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私の愛した結末  作者: おーい十六茶
彼女との邂逅と問題処理
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幕間 竹内真理の日常 且 事件前日

 私、竹内真理は三年三組のクラス委員をしています。

 勉強も運動も結構得意ですが、牛乳がどうしても飲めないのが最近の一番の悩みです。

  

 学年が変わって三ヶ月がたちました。今年はいつもと違うことがいくつかありました。


 やはり一番大きいのは転校生が来たことです。

 その子は、秋吉奏ちゃんという名前でとてもかわいらしいです。

 

 見た目は、スリムで目が大きくて、黒い髪の毛を長く伸ばしているお人形さんみたいな子です。

 クラスの子は怖がっている人がわりといますが、話してみればきっとすぐ仲良くなれます。転校してすぐに、転んでけがをするとか、危なっかしいところはあるけれど、優しくて、難しい言葉をたくさん知っているのであこがれちゃいます。……運動はあまり得意ではないようですが。


 しかも奏ちゃんのすごいところはそこだけじゃないのです。

 奏ちゃんが転校してきてすぐ、私が去年からずっと注意しているいじめっ子たちが奏ちゃんに目を付けたようでした。机や下駄箱にいたずらされたみたいでとてもかわいそうでした。

 でも、あっという間にその子たちと仲良しになってしまいました。

 奏ちゃんは、誰とでもお友達になれる子なのです。


 その子が一番仲がいいのは、神代陽菜ちゃんという隣のクラスの子です。

 奏ちゃんは始業式からその子の事を気にかけてたみたいで、一緒にいるときはすごく嬉しそうです。

 

 陽菜ちゃんは一度も同じクラスになったことがなかったのでよく知らなかったのですが、噂では暗い子だと良く聞いていました。

 会ってみると、目を見張るくらい綺麗でした。

 聞いていたよりずっと明るくて、よく笑っています。

 でも、もしかしたら、奏ちゃんといる時だけなのかもしれません。

 この前は、クラスの遊びからはじかれて、とても寂しそうでした。

 

 奏ちゃんはむしろ、陽菜ちゃんをとても甘やかしているように見えます。

 陽菜ちゃんが転んだら、普通の人よりいっぱい驚いて心配するし、陽菜ちゃんがさっき言ったみたいに校庭で寂しそうにしていたら飛んで行って一緒に遊びます。奏ちゃんが陽菜ちゃんを心配するときの顔は、なんだか他のものを全く見てないようです。


 でも、奏ちゃんと一番最初に友達になったのは私なので、帰るときは一緒です。そこに陽菜ちゃんも入るようになりました。


 今日も、二人と一緒に帰ります。

 この小学校は敷地があまり広くないので、普通の学校ならいくつかに分けてある花壇が、校門までの道にあるとても大きい畑一つにまとめられています。

 校長先生などの趣味で、花より野菜となっていてこの夏の時期はおおきいトマトやキュウリが育っています。

 

 二人と話しながらそんな畑の横をとおっていると、うちのクラスの青木さんが一人で畑に水をやっていました。

 おかしいです。畑に水をやるのは五、六年生の仕事のはずだし、そもそも畑はとても大きいので二人くらいで当番のはずです。

 奏ちゃんに、二人で帰ってていいよと伝えて、青木さんに駆け寄ります。

 

「なんで、畑に水やってるの? 青木さんの仕事じゃないんじゃないの?」


 そういうと、青木さんは困ったように顔を伏せて、小声で言いました。


「近所のお兄ちゃんに頼まれちゃったの……。なんか用事があるからって……」

「じゃあ、手伝うよ! じょうろもう一つ持ってくるね!」


 私は、クラス委員なので困っている人は見過ごせません。お姉ちゃんみたいなかっこいい人になるために日ごろから努力を欠かさないのです。


 結局、その水やりは最終下校時刻ぎりぎりまでかかりました。大変でしたが、青木さんにありがとうと言われたので、まったく辛くありません。



 家に帰ると、お姉ちゃんが制服姿で居間から飛んできました。


「こんな時間まで何してたの! 家に帰ってないって聞いて心配して飛んで帰ってきたんだから……」


 お姉ちゃんが肩をつかんできて驚きましたが、事情を説明するととてもほっとしていました。


「そっか、そういう事だったの。えらいね。真理ちゃん」


 お姉ちゃんが頭をなでてくれました。とても気持ちがいいです。

 お姉ちゃんはいつも優しくて、綺麗で、あたまがよくて……。じまんのお姉ちゃんなのです。


 明日からも、お姉ちゃんみたいな人を目指して、牛乳に挑戦します……。

 おやすみなさい。

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