友達をもてて幸せですわ。
「只今帰りました」
「ああ、おかえりクラリーチェ」
あら?珍しく早い時間にお父様がお帰りになっているわ。
「今日はお仕事はお休みですの?」
「いや、公休をとった。クラリーチェに会わせたい子がいてね」
「会わせたい?どなたですの?」
私が小さな頃に病気で亡くなったお母様をずっと愛しているお父様に漸く春が訪れたのかと思ったらどうやら違うみたいです。まあ、お母様に良く似た私を見てはお母様への愛を語っていますからそれはないだろうとは思いましたけど。お父様に呼ばれ室内に入ってきたのはとても綺麗な男の子でした。
「お父様、この方は?」
「彼はリュート、僕の父方の遠縁になる子なんだ」
そうでしたか。でもあまりお父様に似ていらっしゃらないのね。ですがなぜ遠縁の方が我が家に?
「実はな、リュートを我が家の跡継ぎとして養子に迎えることになったんだ。僕にはクラリーチェしかいないからね」
「そうですね。女侯爵はいませんものね」
家督は男が継ぐのが一般的な世の中です。いずれ私はどこかに嫁がなければならないのですから、この家を継いでくださる方がいるのならば私も安心ですわ。
「私は勿論賛成ですわ。私のせいでお家断絶なんてできませんもの」
「クラリーチェ・・・」
私はリュートの前に立ちにこりと微笑みました。
「改めまして自己紹介しますわ。私はクラリーチェ、えっと、貴方の姉になるのかしら?」
ちらりとお父様を伺うとコクりと頷いてくれました。
「リュートです・・・宜しくお願いしますクラリーチェ様」
「そんな他人行儀はやめてください。貴方は私の大切な家族ですもの。もっと気軽に話してほしいです。あ、私のは最早癖ですので気にしないでくださいね?」
ふふっと笑うと、彼の緊張も幾分か解けたのかふっと笑ってくれました。その笑顔はとても綺麗で、不覚にも少しだけ胸が高鳴ってしまいました。姉をときめかせるなんていけない弟ですわ。
「2人が仲良くなったようで良かったよ」
「いいえ、これからもっと仲良くなるのですよ?ね、リュート」
「うん」
アリッサさん、サリーンさん、チェルシーさん、私に新しい家族が増えました。とても良い子です。いつか皆様にもご紹介できたらいいと思います。
クラリーチェさん、弟が出来た模様です。次は弟のリュート視点でお送りします。