この少女は何者!?
すみません。やっと更新できます。ごめんなさい。
今見えるのは何もない。真っ暗で何も見えない。
そうだ、今僕は目を瞑ってるんだ。だったら目を開こう。
僕はゆっくり目を開くと見慣れた光景のリビングが写りだした。台所で誰かが居る。あの背中は僕の母さんだ。仕事から帰って来たのか。あれ、僕は何でこんなところで眠ってたんだろう? 思い出せない。何か凄い言葉が頭の中に入ってのだが.......。
「あっ起きたんだお兄ちゃん」
僕は一瞬誰ことかわからなかった。僕には兄弟が居ない。だから気付かなかったのだ。
「ほら、起きたんならちゃんとして。もうすぐごはん出来るって」
なんかどこかで声がする。テレビでも点けてるのかな? でもこの声、頭に引っかかるのは何故だろう。寝起きの頭では今起きてる事を上手く整理する事が出来なかった。
僕はテレビの声だと思い視線を向けたが、40型液晶画面にはなにも映っていなかった。とすると......僕は声がした方に僕は視線を移す。そしたら、夕方居た少女――恵那が僕を見降ろしていた。
「――お、お前何でここに居るんだよ! 帰ったんじゃなかったのか!! しかもなんだよお兄ちゃんって」
恵那は一瞬きょとんとした表情を見せたがすぐに戻し、何かを話そうとする。
「だって、誕生日が私の方が後だからそう呼んだんだよ。それともお姉ちゃんが良かった?」
「ふざけないでくれ。僕はそういう事を訊きたいんじゃなくて何でお前が妹になるんだよ。血縁関係でもないのに」
「本当に血縁関係ないと思う?」
「え?」
「なんてねっ」
危なかったぁ。こいつがいきなり真顔で訊いてきたから少しだけ疑ってしまった。そもそも僕に兄妹がいるなんて話一度も聞いたこともない。
「ごはん出来たよ。恵那、手伝って」
「はいー。ちょうど良かったね、今出来たって」
そう言って恵那と呼ばれた少女は母さんの所に行った。
おいおい、母さん。なんでナチュラルに手伝わせてんだよ。それも呼び捨てだった......。普段の母さんは他人を呼び捨てになんかしない。
「あれ佑真、いつの間に起きたの?」
「さっきだよ。私が起こしたっ! お兄ちゃん、中々起きないから大変だったよ」
「そうなのよねぇ、佑真は無理やりおこすとミステリー起こすから嫌なのよ」
何で普通に話してるんだ.......ちょっと待って、今整理するから待って! 確か今日の朝まで普通だったはず。そこからから辿って行けばいいんだ。
僕は過去の記憶をうなりながら戻していく。こういう風に頭を使うことなんて滅多に無かったら段々と頭が痛くなってきた。
あー頭いて、別に変った事なんて無かったはず。いつも通り一人で学校に登校して授業を受けたし、別に変ったことなんて......あっそういや今日寝落ちしたんだっけ。そこんとこがいつもとは違ってたな。--まさかあれだけで!? いやないない。あるとしたら世界戦が変わったとかだろ。そんなの物語の世界だけで現実には存在しない。じゃあ何故?
「ほら用意できたよ。早く座ってお兄ちゃん」
恵那が僕の腕を引っ張って食卓へと少々強引気味に座らせようとした。
まぁいいや。父さんに訊けば何か、何かわかるかもしれない。その時までは大人しく二人に促されたままでいよう。
夕飯を食べて大人しく自室で食休みがてら本を読んでいると「とんとん」不意に部屋のドアがノックされた。僕は今いい展開のところまで読み進めていたから無視する事にした。
すると先ほどまでは「とんとん」だったのが「ドンドンドンドン」と力を入れてきやがった。ついでにドアノブもガチャガチャなってる。僕は常に人に邪魔されないように鍵を閉めている。
うるせ―。誰だよ人の邪魔しやがって。
とても読書ができる環境ではなくなったので栞を入れて鍵を開けた。すると恵那が中に入ってきた。
「何ですぐ開けてくれなかったのさ!」
少し怒ったかのようにツンツンしてた。顔も若干ながら赤く染まって肩で息をしてた。どんだけ体力ないんだよこいつは。
「悪いな、本読んでたんだ。で何の用だ?」
「以外にもお兄ちゃん驚いてないって思ってね。なんでかな~って」
そう言って恵那が僕の背中を抱きしめてきた。
「お、おい。離れろ!」
「いいじゃん別にっ」
面白がってそんな風に言ってやがる。
僕の記憶の中では今まで女性と関わってきたのなんて小学生の低学年までだ。それも遠足とかの手を繋ぐだけ。それしかないのだ。しかもその時は意識とかなかったから何も感じてなかった。でも今は違う。だからこんな風に抱きつかれたのなんて夢のようだった。これは本当に現実に起こっているのか、それともこれは夢じゃないのかと思ってしまった。でもこの感触は現実感ありすぎだ! 夢だったら全て辻褄が合うのに......。ん? 夢?
「で、訊きたいんだけど。もしかして全部信じちゃったの。私が本当に妹だと」
「そんなの信じるわけないだろ! もう考えるのも嫌になっちまったから気にしない事にしたんだよ。考えたって変わるわけじゃないしさ」
僅かながら僕は苛立って見せた。そのつもりは無かったのだが自然と出てしまった。そういう態度をとってしまったから当然、
「も、もしかして嫌だった?」
と訊いてきた。恵那の表情は後ろからでは見えない。声の調子からして、焦っているのが窺えた。
「嫌とかじゃなくて説明不足なんだよ。何でお前がここ居るのかも、妹になるだとか。もう意味がわからないだけなんだ! いい加減説明してくれないか」
言いたい事言い終わると僕は恵那が話してくれるのを待った。これできっちり納得のいく話をしてくれんならもう僕は何も訊かない事にした。何か事情があるはずだと思ったからだ。でもその答えが―――
「ごめん、それは言えないんだ」
だった。
「――何で言えないんだよ」
どうしても訊きたかった僕はとうとう我慢しきれず声を荒げた。狭い六畳部屋に僕の声が反射して思っていた以上に大きく響いた。
「いつか時期がきたら......その時言うよ。ごめんね、答えられなくて。でもこれだけは......約束だから」
先ほどまで元気だった恵那が心細げに言った。その様子を見たら僕はもう何も言う事が出来なかった。結局聞きたい事が訊けずじまいで今日は終わったのだった。
次の投稿はいつになるんでしょうね......。すみません。
なんだか「ひよこストライク!」に似ているので、ちょっと次回からちょっと内容変えようかと思います。