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そして物語は新な章を迎えます

これにて本編は終了です。

それから、本当に心を入れ換えた・・・というよりもリュートの言っていたことが怖くなったアリッサさんは一子爵家令嬢という家柄に相応しい行動をとるようになりました。しかしリュートの顔を見るたびに顔を真っ青にするアリッサさんは気の毒に思えます。


アリッサさんにも一応謝られました。そうですね、また新しく友人関係を築けたらと思うのですが。


「人は簡単に変われないんだから、あれには極力接近しないように」


とリュートに厳しく言いつけられました。でもこれで本当に平穏に学校生活を過ごせそうです。そう、思っていたのですが・・・




「クラリーチェ、俺は来年には卒業だ。そうなれば婚約者を決めなければいけなくなる。その婚約者に君がなってほしいんだが」

「はい?」


アルフォードさんの突飛な発言に、摘まんでいたミニトマトを落としてしまいました。


「えっと、聞き間違いでしょうか。今、婚約って言葉が聞こえたのですが」

「聞き違いじゃない。仮でも構わない。君なら家柄的にもなんの問題もないし、それに・・・クラリーチェとなら心安らげる家庭をもてると思うんだ」


アルフォードさんは、今まで見せたこともない甘い笑みを浮かべました。その笑顔に思わず頬が熱くなります。これはきっとふいうちに見たことのない表情をされたのと初めてこんなことを言われたからですわ。私は熱くなった頬を隠そうと両手で顔を覆います。


「その反応なら、満更でもなさそうだな。望みがあるなら攻めさせてもらうが・・・」

「なに馬鹿なこと言ってるんだか。クラリーチェはどこにもやらないよ」


私の頭を包むように抱き抱えるのはリュートでした。表情は見えませんがその声は不機嫌そのものです。


「はっ、ただの弟がなにを言っているんだか。クラリーチェを籠の鳥にでもする気か?」

「そうだね。言い方を変えればそうなるね。クラリーチェ、わざわざこんなやつに嫁ぐ必要はないんだからね?僕がクラリーチェのお婿さんになるよ。そうすればクラリーチェの大好きなお父様とずっと一緒にいられるし、クラリーチェも住み慣れたあの家から離れるなんてできればしたくないでしょ?」

「でもリュートは弟ですよ?」


姉弟は結婚できないのではないですか?私の言いたいことが分かったのかリュートはにっこり笑って、


「実はまだ書類の上では正式に養子にはなってないんだ。事実上の養子ではあるけど、そこは待ってもらってる。クラリーチェと夫婦になるには戸籍が後々厄介になるからね」


知られざる真実を次々と突き付けられてもうなにがなんだか・・・こんなときに冷静なサリーンさんや明るく場の雰囲気を変えてくれるチェルシーさんがいてくれたらと思うのに今日に限って別々にご飯を食べているのです。


「あ、クラリーチェの頭が熱くなってる。これは夜辺り熱でるかもね。まあとりあえず僕の気持ちを知ってくれてたらそれでいいよ。時間はまだあるからね。ゆっくり僕を男として好きになって?」


リュートはそっと私の右手を取って口付けを落とします。


「クラリーチェ、君を誰よりも幸せにする。だから俺を好きになってくれ」


アルフォードさんは反対の左手を取り口付けました。


「あ、あぅっ、わ、たく、し・・・」


ついに私の許容範囲を越えてしまったのでしょう。


「「クラリーチェ!!」」


お2人の声を最後に、私の意識は闇に消えていきました。






「・・・ラ・・チェ」



「ク・・リ・・チェ」



誰かが私を呼ぶ声が聞こえます。それは確かに聞いたことのある声です。優しく、愛情に満ちた・・・これは、誰でしょう・・・



「んっ・・・」

「ああ、クラリーチェ良かった!!」

「クラリーチェ平気?どこか痛いとこない?」



目を開けたら不安そうな表情をするリュートと安堵に息を吐くアルフォードさんが目に入りました。


「あの、私は一体・・・」

「君は気を失っていたんだよ」

「ごめんねクラリーチェ、少しクラリーチェには刺激が強すぎたんだ」


そこでどうして気を失ったのか思い出しました。また頬が熱くなるのを2人が申し訳なさそうに見ています。


「今まで義父上しか近くに異性がいなかったからね・・・こんなふうに触れられるのは初めてだったよね」

「そうだったのか・・・すまないクラリーチェ、お前の初めてを・・・」

「その言い方誤解を生むから止めたほうがいいよ」


誤解とはなんでしょう。私が首を傾げると、リュートは知らなくていいと頭を撫でました。






その日の夜、リュートの言った通り熱が出て2日ほど寝込んだのは言うまでもありません。








どうやら私の学校生活はまだまだ前途多難のようです。






END


皆さん、読んでいただきありがとうございました。応援や厳しい意見などがあったなか続けることも迷いましたが、楽しみにしてくれる人も確かにいるのでなんとか自分が描いた結末にはたどり着くことができました。やはり更新速度をあげて話数を短くは私には合わなかったようなのでこれからは短編か長編なら時間をかけて書いていこうと思います。


ちなみに番外編として感想にもありましたナルガのお話と、なぜアリッサは自分をヒロインだと思っていたのかを書こうと思います。





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